« 丸和、継続企業の前提に関する重要事象等の記載解消! | Main | 東京都中央卸売市場、4月第1週の青果の相場! »

April 08, 2011

イズミヤ、2011年2月期本決算、減収増益!

   イズミヤが4/5、2011年2月期の本決算を公表した。結果は、営業収益3,572.74億円(-3.1%)、営業利益37.94億円(74.9%)、経常利益25.65億円(174.7%)、当期純利益7.53億円(昨年は赤字)と、減収とはなったが、利益はいずれの段階でも、昨年の厳しい状況からは一転、大幅な黒字となった。ただ、営業利益の営業収益比は1.06%であり、昨対では、大幅な増益であるが、もう一段と収益性を高めたいところであろう。

   そこで、まずは、今期、イズミヤが-3.1%の減収となった要因を新店面、商品面、客数、客単価面から見てみたい。まずは、新店であるが、今期は、2010年4月に、スーパセンター広稜店(奈良県)をオープンしたが、1店舗を閉店しており、総店舗数は87店舗と昨年同様の店舗数であり、店舗の増加は見られなかった。一般に、食品スーパーマーケットの売上は新店で決まるといえ、新店が閉店を上回った時、売上増がもたらされるが、今期のイズミヤはプラスマイナス0であり、営業収益が厳しい結果となったといえる。

   気になるのは、財務面であるが、今期のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローがわずか3.22億円(昨年72.29億円)と、極めて厳しい状況である。昨年は当期純利益が赤字であり、今年は、黒字になったにも関わらず、営業キャッシュフローが好転していない。その要因は、店舗閉鎖損失引当金の増減額(-は減少)が-35.95億円(昨年36.10億円)と、差し引き、約70億円のマイナスとなったことが大きく、さらに、仕入債務の増減額(-は減少)も-34.24億円(昨年-18.36億円)となったことも加わり、結果、当期純利益の22.29億円( 昨年-79.43億円)、減価償却費の67.72億円(昨年68.13億円)を相殺してしまったことである。

   ただ、それでも、新店関連の投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出-53.13億円(昨年-40.42億円)と増加しており、結果、財務活動によるキャッシュフローでは賄い切れず、キャッシュを25.40億円取り崩し、今期の現金及び預金は66.43億円(昨年91.68億円)と、大きく減少した。イズミヤの本決算時点での有利子負債は911.10億円(昨年872.83億円)と、総資産2,437.31億円の37.38 %にあたり、純資産比率40.12%とほぼ同じといえ、純資産比率から見ても、現金及び預金から見ても厳しい財務環境にあるといえる。

   また、今期の新店にかかわる資産、土地、建物、敷金保証金の合計は1,711.97億円であり、総資産の70.24%である。差し引き、純資産でカバーできる出店余力は-30.12%と、負債に大きく依存する出店構造となっている。したがって、今期の投資活動によるキャッシュフローを、営業キャッシュフロー、さらに、財務キャッシュフローに頼ることができない以上、現金及び預金を取り崩して賄わざるをえなかったものと思われる。

   結果、新規出店が1店舗に留まり、これが、売上げが伸び並んだ最大の要因といえよう。また、商品面から見てみると、構成比61.1%の食品が97.9%、構成比20.4%の住関連品が98.5%、そして、構成比15.3%の衣料品が95.5%と厳しい結果となったことも、そのひとつである。さらに、客数98.1%、客単価99.5%と双方昨対を下回っており、これもその要因のひとつといえる。ただ、客数については、「客数増を狙いとしたクラブカード会員への販促強化にも積極的に取り組んだ結果、第3四半期以降の既存店客数は前年比99.6%まで改善し、既存店売上高も99.9%と前年水準まで回復いたしました。」とのことで、第3四半期以降は客数が回復しはじめたとのことで、良い兆候も見られ、今後、客数がどこまで回復するかが期待される。

   一方、営業利益が大きく改善した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、70.41%(昨年70.73%)と0.32ポイント改善している。これについて、イズミヤは、「平成21年8月よりイズミヤ、ユニー、フジと3社で共同開発した新ブランド「Style ONE」を発売いたしました。平成23年2月末までに1,439品目を導入し、順調に販売を拡大しております。既存のプライベートブランド「good-i」も含めた開発商品の売上高は304億円(前年同期比97.3%)となり、当社の売上高に占める構成比は10.9%(前年構成比10.9%)となりました。」とのことで、PBの貢献が大きかったといえよう。結果、売上総利益は29.59%(昨年29.27%)となった。

   これに対して、経費の方であるが、31.30%(昨年31.45%)と、0.15ポイント改善している。したがって、原価、経費双方が改善し、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.71%(昨年-2.18%)と、依然として、マイナスではあるが数字が改善している。原価、経費双方の改善が大きいといえよう。そして、これに、その他営業収入が2.81%(昨年2.79%)加わり、結果、営業利益は1.10%(昨年0.61%)と、大きく改善した。

   このように、2011年2月期のイズミヤの本決算は減収増益と、利益の回復は見えるが、新店が展開できず、さらに、商品面、客数、客単価ともにマイナスとなり、厳しい結果であったといえよう。ただ、第3四半期以降は客数の伸びが見られるとのことで、売上も回復傾向が見られる。今後、厳しい財務環境ではあるが、来期は、「平成23年9月末には中国蘇州に海外第1号店を出店する予定でございます。」とのことで、新たに海外戦略が加わり、今後、イズミヤ全体にどのような貢献があるかが、ポイントといええよう。来期は、3/11の東日本大震災による影響が読めないところであるが、イズミヤが海外を含め、どのような成長戦略を打ち出すか、注目である。

菓子パン無料診断!(POS-RDS菓子パン無料診断受付中!)
New!食品スーパー2010、財務3表連環分析、vol.1、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ!プレミアム版! 資料集

« 丸和、継続企業の前提に関する重要事象等の記載解消! | Main | 東京都中央卸売市場、4月第1週の青果の相場! »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference イズミヤ、2011年2月期本決算、減収増益!:

« 丸和、継続企業の前提に関する重要事象等の記載解消! | Main | 東京都中央卸売市場、4月第1週の青果の相場! »