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April 12, 2011

ヨークベニマル、2011年2月期決算、減収減益!

   ヨークベニマルの2011年2月期の本決算が、4/7、親会社のセブン&アイHの本決算とともに公表された。結果は営業収益3,433.79億円(98.46%)、営業利益88.77億円(94.41%)、経常利益102.76億円(94.50%)、当期純利益50.93億円(83.70%)となり、減収減益となる厳しい決算となった。この決算数字には3/11の東日本大震災の影響は全く含まれておらず、昨年の3/1から、今年の2/28までの1年間の決算結果であり、ヨークベニマルにとっては、厳しい1年であったといえる。

   ちなみに、4/12現在、ヨークベニマルの休業店舗は10店舗、福島県(富岡店、大熊店、夜の森店、浪江店、原町店、原町西店)、宮城県(湊鹿妻店、中浦店、塩釜店、多賀城店)であり、被災1週間後は71店舗が休業という、深刻な状況であったが、この1ケ月で順調に被災店舗が再開している。特に、山形県15店舗、栃木県20店舗、茨城県26店舗はすべて営業再開しており、今期、第1四半期は厳しい状況といえるが、第2四半期以降は営業面に関しては回復が見込まれるものと思われる。

   さて、2011年2月期の決算にもどると、気になるのは、営業収益よりも、営業利益、経常利益、当期純利益と、すべての利益段階で減益となったことである。そこで、ここでは、営業利益が減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.88%(昨年75.84%)と、0.04ポイントと上昇が見られる。ただ、その上昇幅はわずかであり、ほぼ、昨年と同じ原価率であったといえる。価格競争はかなり厳しい1年であったと思われるが、原価の上昇を抑えた展開ができたといえよう。恐らく、セブンプレミアムなど、PB商品の貢献も大きかったものと推測される。結果、売上総利益は24.12%(昨年24.16%)となった。

   一方、経費の方であるが、23.15%(昨年24.69%)と、1.54ポイントと、大きく改善している。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.97%(昨年-0.53%)と、一転、マイナスからプラスへと転じ、経費削減の効果が原価以上に大きく貢献したといえる。これに、その他営業収入が加わり、営業利益となるが、今期は、この、その他営業収入に大きな変化がある。

   ヨークベニマルのその他営業収入は大きく2つに分かれる。ひとつは、物流収入等の受取手数料収入であり、もうひとつは不動産賃貸収入である。この2つの結果であるが、受取手数料収入は0.63%(昨年2.42%)、不動産賃貸収入は1.03%(昨年0.90%)であり、受取手数料収入が激減していることである。経費も大きく減少しているので、計上方法が変わった可能性もあるが、この差が大きく、結果、営業利益は2.63%(昨年2.79%)となり、減益となった。原価、経費、双方が改善したにも関わらず、その他営業収入が減少したことが、営業利益が減益となった要因である。

   これを踏まえて、ヨークベニマルの2012年2月期の決算予想であるが、3/11の影響をどう見るかが最大のポイントとなるが、現時点での予想は、営業収益3,225.00億円(93.9%)、その他営業収入を抜いた売上高は3,170.00億円(93.9%)、営業利益10億円(11.3%)と、売上高よりも、営業利益が極めて深刻な減益となる予想である。特に、営業利益については、震災前の営業利益の当初の予想が95億円(昨対107.0%)であったので、震災の影響を85億円と見込んでいるといえる。

   ちなみに、セブン&アイHの他の主要企業は、セブン-イレブン・ジャパン-40億円、イトーヨーカ堂-90億円、そごう・西武-88億円、その他-78億円であり、合計、セブン&アイH全体では381億円の震災の影響額を現時点では見込んでいる。さらに、震災に伴う特別損失も見込まれているが、ヨークベニマルがセブン&アイHの中では最も大きく150億円であり、全体の57.69%、約60%となる。それだけ、ヨークベニマルの震災の影響は大きかったといえる。

   そこで、今期のヨークベニマルの純資産であるが、1,178.14億円、総資産1,474.54億円の79.89%であり、この純資産比率は、前期決算、2010年度の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの中でも断トツのトップであり、堅固な財務基盤である。現預金も148.05億円あり、流動資産も413.99億円であり、150億円の予想される特別損失も財務的には吸収できるものと思われるが、重い負担となることは必至である。

   このように、ヨークベニマルの2011年2月期、3/11の震災前の本決算が公表されたが、減収減益と厳しい結果となった。ただ、マーチャンダイジング力は増しており、原価、経費が改善されたことが大きいといえる。問題は、来期であるが、来期は3/11の東日本大震災の影響が大きくヨークベニマルにのしかかることになり、現時点で、営業利益-85億円、特別損失150億円が予想される影響であり、厳しい年となるといえよう。ただ、ヨークベニマルの財務基盤は食品スーパーマーケット業界では屈指の堅固さであり、現時点で震災時の休業店舗も急ピッチで営業再開されている。したがって、今期、ヨークベニマルが、この厳しい経営環境の中で、どのような経営戦略を打ち出し、どのように経営改善をはかってゆくのか、その動向に注目である。

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