N014:大都市直売セミナー終了、ありがとうございました!
3/3、大都市における直売システム調査報告会(生産者の所得向上に直売所が果たす役割とは:野菜ビジネス主催)というテーマで、セミナーの講師を務めた。このセミナーは、これまで約1年間に渡り取り組んできた農林水産省の補助金事業、「農業者所得向上流通調査事業」で明らかになった大都市直売所の最新動向を伝えるという内容をメインテーマとしたセミナーである。最終報告は3月末の予定であるので、私のテキストは昨年10月に農林水産省にて中間報告した首都圏の直売所の最終集計結果1,115件のクロス分析を入れ、別途、会場ではパワーポイントで大都市における直売システムの現状の要点を解説する内容である。
今回のセミナーでは、私以外にも、調査事業で監修をいただいた千葉大学大学院教授、斎藤修氏の講演、さらには、パネルディスカッションとして、(株)野菜ビジネスの川島社長が司会を務め、パネラーとして斎藤教授、大分県大山町農業協同組合代表理事組合長、矢羽田正豪氏、(株)くらしの里取締役企画部長、松永渡氏、JAはだの参事、宮永均氏、JA千葉みらい農産物直売所しょいか~ご店長、田中美佐男氏が参加し、「これからの直売所の新たな戦略を考える」と題し、熱い議論が交わされた。
当日は来賓として農林水産省、総合食料局、外食産業室の室長、増井国光氏からもごあいさつがあり、会場は満杯となる盛況の中でのセミナーとなった。いずれ、本調査事業の報告書ができあがり、農林水産省への報告が済んだあとには本報告会を開催してゆく予定であり、また、その調査内容についても、随時、イネターネットで公開してゆく予定である。
さて、私の講演内容であるが、前半は、テキストに入れた大都市周辺の直売所1,115件についてのクロス分析約40枚のパワーポイントでの解説であったが、はじめに、全1,115件の首都圏の直売所を地図にプロットした画面からはじめた。この調査は斎藤教授とともに、各都道府県へ協力をお願いし、最新の主要直売所の動向を集計したものであるが、地図で見ると、東京の都心部を中心に同心円状に主要直売所がプロットされ、壮観な直売所分布図となった。しかも、見事に大都市中心部には主要直売所は存在しておらず、今回の大都市中心部の直売システムがいかに未開発領域であるかが、一目瞭然である。
今回のクロス分析は主に3つの角度から分析しており、1つ目は経営(運営)主体別の分析であり、2つ目は販売金額別、そして、3つ目は距離別の分析である。特に距離別の分析はこれまでの直売所の分析ではあまり見られない分析であり、斎藤教授のアドバイスにもとづいて取り入れた分析手法である。大都市とその周辺、そして産地との関係を見る上において新たな視点が垣間見える分析となった。
距離については、20km圏、40km圏、60km圏、そして、100km圏と4つに分けて、1,115件を分析しており、特に明確に表れたのは地場産比率である。20km以上の直売所はすべて80%以上の地場産比率であるが、20km圏内では、64%に下がり、50%未満が29%と、他の距離数%と比べても明らかに高い比率である。直売所はもともと地産地消というところからはじまったところがあるが、大都市にはそもそも産地がなく、大消費地であり、全国の産地から農産物が集まり大都市が成立していることからも、当然といえば当然であるが、改めて調査データから鮮明になった事実である。
これ以外にも販売手数料が平均では13.0%であり、販売金額別にきれいに比例し、3億円を超える直売所は14.9%にまで高まるという事実、直売所の平均的な売上高は8,294万円であり、これは距離とは無関係であるという事実、生産農家の直売所での平均的な売上高は128万円であり、直売所の販売金額が大きくなればなる程、高くなるという事実など、様々な事実が明らかになったといえる。
そして、後半では、まさに、今回の本題、「大都市中心部の直売システム」について、パワーポイント上だけでの解説となったが、特に、自治体間連携の重要性について、解説した。大都市の直売システムの最大のポイントは単独で直売所を運営するのではなく、自治体、商店街、地域住民、さらには、自治体間連携という、点ではなく、ネットワーク、面での展開がポイントであり、ここに焦点を当てた直売システムが決め手となることを提示した。これが大都市中心部における直売のあるべき姿であるといえ、事実、このような基本コンセプトに基づき、大都市中心部において、直売システムが開発されつつある事例があり、これが、今回のセミナーのポイントである。
現在、調査事業の最終段階に入っているが、その報告書の中には、今回の視点、自治体間連携の重要性を強く盛り込む予定である。また、今回テキストに入れた直売所の分析結果をはじめ、数多くの消費者アンケート、生産者ヒアリングの分析結果から得られた事実をもとに、大都市の直売システムにおいての農業者の所得向上の実態をまとめてゆく予定である。最終報告書がまとまり、農林水産省に報告後、改めて本調査事業の報告会を企画してゆき、また、ホームページ等でも公開してゆくので、是非、ご覧ください。
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