イオン、2011年2月期決算、増収増益、GMS復調!
イオンが2011年2月期決算を4/14、公表した。結果は、営業収益5兆965.69 億円(0.8%)、営業利益1,723.60億円(32.4%)、経常利益1,820.80億円(39.8%)、当期純利益596.88億円(91.8%)となり、増収幅はわずかであったが、増収増益、特に、利益は昨年の厳しい状況から一転、大幅な増益となる好決算となった。特に、今期はイオンの中核、GMSの収益が改善したことが大きかったといえよう。
イオンは事業構造を大きく4つに分けており、その結果を見ると、中核のGMSを含む総合小売事業4兆1,358.86億円(101.2%:構成比81.1%)、営業利益804.67億円(182.1%:構成比46.7%)と回復したことが大きいといえる。それにしても、GMSを含む総合小売事業の営業収益の構成比が80%を超えるといえ、いかに、イオンがGMSにより支えられているかがわかる。
今期、イオンはこのGMSへの取り組みに関しては、「当社は、GMS(総合スーパー)事業改革をグループの重要課題と位置付け、同事業のさらなる成長と収益性向上に取り組んでまいりました。この改革を一層加速させ、新しいGMS事業へ進化させることを目的に、イオンリテール株式会社を存続会社とし、同社はイオンマルシェ株式会社と2010 年12 月1日に、株式会社マイカルと2011 年3月1日に合併しました。これにより誕生した新生イオンリテール株式会社は、営業収益2兆円を超えるスケールメリットを最大化するとともに、既存の店舗ブランド「ジャスコ」「サティ」を「イオン」に統一し、イオンブランドの認知度向上に努めます。」とのことで、イオン=GMSと名実ともに一致したといえ、今後とも、このGMS改革を推進してゆくとのことである。
そして、この総合小売事業に次ぐ事業は、サービス等事業であり、営業収益1兆1,112.11億円(103.8%:構成比21.8%)、営業利益421.87億円(96.3%:構成比24.5%)である。営業収益の構成比がすでに、2つの事業で100%を超えるが、これは、単純に営業収益を集計しているためであり、事業構造の重なる領域が2重に計算されているためである。ついで、専門店事業であり、営業収益5,328.84 億円(98.0%:構成比10.4%)、営業利益57.46億円(昨年は赤字:構成比%)である。最後がディベロッパー事業であり、営業収益1,710.08億円(103.3%:構成比3.4%)、営業利益384.51億円(101.1%:構成比22.3%)である。したがって、今期は中核のGMSを含む総合小売事業が昨対を特に営業利益において大きく上回ったことが全体の数字を押し上げたといえよう。
そこで、営業利益が昨対32.4%アップとなった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、72.83%(昨年71.96%)と0.87ポイント上昇している。これについてイオンは、「イオンのブランド「トップバリュ」の開発強化、商品原価の低減、サプライチェーンの効率化等を進め、お客さまにご支持いただける品質や機能、価格を追求した新商品の開発や商品のリニューアルを積極的に実施しました。」とのことで、特にトップバリュに力を入れたとのことであるが、今期に関しては、まだ数字には跳ね返っていないといえよう。結果、売上総利益は27.17%(昨年28.04%)となった。
一方、経費の方であるが、35.10%(昨年36.43%)と、1.33ポイントと大きく改善している。それにしても、食品スーパーマーケットの経費比率と比べると、35.10%は約10%高いといえ、昨年対比では大きく改善したとはいえ、今後、いかに、この経費比率を下げられるかが依然として、大きな課題といえよう。これに対して、イオンは、「新しい成長戦略を支える強い収益基盤の構築を目指し、当期は、グループ横断的かつ構造的なコスト削減を推進するための専任組織を設置し、グループ全社でコスト構造改革を推進しました。その結果、期首の目標額を大きく上回る販売費および一般管理費の削減を達成しました。」とのことで、今期はグループ全体でコスト削減に取り組んだとのことである。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-7.93%(昨年-8.39%)と、マイナス幅が縮まっており、コスト削減の効果が表れているといえよう。そして、これに、GMS特有の不動産収入、物流収入等のその他営業収入が11.72%(昨年11.26%)のり、営業利益は3.79%(昨年2.87%)と、大きく改善した。したがって、今期、イオンの営業利益が大きく改善した要因は原価の上昇を経費の削減とその他営業収益の増加で補った結果であるといえる。それにしても、その他営業収入が11.72%とは驚きであり、さらに、昨年を大きく上回ったこともすごいといえよう。いかに、GMSはこのその他営業収入が利益の源泉であるかがわかる。
このように、2011年2月期のイオンの決算は増収増益、特に、営業利益が32.4%増と大幅なアップとなる好決算となった。その要因はイオンの営業収入の約80%を占めるGMSの業績が向上した結果であり、特に、経費の削減、GMS特有のその他営業収入が大きく伸びたことが要因といえる。ただ、さすがに、来期は、営業収益5兆1,000.00億円(0.1%)、営業利益1,750.00億円(1.5%)、経常利益1,830.00億円(0.5%)、当期純利益400.00億円(-33.0%)と、微増の予想である。東日本大震災の影響が読めないこともあるといえるが、今期以上に経費の削減を進められるかどうか課題といえよう。イオンが今後、GMSの構造改革を一層進め、特に、その最大の課題である経費削減にどこまで踏み込めるのか、その具体策に注目である。
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