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April 21, 2011

コンビニ売上速報、2011年3月度、9.2%増!

   3/11の東日本大震災後となる注目のコンビニの2011年3月度の売上速報が4/20、(社)日本フランチャイズチェーン協会から公表された。結果は、加盟店、全43,492店舗の売上高が7,046.83億円となり、昨年対比9.2%となる大幅な伸びとなった。2月度が8.7%、1月度が7.2%であるので、3月度はこの3ケ月の中でも最も高い伸びとなった。また、既存店も3月度は7.7%、2月度は6.5%、1月度は5.1%であるので、特に、既存店が好調に推移したことが、全体の売上を押し上げた要因といえる。ただし、この統計数値は、「3月11日に発生した東日本大震災により営業停止等の店舗があり、それらのデータは含まれておりませんので、参考数値として発表いたします。」とのことであるので、営業停止店舗を除いての数値である。

   それにしても、営業停止店舗を除いていたとしても、既存店が7.7%の伸びは大きな伸びといえ、いかに、東日本大震災後、全国の消費者がコンビニに生活物資を求めたかがわかる。そこで、特に、伸びた要因を客数、客単価、そして、商品群から見てみたい。まずは、客数であるが、全体の数字は昨対0.5%のプラスであるが、既存店は昨対-0.6%と下がっており、客数の上昇はみられなかった。2月度が全体の客数、昨対3.6%、既存店2.0%、1月度が全体2.3%、既存店0.7%であったことと比べても、大きく下がってはいないが、ほぼ昨年並みの客数であったといえる。したがって、伸びた要因は客単価である。

   その客単価であるが、この3月度は、全体が8.7%、既存店も8.3%であり、客単価が大きく伸びていることがわかる。特に既存店の客単価が8.3%、客数は-0.6%であるので、通常の購入よりも購入金額を明らかに増加しているといえ、まとめ買いが発生したといえよう。ちなみに、客単価の数字であるが、既存店は昨年の566.8円がこの3月度は614.1円と47.3円アップの600円を超えており、大幅なアップである。

   ここで、客単価1円を考えてみたい。この3月度の全体の客数は11億3,118.2万人、店舗数は43,492店舗であり、営業日数は31日として、1日当たりを計算すると、1日当たりの平均客数は838.9人となる。したがって、客単価1円は、この3月度の平均的なコンビニで838.9円の売上が上がることになる。一方、コンビニの1品当たりの価格を200円とすると、客単価1円はPI値×平均単価となるので、1=PI値×200円、PI値=1円/200円=0.5%となる。0.5%は平均客数838.9人であるので、掛けると4.2個となる。

   整理すると、この3月度の数字で見ると、客単価1円のアップは1店舗当たりの平均的なコンビニでは金額ベースで838.9円、数量ベースで4.2個のアップとなる。したがって、この3月度は、客単価が47.3円アップしたので、1店舗当たり、金額ベースで、39,679.97円、数量ベースで198.66個、約4万円、約200個の増加である。これが、この3月度の昨年と比べての上乗せ分といえ、それだけ、3/11の東日本大震災後、コンビニの需要が増加したといえ、これが3月度、好調に売上が推移した要因である。

   そこで、この数字が伸びた要因をさらに商品面から見てみたい。コンビニは商品群を大きく4つに分けている。コンビニの中核商品ファストフードが含まれる日配食品、加工食品、たばこの含まれる非食品、そして、コピー、電気代、ガス代などのサービスの4つである。この中で、この3月度最大の伸びを示したのは、いまや売上構成比36.4%と、No.1部門となった非食品の23.8%であり、驚異的な伸びである。たばこが大きく貢献していることはもちろんであるが、2月度16.8%、1月度13.2%であるので、たばこ以外が10%近く、この3月度はプラスとなっている。ちなみに、たばこ以外に貢献した主な商品であるが、乾電池、電球・蛍光灯、燃料、医薬品、医薬部外品栄養ドリンク、紙製品等であるといえ、これらが、プラスアルファとなったと思われる。

   これについで伸びた部門は構成比28.3%の加工食品であるが、3.7%である。非食品とは大きな差であり、平均の9.2%と比べてもかなり下回る数字である。1月度は2.6%、2月度2.0%であるので、若干伸びているとはいえるが、わずかである。ついで、構成比31.4%の日配食品であるが、わずか1.0%である。1月度5.3%、2月度6.8%と比べると、明らかに鈍化しており、3月度の日配食品は厳しい状況にあったといえよう。最後に、構成比3.9%のサービスであるが、-2.4%とマイナスとなった。1月度5.3%、2月度2.6%と比べてもマイナスは大きな落ち込みであるといえる。したがって、商品面から見た3月度の好調な要因は非食品にあったといえる

   このように、2011年3月度のコンビニの売上速報は全体が9.2%、既存店が7.7%と好調な数字となり、客数よりも客単価が47.3円、8.7%アップしたことがその要因である。しかも、その中身は、コンビニの中核商品であるファストフードを含む日配食品が伸びたことではなく、たばこを含む非食品のみが伸びたことによる売上増であるといえ、まさに、3/11の東日本大震災による非食品の買いだめによる効果であったといえよう。したがって、これは一時的な特需ともいえる動きであるといえ、来月以降はその反動が発生しかねない状況にあるといえる。次回4月度も同様な傾向が続くとは思えず、しばらくは消費者の動向をしっかりつかみ、慎重に対応してゆくことが必要といえよう。

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