マックスバリュ東海、2011年2月決算、増収増益!
マックスバリュ東海が4/14、2011年2月期の本決算を公表した。結果は、売上高1,534.64億円(8.9%)、営業利益42.82億円(18.8%)、経常利益42.64億円(19.7%)、当期純利益16.53億円(12.0%)となり、増収増益、特に、利益が20%近い伸びとなり、好決算となった。2010年5月に就任した寺嶋晋社長体制化での初めての決算であり、また、同年にはじまった第3次中期3ヵ年経営計画の初年度にもあたり、その結果が注目されていたが、結果は増収増益と幸先の良いスタートとなった。なお、第3次中期3ヵ年経営計画の目標数字は、「売上規模1,900億円、営業利益率3.5%、100店舗体制」の構築であるので、今期決算段階での達成率は、売上規模80.7%、営業利益率79.7%、店舗数90%という状況である。今後、計画通りに目標数値に達成できるかどうか、来期が重要な年となろう。
そこで、まずは、マックスバリュ東海の営業利益が好調に推移した要因を原価、経費面から見てみたい。その原価であるが74.89%(昨年74.44%)であり、0.45ポイント上昇している。これは、特に、今期、マックスバリュ東海は、「プライスリーダーシップを合言葉に各商品部門ごとに、地域一番のお買得商品を選定し、単品大量陳列を基本としつつ、お客さまに対し、商品や価格へのこだわりが伝わる売場づくりに取り組みました。」とのことで、プライスリーダーを意識した価格にこだわった政策を推し進めたためといえよう。
具体的には、「青果・鮮魚・精肉の生鮮部門では、青果部門を集客の核となる部門として位置づけ、低価格での商品提供を継続して展開、・・」、「デイリー(日配品)・グロッサリー(加工食品)・ノンフーズ(非食品)部門では、プライスリーダーシップを発揮する部門として、価格政策を強化すべくイオングループの需要集約機能を活用した仕入を拡大するとともに、確かな品質でお買得なトップバリュ商品を集めたコーナーを拡充させ、安さの伝わる売場づくり、・・」などである。結果、粗利率は、青果18.5%(昨対-0.9ポイント)、鮮魚24.0%(昨対-0.1ポイント)、精肉29.6%(昨対-1.5ポイント)、生鮮計23.1%(昨対-0.9ポイント)、デイリー26.3%(昨対-0.3ポイント)と、いずれも粗利が下がり、全体の売上総利益は25.11%(昨年25.56%)と、厳しい数字となった。
一方、経費の方であるが、24.23%(昨年24.92%)と、0.69ポイントと大きく改善した。特に、コストに関しては、「当社は、「高コスト体質からの決別 オペレーション改革元年!!」をスローガンに掲げ、スーパーマーケットの原点に立ち返り、ゼロベースでの改革を進めてまいりました。」とのことで、今期の重要な経営課題であったといえる。具体的には、「作業の棚卸しによるムダ・ムラの排除や販促チラシ回数の削減などにより作業軽減を図るとともに、適正な人員配置による人時効率の改善に取り組みました。また販促チラシについては、一部の店舗を除き、土曜日を新聞折込日とし、1週間単位の企画に変更することにより、火曜・水曜日の強化に加え、週末の販売強化も図りました。」とのことで、作業改善とちらしの見直しが大きかったといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.88%(昨年0.64%)と改善した。ただ、経費比率24.23%は、前期決算公開企業約50社も平均25.6%よりは低いが、トップクラスの20%前後と比べるとまだ改善の余地はあるといえ、今後、3カ年計画の中で、どこまで経費比率を改善できるかが課題といえよう。そして、これに、不動産賃貸収入、施設利用料等のその他営業収入が1.91%(昨年1.93%)加わり、営業利益は2.79%(昨年2.57%)と、増益となった。したがって、原価の上昇、その他営業収入の減少を、経費削減でカバーしたことにより、営業利益が大きく改善しており、経費削減効果が好業績に寄与した決算結果といえよう。
これを受けて、キャッシュフローであるが、やや気になるのは、投資活動によるキャッシュフローである。この中の新店に関する項目、有形固定資産の取得による支出が-38.15億円(-114.45億円)と大きく減少していることである。ただ、それでも、マックスバリュ東海の1店舗当たりの出店にかかわる資産は約4億円弱であるので、10店舗近い新規出店が可能であるといえ、出店意欲は依然として高い水準であり、今期は前期に比べ、低く投資を抑えているといえるが、前期を含め、2年間で見れば、成長戦略を強く意識した投資キャッシュフローであるといえよう。
このように、2011年2月期のマックスバリュ東海の決算は増収増益の好決算となった。特に、利益が20%近い伸びとなり、収益性が増したが、その中身は、経費が大きく改善したことが大きかったといえる。ただ、今後、今期からはじまった第3次中期3ヵ年経営計画の営業利益率の目標3.5%を達成するには、0.7ポイント以上の改善が必要といえ、一層の経費削減に加え、原価の改善も課題といえよう。今期の好決算を踏まえ、寺嶋社長の新体制となり、来期、マックスバリュ東海が経営目標を達成するために、特にどのように経費削減に取り組んでゆくのか、その動向に注目である。
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