PI値を理解するためのたった3枚のレシート、その2!
前回のブログで通常のPOS分析、すなわち、レシートを客数として算出するPI値について、たった3枚のレシートを用いて解説した。PI値には全体客数、すなわち、総レシート枚数を分母にするPI値と牛乳の購入顧客のレシートのみを分母にしたPI値があり、これらは、レシート/レシート、すなわち、客数PI値で関係づけられていることを解説した。いわゆる、PI値の純度問題である。PI値は分母によって、どんどん純度が濃くなってゆくPI値は工夫次第で、様々なPI値を誰でも作り出すことができる実に柔軟性の高い指標である。
さて、今回も前回の続き、さらにPI値の純度を高めてみたい。前回がレシートに着目したPI値を解説したので、今回はIDに着目したPI値について解説する。まずは、PI値を理解するためのたった3枚のレシートの確認であるが、その3枚とは1枚目がAさんが牛乳を1本買った時のレシートである。2枚目が同じAさんが牛乳2本を買った時のレシートである。そして、3枚目がBさんが牛乳を買わなかった(0本購入した)時のレシートである。この3つのレシートがPI値を理解するための基本レシートである。
前回はこのレシートに着目したので、今回はID、すなわち、Aさん、Bさんに着目してみる。この場合、レシートは3枚であるが、ID、顧客はAさん、Bさんの二人である。したがって、ここからIDのPI値を算出すると、分母は2人となるので、IDのPI値は(Aさんの牛乳1本+Aさんの牛乳2本)/(Aさん+Bさん)となり3/2、すなわち、150%となる。このPI値はレシートのPI値が3/3、すなわち、100%であったので、より、純度の濃いPI値といえる。IDを把握できたがゆえに、はじめて計算できるPI値であり、ここからID-POS分析がはじまるといえる。
ついで、前回同様、さらに、純度を引き上げるためには、牛乳を購入しなかったBさんを加えない、牛乳の購入顧客のみのPI値が当然ある。(Aさんの牛乳1本+Aさんの牛乳2本)/(Aさん)であり、3/1、すなわち300%である。これが牛乳購入者のみの牛乳のPI値であり、極めて純度が高いPI値である。牛乳を購入している顧客のみの牛乳のPI値となる。そして、この瞬間に同時に、客数PI値が発生している。前回の客数PI値は(レシート)/(レシート)だったが、ここでは、(ID)/(ID)であり、(Aさん)/(Aさん+Bさん)となり、1/2、すなわち、50%となる。したがって、IDのPI値は、全体のIDのPI値150%=客数PI値50%×牛乳のIDのPI値300%となり、数式が成り立っていることがわかる。
これがID-POS分析で基本となる、IDのPI値であり、レシートのPI値と比べて、より純度の濃い、牛乳の購入顧客により近づいたPI値であるといえる。ここまでが、基本のPI値であり、PI値にはレシートを分母にしたものと、IDを分母にしたものがあり、その純度が違うといえ、より、商品と顧客との関係を深く理解するための重要な分析であるといえる。
さて、PI値はここで終わらない。まだ続きがある。ここからが応用問題である。まずひとつ、レシートとIDの関係である。この関係はあるのか、ないのか、結論からいえば大ありであり、ここにID客数PI値が登場する。ID客数PI値はレシートとIDとを関係づけるPI値であり、(レシート)/(ID)となる。先の3つのレシートではまずは全体に注目すれば、レシート枚数は3枚、IDは2人であるので、3/2、すなわち、66.6%となる。ここから、IDのPI値(牛乳3本/顧客2人)=ID客数PI値(レシート3枚/顧客2人)×レシートのPI値(牛乳3本/レシート3枚)となり、成り立っている。また、牛乳のみに着目した場合も、IDのPI値(牛乳2本/顧客1人)=ID客数PI値(レシート2枚/顧客1人)×レシートのPI値(牛乳2本/レシート2枚)となり、成り立っている。
したがって、レシートとIDとの関係は無関係ではなく、ID客数PI値で関係づけられ、ID-POS分析と通常のPOS分析は見事に融合するといえ、全く別の世界の話ではなく、極めて密接な関係があり、双方の深い研究成果が同時にいかせ、マーチャンダイジングに応用が可能であることがわかる。ちなみに、このID客数PI値が頻度であり、この頻度がID-POS分析の要諦であるといえる。
そして、発展問題をひとつ、さらにPI値の純度を引き上げるテーマであるが、いわゆるトライアル、リピート問題である。Aさんに注目すると、Aさんのはじめの牛乳1本がトライルであり、次のレシート、牛乳2本がリピートとなる。したがって、ここからさらにPI値の純度の高いAさんのリピートのPI値を算出することができ、これがID-POS分析の現時点ではPI値の純度を追及していった場合の最終到達地点であるといえる。
したがって、マーチャンダイジングへのPI値の活用は、この最高純度のPI値から最低純度のPI値までをケースバイケースで活用していくことが決め手であり、これを理解るためには、これまで解説してきたたった3枚のレシートがあれば良いといえる。ID-POS分析はデータ量が膨大で、複雑な計算が必要で、高尚な理論構築が必要なように思われているが、実は、この3つのレシートの関係ですべて基本は説明できるといえ、あとは、その応用、発展問題に過ぎないといえる。
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