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April 20, 2011

イオンの、2011年2月期決算のキャッシュフローを見る!

   前回のイオンの2011年2月期決算のブログに引き続き、今回は、さらに踏み込み、今後のイオンの経営戦略が強く表れているキャッシュフローについて見てみたい。特に、今期は前期の厳しい決算から一転、増収増益、特に営業利益が32.4%増、キャッシュフローに直結する当期純利益に関しては91.8%増、ほぼ2倍となり、キャッシュフローがどのように変化し、さらに、そのキャッシュをどのように配分したか、その結果が気になるところである。

   そこで、まずは、キャッシュイン、営業活動によるキャッシュフローであるが、意外なことに、2,611.32億円(昨年3,610.96億円)と、約1,000億円減少している。営業活動によるキャッシュフローの内、当期純利益に当たるキャッシュは1,551.66億円(昨年1,062.40億円)と約500億円増加しているが、売上債権の増減額(-は増加)-1,188.92億円(昨年-191.39億円)となったためである。これは、「金融子会社の割賦売掛金の増加等により売上債権の増減額が997 億53 百万円増加したこと等によるものです。」のことで、金融関連の売上債権の関係によるものである。

   したがって、増収増益、特に、当期純利益が91.8%増と大幅に増益になったものの、残念ながら、営業活動によるキャッシュフローは約1,000億円の減少となった。そこで、キャッシュアウト、投資活動によるキャッシュフローであるが、-1,055.17億円(昨年-3,245.73億円)と約2,000億円の削減となった。本来であれば、業績が回復した今期、投資活動によるキャッシュフローを増やしたいところであろうが、結果は、昨年の厳しい決算時の方が投資活動によるキャッシュフローをむしろ増やしており、業績とキャッシュフローは対照的な動きとなった。

   では、その約2,000億円の投資の差はどこにあるかであるが、最大の違いは、固定資産の取得による支出-1,770.06億円(昨年-3,073.90億円)であり、ほぼ、投資活動によるキャッシュフローの全額を固定資産の取得による支出に配分し、しかも、昨年よりも半減している。この投資の大半は新規出店に充てられるといえ、この結果を見る限り、来期の新店戦略は今期よりも大きく抑制されるよう。実際、イオンリテールの新店投資 (先行投資分含む)を見ると、311億円(昨年1,108億円)であり、今期は約1/4であり、成長戦略への投資を抑制しているといえる。今期の営業収益が0.8%増であった点、来期の予想が0.1%増である点を見ても、今後の投資戦略は成長戦略を抑制し、内部体制を固めてゆく方向に経営の舵を切ったといえよう。

   結果、フリーキャッシュフローであるが、1,556.15億円(昨年365.23億円)となり、今期は営業活動によるキャッシュフローも約1,000億円少なかったが、投資活動によるキャッシュフローを約2,000億円削減し、成長戦略を抑制し、フリーキャッシュフローを約1,500億円確保したといえる。

   そこで、このフリーキャッシュフロー約1,500億円を財務活動によるキャッシュフローでどのように配分したかであるが、-1,218.47億円(昨年111.79億円)と、昨年とは対照的にそのほとんどを財務改善に配分している。実際、今期の有利子負債の状況を見ると、1兆1,618.54億円(昨年1兆2,507.35億円)と約1,000億円弱削減しており、有利子負債の圧縮を図っていることがわかる。ただ、それでも、優に1兆円を超える有利子負債であるといえ、今後、一層の財務改善が必須である。

   ちなみに、イオンの今期の自己資本比率であるが、23.5%(昨年22.2%)と、若干改善しているが、依然として20%台であり、約80%弱を負債に依存する経営構造にあり、成長戦略よりも、財務改善を優先せざるをえない状況にあるといえる。総資産は3兆7,746.28億円(昨年3兆7,852.88億円)と大きな変化はないが、純資産は1兆2,192.36億円(昨年1兆1,444.34億円)と好決算を受けて増加しており、さらに、有利子負債の削減が加わり、これが自己資本比率を若干引き上げた要因といえる。

   結果、トータルのキャッシュフローは-74.68億円(昨年18.47億円)と若干のマイナスとなり、現金及び現金同等物の期末残高は3,068.20億円となった。これは総資産の8.12%に当たるが、有利子負債が1兆円を優に越えている現状を考えると、キャッシュをさらに積み上げたいところであろう。

  参考に、今期のイオンの新店であるが、全業態合計では91店舗であり、その内訳はGMS 4店舗、SM49店舗、DS9店舗、HC2店舗、その他27店舗である。また、海外では全業態で18店舗であり、GMS 8店舗、SM7店舗、その他3店舗である。GMSはイオンの中核業態であるが、主戦場は海外に移りつつあるといえよう。

   このように、イオンの今期、2011年2月期の決算におけるキャッシュフローを見ると、キャッシュの配分を成長戦略から財務改善に大きくシフトしているといえ、成長よりも財務基盤の確立を最優先で取り組んでいる実態が鮮明である。ただ、それでも、有利子負債は1兆円を優に超え、総資産の30.78%であり、当面、この圧縮にキャッシュを優先的に配分せざるをえない状況にあるといえる。来期は3/11の東日本大震災の影響が読めない中、成長戦略を打ち出すには難しい経営環境である点も考慮すると、イオンとしては、内部体制を充実し、今期同様、財務改善にキャッシュを配分せざるを得ない年となろう。

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April 20, 2011 in 経済・政治・国際 |

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