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April 02, 2011

マックスバリュ中部、2011年1月期本決算、増収増益!

   マックスバリュ中部が3/16、2011年1月期の本決算を公表した。結果は営業収益1,183.97億円(1.2%)、営業利益21.59億円(8.9%)、経常利益22.94億円(13.6%)、当期純利益4.47億円(8.1%)となり、増収増益となる好決算となった。特に、営業収益よりも、利益がいずれの段階でも大きく伸びているといえる。したがって、ウォルマートが最も重要な指標としているEPS(Earnings Per Share:一株当たり利益)は、17.61円(昨年16.27円)と1.34円(8.23%)上昇し、株主にとって、貢献度が高い決算となった。

   マックスバリュ中部自身も、「当社は年度スローガンを「お客さまのお役に立つを具現化しよう!」として、経営理念の原点に立ち返り、お客さま満足の最大化を図りつつ、簡素でより効率的なローコスト経営の構築により、経営資源の効率的活用と収益性の確保に努めました。」とのことで、ローコスト経営に徹したことが利益を押し上げたといえよう。そこで、営業利益が8.9%増となった要因を原価、経費面から見てみたい。

   まずは、原価であるが、75.36%(昨年75.36%)と、昨年と同じ比率となった。今期は特に原価改善としては、「イオンのグループ力を活かした商品調達やトップバリュ商品の更なる販売拡大により、競争に打ち勝つ価格の実現に取り組みました。」とのことで、PBの積極投入が価格競争の厳しい中、原価を維持できた要因のひとつといえよう。結果、売上総利益は、24.64%(昨年24.64%)となった。

   一方、経費の方であるが、25.27%(昨年25.45%)と、0.18ポイント改善した。これについて、マックスバリュ中部自身は、「ローコスト経営の取り組みとしては、既存店舗の活性化により設備の標準化を推進するとともに、エリアSVによる店舗への作業手順の指導等により、効率的な店舗運営の浸透を図りました。同時に、省エネ設備の導入も進め、エネルギーコストの削減にも努めました。」とのことである。実際、既存店の売上高は100.3%と昨年をわずかではあるが上回っている。一般に既存店の数宇が堅調である場合には固定費が相対的に下がるために、利益増になる傾向が強く、その意味で、食品スーパーマーケットにとっては既存店の活性化は重要な経営課題のひとつである。

   ちなみに、今期のマックスバリュ中部の既存店の客数、客単価の結果であるが、客数が103.5%、客単価が97.0%であり、客数が増加しているのが特徴である。また、客単価の中身、PI値と平均単価であるが、PI値は940%で昨年同様の数字であるが、平均単価が178円から174円へと下がっており、価格競争が厳しかったといえよう。ただ、その客単価の落ち込みを客数でカバーしており、顧客の来店頻度が上がったものと思われる。実際、マックスバリュ自身も、「イオンの電子マネー「WAON(ワオン)」が新規のお客さまの来店を促したことなどにより、・・」とコメントしており、新規のお客さまとしているが、恐らく、既存のお客さまの来店頻度も向上しているものと思われる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-0.63%(昨年-0.81%)と、依然としてマイナスではあるが、マイナス幅は縮まっており、マーチャンダイジング力が増していることがわかる。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他の営業収入が2.50%(昨年2.55%)加わり、営業利益は1.87%(昨年1.74%)と増益となった。したがって、増益の要因は原価よりも経費削減の効果が大きく、特に、既存店の活性化により、相対的に固定費が下がったことに加え、省エネへの取りくみ、店舗の標準化の推進等が経費削減に寄与したものと思われる。

   一方、気になるのは営業収益、成長性である。今期は4月にマックスバリュ津城山店(三重県津市)、11月にマックスバリュ若葉通店(愛知県名古屋市)の2店舗のみであり、閉店が2店舗あったので、店舗数が88店舗と伸び悩んでいることである。来期に関しても、現時点では、2011年8月にマックスバリュ青葉町店(滋賀県)、9月にマックスバリュ米野木店(愛知県)の2店舗であり、これに、さらに2店舗が計画中とのことであるが、閉店も考慮すると、営業収益は今期よりも増加するとは思われるが、微増にとどまるものと予想される。

   実際、来期の本決算予想は、営業収益1,232.00億円(4.1%)、営業利益21.70億円(0.5%)、経常利益23.00億円(0.3%)、当期純利益2.10億円(-53.1%)と、営業収益は微増にとどまり、さらに、利益がいずれの段階でも厳しい予想であり、それをカバーするためにも、営業収益を押し上げたいところといえよう。特に、来期から2月度決算企業は資産除去債務に関する会計基準の適用がなされ、特別損失を計上せざるをえなくなるため、当期純利益が厳しい状況が予想されるからである。

   このように、マックスバリュ中部の2011年2月期の本決算は増収増益、特に、利益が経費削減の効果が寄与し、大きく増加しており、堅調な決算となった。気になるのは営業収益、すなわち、成長性であり、今期は微増、来期も4.1%の伸びの予想である。特に、来期は利益が厳しい状況が予想される中、もう1ランク成長性を引き上げたいところかと思われる。来期は、3/11の大震災の影響が不透明な中、マックスバリュ中部がどのような収益の確保に動くか、その動向に注目である。

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