オークワ、2011年2月期、本決算、増収増益!
オークワが4/4、2011年2月期の本決算を公表した。結果は営業収益2,899.60億円(0.2%)、営業利益65.39億円(12.0%)、経常利益67.58億円(13.2%)、当期純利益31.06億円(31.6%)となり、営業収益は微増にとどまったが、増収増益、特に、利益は2桁増の好決算となった。オークワ自身は、「消費者の生活防衛意識の高まりから低価格志向はさらに顕著になり、業態を超えた価格競争が相俟って、非常に厳しい経営環境が続きました。」と、コメントしており、特に価格競争が厳しい状況であったとのことである。
そこで、まずは、今期本決算の営業収益が微増となった要因であるが、コメントにもあったように、価格競争の厳しさが反映したといえ、既存店が97.9%となったことが大きいといえよう。特に、「業態別の販売状況は、豊富な品揃えと低価格を実現した「スーパーセンター」業態とこだわりの商品を取り揃えた高質スーパーの「メッサ」業態は消費者ニーズにマッチし順調に推移しましたが、その他の業態は景気の低迷に加え、小売業の低価格競争が激化した影響を受け、前期を下回りました。」とのことで、SSM、GMS等が厳しい結果であったとのことである。
また、新規出店に関しても「岐阜県下にスーパーセンター業態の「美濃インター店」とSSM業態の「美濃加茂店」、兵庫県下にSSM業態の「加古川野口店」と出店エリアの拡大に取り組み、また、奈良県下にスーパーセンター業態の「桜井店」、和歌山県下にSSM業態の「海南野上店」の合計5店舗を新設した一方で、経営効率化のため2店舗を閉鎖いたしました。」とのことである。オークワは現在149店舗であるので、差し引き、店舗数が3店舗増にとどまったことも営業収益が伸び悩んだ要因といえよう。
ちなみに、オークワの投資活動によるキャッシュフローを見ると、新規出店に関する項目である固定資産の取得による支出は46.45億円(昨年70.84億円)であり、今期は約65%と削減しており、新規出店を昨年と比べ控えたといえ、これも営業収益が伸び悩んだ要因のひとつといえよう。ただ、その分、財務体質の改善にキャッシュを振り向けており、財務活動によるキャッシュフローを見ると、今期は長短借入金の返済が26.04億円(昨年21.37億円)と、昨年以上に増加しており、有利子負債も224.59億円(昨年242.92億円)と着実に減少し、総資産1,386.83億円の16.19%となった。
一方、2桁増と好調な営業利益であるが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、74.85%(昨年74.97%)となり、0.12ポイント下がっており、原価の改善が進んだ。コメントにあるように、価格競争が厳しい中、原価の改善が進んでいる。これについてオークワは「お客様の節約志向にお応えするために、生活応援セールの「ストップ・ザ・プライス」の継続、低価格・良品質商品として開発している「くらしモア」商品や、「オーエコノミー」及び「オークオリティ」の自社プライベートブランド商品ならびに自社食品工場の販売拡大に取り組みました。」等に取り組んでおり、これらが激しい価格競争の中、原価を改善できた要因といえよう。結果、売上総利益は25.15%(昨年25.03%)となった。
これに対し、経費の方であるが、26.32%(昨年26.55%)と、0.23ポイント改善している。特に、既存店が97.9%と厳しい状況の中、経費の削減が進んでおり、原価、経費、ダブルでの営業利益改善となった。この経費改善について、オークワは、「業務改革につきましては、「業務改革室」を設置し、全社ベースで業務の見直しを行っております。」と、業務改革が本格的に動きだしたことが大きいといえよう。また「IT戦略を引き続き進め、セルフレジは48店舗・258台に拡大し、新たに画像認識レジを日本ではじめて導入いたしました。」とのことで、セルフレジの貢献も大きいといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.17%(昨年-1.52%)と、依然としてマイナスではあるが、マイナス幅は縮まっており、マーチャンダイジング力が増しているといえる。これに、不動産収入等のその他営業収入が3.51%(昨年3.62%)加わり、営業利益は2.34%(昨年2.10%)と、増益となった。こう見ると、増益の要因は、その他営業収入は伸び悩んだが、原価、経費の改善が図られ、マーチャンダイジング力がダブルで改善したことが大きいといえる。
このように、2011年2月期のオークワの本決算は増収増益、特に、営業利益が2桁増の好決算となったが、やや気になるのは増収幅がわずかであったことである。特に、今期は、成長性よりも財務の健全化にキャッシュを振りむけ、内部体制の充実をはかったことにより、新店が十分に展開できていないことである。来期も、3/11の東日本大震災の影響が不透明であり、成長性よりも、内部体制の充実が基本戦略となるものといえ、さらに、来期からは「資産除去債務に関する会計基準」も適用されるため、当期純利益は厳しい数字が予想され、一層、営業利益の改善が課題となろう。その意味で、今期設置した業務改革室が来期、どのように原価、経費の改善に取り組んでゆくか注目である。
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