アークス、2011年2月期、本決算、3,000億円突破!
アークスが4/12、2011年2月期の本決算を公表した。結果は、売上高3,036.08億円(12.1%)、営業利益92.72億円(4.9%)、経常利益100.61億円(5.2%)、当期純利益54.49億円(7.9%)となり、増収増益、売上高は3,000億円を超えた。決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの中で年商3,000億円を超えるのは7社である。その7社ととは、前期決算の売上高で見ると、イズミ4,687.42億円、ライフコーポレーション4,565.22億円、平和堂3,612.37億円、イズミヤ3,585.79億円、ヨークベニマル 3,375.06億円、バロー3,319.93億円、マルエツ3,307.17億円である。今期決算では、8社目となるものといえ、アークスは食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスの売上規模の食品スーパーマーケットとなる。
そこで、アークスが、今期12.1%の成長を遂げ、年商3,000億円を超えた最大の要因は、「当期におきましては、東光ストアの業績が通年で寄与したため、売上高・利益共に大きく伸長いたしました。」とのことで、2009年10月にグループ入りした東光ストアがフルに貢献したことが大きい。そこで、この東光ストアの業績を除いた場合を見てみると、「当期の連結業績から(株)東光ストアの業績を除いた対前年増減率は、売上高1.2%増、営業利益3.9%増、経常利益3.2%増、当期純利益8.3%増となっております。」とのことで、増収増益基調ではあるが、その貢献度は極めて大きかったことがわかる。
アークス自身は、今期新店を新規出店4店舗、移転新築2店舗、業態変更含む改装12店舗、閉店2店舗を実施しており、総店舗数は203店舗となった。ちなみに、食品スーパーマーケットで200店舗を超えているのは、前期の決算時ではマルエツ249店舗、ライフコーポレーション208店舗のみであり、日本において、200店舗の食品スーパーマーケットを展開することが極めて高いハードルであるかがわかる。
これに対して、利益の方であるが、いずれの段階でも堅調な結果となった。そこで、営業利益が4.9%増となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価の方であるが、77.06%(昨年77.21%)と0.15ポイント下がっている。これに対して、アークス自身は、「利益の安定確保を図るべく、当社グループの共同仕入れを更に強化し、店舗においては生鮮食品の適切な加工・品出しを行うなど、廃棄ロスの対策にも取り組んでまいりました。」とのことで、仕入れとロス対策等が寄与したものといえよう。しかも、「競合他社の相次ぐディスカウント業態への転換などを含め、低価格競争が依然として続いております。」とのことで、価格政策が厳しかった中での原価改善といえる。結果、売上総利益は22.94%(昨年22.79%)となった。
一方、経費の方であるが、19.88%(昨年19.52%)と、0.36ポイント上昇している。ただ、上昇しているとはいえ、19%台であり、これも、前期決算公開企業約50社の数字を見ると、20%を切る食品スーパーマーケットは、オーケー15.0%、トライアルカンパニー15.5%、大黒天物産17.2%、アオキスーパー17.2%、スーパーバリュー18.4%、マルミヤストア18.8%の6社であり、アークスの経費比率がいかに低い数字であるかがわかる。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、3.06%(昨年3.27%)と0.21ポイント下がった。アークスの場合はその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、営業利益は率では昨年を下まわったが、売上高が12.1%となったため、営業利益高では4.9%の増益となった。
これを受けて、アークスの経営の意思がダイレクトに表れるキャッシュフローであるが、営業活動によるキャッシュフローは72.52億円(昨年79.21億円)と若干減少したが、その要因は、当期純利益は増加したが、その他の流動負債の増減額(-は減少)が-10.93億円(昨年2.98億円)となったためである。これに対して、新店戦略がダイレクトに反映される投資活動によるキャッシュフローであるが、-26.99億円(昨年-56.44億円)となり、一見、投資を控えているように見えるが、昨年は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出、すなわち、東光ストアのグループ化に-43.82億円投資したためである。したがって、新店に直接かかわる投資は、有形固定資産の取得による支出-35.37億円(-18.08億円)と倍増しており、積極的な投資である。
結果、フリーキャッシュフローは、45.53億円(昨年22.77億円)と倍増している。そして、このキャッシュを財務活動によるキャッシュフローに充てることになるが、結果は、-56.12億円(昨年1.51億円)と、全額を超えるキャッシュ当てている。その中身であるが、-40.77億円を有利子負債の削減に充てている。こう見ると、今期は、昨年のM&A、今期は新店と財務基盤の改善にキャッシュを振り向けており、一段と企業価値の増大を図っていることがわかる。
このように、2011年2月期のアークスは、売上高3,000億円を達成し、増収増益という好決算となった。やや気になるのは経費増がマーチャンダイジング力をやや下げたことであるが、東光ストアのグループが大きく寄与し、営業利益高は増益となった。そして、その増益となったキャッシュを成長戦略と財務改善の双方にバランスよく振り向けており、企業価値をより高める流れを作ったといえよう。今後、パワーを増したアークスが北海道商圏の中で、どこまでシェアを拡大してゆくか、次の成長戦略に注目である。
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