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March 12, 2011

PI値を理解するためのたった3枚のレシート、その1!

   最近、PI値について分かりやすく解説するために考案した事例がある。講演のテキストに必ず、PI値の基礎講座の中で、その事例を解説しているが、かなり、完成度が高まったので、そのポイントを改めてまとめてみたい。PI値を理念としても、概念としても、論理としても、そして、数式としても、さらに何よりイメージとしても理解するには、たった3枚のレシートで良い。しかも、従来のレシートを基盤にしたPI値も、ここ最近のIDにもとづくPI値についても、この3枚のレシートだけですべて説明が可能である。

   その3枚とは1枚目がAさんが牛乳を1本買った時のレシートである。2枚目が同じAさんが牛乳2本を買った時のレシートである。そして、3枚目がBさんが牛乳を買わなかった(0本購入した)時のレシートである。この3枚のレシートの中にPI値のすべてが存在している。PI値のすべてを解説するためには、このたった3枚のレシートだけで十分であり、それ以上でも、それ以下でもない。

   では、ここからPI値をどう計算するかであるが、まず、通常、ごく普通に小売業界で活用されているPI値は顧客1人当たりの買上点数であるが、この顧客とはAさん、Bさんではなく、単純なレシート枚数である。数式にすれば、買上点数/レシート総数であり、この事例では、(Aさんの牛乳1本+Aさんの牛乳2本)/(Aさんのレシート2枚+Bさんのレシート1枚)となり、3/3=100%となる。ここで、ひとつ大きなポイントがある。通常のPI値は、Bさんの牛乳の未購入レシートが分母に加えられるということである。Bさんは牛乳は1本も買っていないのに、PI値の計算式には顧客(レシート)として加えられる点である。したがって、通常のPI値は膨大な未購入客のレシートが分母に加えられており、PI値の純度としては、水割りのような薄いウィスキーのようなPI値といえる。

   これが通常小売業界で極普通に使われているPI値であり、あらゆるPI値は圧倒的に未購入客が多いといえる。ちなみに、PI値は1%を超えると最重点商品と見なすことができ、1%はそれほど極めて高いPI値であるが、逆に見れば、99%は購入するお客さまがいないということであり、いかに、通常のPI値の純度が低いかかがわかる。ただ、それでも、発注の時には未購入客も予測しなければならず、実務としては、意味のあるPI値であり、PI値の純度が低いからといって重要性が低いわけではない。

   次に、少し、PI値の純度を高めてみたい。未購入客、すなわち、牛乳を購入しなかったBさんを外したPI値である。これは、牛乳の購入客のみに注目したPI値であり、計算式は、(Aさんの牛乳1本+Aさんの牛乳2本)/(Aさんのレシート2枚)となり、3/2=150%となる。これもPI値である。ただし、牛乳購入者だけのという限定がついたPI値である。この時、実は、もうひとつの新たなPI値が同時に生まれる。客数PI値である。それは、(レシート)/(レシート)のことで、この場合は、(Aさんの購入レシート2枚)/(Aさんの購入レシート2枚+Bさんの未購入レシート1枚)であり、2/3、66.6%となる。この客数PI値とPI値との関係は、PI値=客数PI値×牛乳の購入客のみのPI値であり、先の数字を当てはめると、(100%)=2/3(66.6%)×150%となり、成り立っていることわかる。

   したがって、このPI値は水割りから、オンザロックぐらいまで来た純度の高いPI値であるといえ、このPI値が2/3に薄められたものが、通常のPI値であるといえ、常に、その割合が客数PI値で表わされることになる。このように、通常のレシートを活用したPI値には大きく、2種類があり、どちらも正しいPI値であり、その2つのPI値をつなぐのが、客数PI値であるといえる。PI値はこのように、純度をどんどん濃くしてゆくことができるのが特徴であり、通常のPI値にも、純度の違う2つのPI値が存在しているといえる。

   実は、チェーンストアでは、この2つのPI値は日常茶飯事で使われており、意外に意識していない場合が多い。そのPI値とはチェーンストア全体のPI値である。先の牛乳を事例にとれば、当然、その牛乳が品揃えにない店舗、欠品している店舗もあり、チェーン全体の牛乳のPI値をどう算出するかという時、先に解説した2つのPI値が算出される。ひとつは、チェーン全体の客数で割ったPI値であり、もうひとつは、牛乳の販売実績のある店舗のみの客数で割ったPI値である。そして、この2つは、販売実績のある客数/チェーン全体の客数、すなわち、客数PI値で結びつけることができる。このように、チェーンストアでは、実は必ず、PI値は2つ存在しており、さらに、同時に客数PI値も存在しているのが実態であり、しっかり、この2つは関係づけてPI値を活用することがポイントである。

   次に、さらに純度が濃いPI値、いわゆるID-POS分析に活用するPI値については、稿を改めて解説したい。まずは、通常のPOS分析、ごく普通に小売業界が活用しているPI値についても、純度の違うPI値があるということ、そして、この2つのPI値は客数PI値で結びつけられていることが、PI値を正しく理解するための最初のポイントである点を解説しておきたい。

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