成城石井、丸の内キャピタルが買収!
3/9の日経に、「成城石井、海外も視野」、「三菱系ファンド買収を発表、三菱商事と連携模索」という記事が掲載された。昨年来、成城石井の親会社レックス・ホールディングスが成城石井の売却先について交渉を重ねていたが、その売却先が、三菱系ファンド、丸の内キャピタルに決まったという内容の記事である。実際、関係各社のホームページでも同様の趣旨の内容が掲載されており、日経新聞の報道通りの結果である。
そこで、ここでは、日経新聞と関係各社の公表内容とを照らし合わせながら、今回の成城石井の丸の内キャピタルへの売却の状況を見てみたい。まずは、日経新聞の内容であるが、買収額は非公表としながらも、400億円超とみられると報道している。成城石井の現在の売上高が約460億円であるので、ほぼ売上高に匹敵する。昨年暮れの1次入札についてはロイターが「最高額を提示したのはオリックスで、300億円台後半から400億円とされる。ファンド関係者の1人は「売り手は400億円以上の金額を期待しているようだ。最終的に合意に至るかは依然わからない」と話した。」とのことであり、400億円前後が攻防戦となりそうだとの内容であったが、日経新聞によれば、ほぼその通りとなり、丸の内キャピタルがオリックスを上回る金額を提示したものといえよう。
その時期であるが、日経新聞によれば、5月末をめどに、丸の内キャピタルが100%出資して設立する新会社に成城石井の全事業を移管するとのことである。また、新会社でも現在の原社長が社長を務め、社名も成城石井とするとのことで、丸も内キャピタルからは取締役を派遣するとのことである。
そして、今後の展開であるが、毎年10店舗程度の出店ペースは維持するとのことでで、さらに、海外、東南アジアへの出店も三菱商事のネットワークを生かし、視野に入れるという。現在、1店舗平均が5億円強であるので、毎年50億円以上売上高が上昇することになり、これに、海外展開が加わると、かなり、高成長が期待され、この辺を読んでの丸の内キャピタルの買収額の提示であったものといえよう。
ここで、関係各社の3/9時点での公表内容であるが、まず、売却先のレックス・ホールディングスであるが、「丸の内キャピタル株式会社への事業の譲渡について」と題し、「当社は、本日平成23年3月8日に株式会社成城石井の全事業を丸の内キャピタル株式会社が設立する新会社に譲渡することにつき最終合意に至りましたので、お知らせ致します。以上」とのことで、あっさりした内容である。日経新聞で報じられた内容については一切コメントがなく、最終合意の事実のみの公表である。
次に、当事者、成城石井であるが、「当社全事業の譲渡に関するお知らせ」と題し、「この度、株式会社成城石井(以下、当社)は、当社の全事業が株式会社レックス・ホールディングスから丸の内キャピタル株式会社(以下、丸の内キャピタル)が設立する新会社に譲渡されることに伴い、今後、丸の内キャピタルと共に、持続的な企業価値の向上を目指すことといたしました。」という冒頭の説明から入り、その経緯を少し説明し、ついで、丸の内キャピタルの事業内容の説明が続く。日経新聞で報道されているような内容はなく、事業譲渡の事実を淡々と伝える内容である。
そして、丸の内キャピタルであるが、「株式会社成城石井の全事業譲受けに関するお知らせ」と題し、2ページに渡って、解説しており、関係各社中では、最も詳しい内容である。ポイントは、「丸の内キャピタル第一号投資事業有限責任組合の設立する買収目的会社が、成城石井の全事業及び資産を譲り受ける予定です。」とのことで、新会社を設立し、事業譲渡とのことで日経新聞の報道通りである。そして、成城石井の評価のポイントを高品質食品スーパーマーケットとしての確固たるブランドの高さ、卓越した、商品開発力、マネジメント力、駅ビル店舗を中心にした店舗開発力にあると解説している。
さらに、成城石井との合意内容として、成城石井の発行済株式総数の100%を保有する株主となる予定である点に加え、丸の内キャピタルの全面的なサポートをもとに、成城石井の企業価値の最大化に向けて積極的に取り組んでゆくとのことである。そして、成城石井と丸の内キャピタルの会社説明があり、最後に、丸の内キャピタル第一号投資事業有限責任組合は総額1,000億円のファンドであることが付け加えられている。
このように、成城石井の売却先が三菱商事と三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社である三菱UFJ証券により、2008年に設立された投資ファンドである丸の内キャピタルへ正式に決まり、今後、三菱グループとして、新たな事業展開がはじまることとなった。日経の記事の中でも、関係各者の公表内容の中でも全く触れられていないが、三菱商事系の食品スーパーマーケット、ライフコーポレーション、コンビニのローソン等との連携も恐らく、今後検討されるのではないかと思われる。成城石井が今後、どのような経営戦略を打ち出すか注目である。
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