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April 15, 2011

大黒天物産、2011年5月期、第3四半期決算、増収増益!

   大黒天物産が4/5、2011年5月期、第3四半期決算を公表した。結果は売上高655.07億円(11.4%)、営業利益36.55億円(6.9%)、経常利益36.47億円(6.8%)、当期純利益18.00億円(-0.8%)となり、当期純利益は「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額として特別損失に2億5千9百万円を計上、・・」とのことで、減益となったが、営業、経常段階では増収増益となり、好決算となった。ただ、売上高の伸び率に対して、営業利益の伸び率が低い点がやや気になるところである。

   そこで、営業利益が増益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、77.47%(昨年77.14%)となり、0.33ポイントの上昇が見られる。大黒天物産自身も「当社グループでは平成20年4月より実施しております購買頻度の高い商品約100品目以上を2割から5割値下げした「生活応援宣言セール」を引き続き実施するとともに、平成22年12月には「お客様の生活を豊かにしていきたい」という念い(おもい)から店頭売価よりも更に減額するというかたちで「総額2億円利益還元セール」を実施いたしました。」とのことで、今期は価格訴求を強力に推し進めており、これが原価に少なからぬ影響を与えたものと思われる。結果、売上総利益は22.53%(昨年22.86%)となった。

   一方、経費の方であるが、16.94%(昨年17.03%)となり、0.09ポイント改善している。それにしても、この経費比率16.94%は、前期の決算公開企業約50社の中では、オーケー15.0%、トライアルカンパニー15.5%につぐ低さであり、トップクラスの比率である。特に、今期は、「管理コストの一層の見直しと作業効率の改善による販売費及び一般管理費の圧縮にも努めてまいりました。」とのことで、経費削減の効果が表れているといえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.59%(昨年5.83%)と、原価の上昇が大きく、カバーできない結果となり、率では減少した。ただ、高では、売上高が11.4%伸びたために、カバーしており、金額ベースでは増益となった。大黒天物産はその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、営業利益も率では減少、高では増加という決算結果となった。

   したがって、増益要因は売上高の上昇、11.4%増が大きかったといえる。その増収要因であるが、今期は、「当第3四半期累計期間4店舗目(うち1店舗は移転出店)となるディオ防府南店を新たな商圏である山口県防府市に出店いたしました。」とのことで、新規出店効果が大きいといえよう。ただ、大黒天物産の総店舗数は前期56店舗であるので、59店舗となったことになるが、11.4%の売上増は恐らく、既存店も好調に推移したと思われ、新店、既存店がバランスよく成長に寄与し、結果、経費削減にもつながったものといえよう。

   ここで、大黒天物産の出店余力を見てみると、純資産比率は60.0%であり、新規出店関連の資産、土地、建物、敷金保証金の合計は101.10億円であり、総資産241.31億円の41.89%であり、差し引き、18.11%、十分な出店余力である。前期の決算公開企業約50社の平均が-22.3%であり、トップがヨークベニマルの24.4%、それに次ぐ高い数字であり、成長戦略を積極的に推し進められる財務基盤が確立されているといえる。しかも、出店にかかわる資産101.10億円は全59店舗で割るとわずか1.71億円であり、これも前期の決算公開企業約50社の平均が4.73億円と、極めて低い出店に関わる資産であり、独特な新規出店戦略をとっていることがわかる。

   また、今期の財務活動によるキャッシュフローを見ると、有利子負債を7.49億円圧縮しており、結果、有利子負債は12.00億円、総資産の4.97%、現金及び預金は65.13億円(総資産の26.99%)と強固な財務基盤であり、恐らく来期には無借金経営となるものと予想される。

   さらに、今期の投資活動によるキャッシュフローを見ると、新規出店関連への投資が17.37億円(昨年3.97億円)と4倍に跳ね上がっており、1.71億円の出店にかかわる資産で割ると約10店舗分となり、総店舗数59店舗で割った出店意欲は16.9%となる。この財務状況を見る限り、次の第4四半期を含め、今後も積極的に成長戦略を押し進めてゆくものと思われる。実際、大黒天物産の残り四半期を含めた通期決算予想であるが、売上高880.00億円(9.7%)、営業利益43.72億円(4.8%)、経常利益44.00億円(5.6%)、当期純利益22.30億円(0.4%)と、この第3四半期よりもやや下回る予想ではあるが、当期純利益は改善し、増収増益の好決算を予想している。

   このように、2011年5月期の大黒天物産の第3四半期決算は増収増益、特に、売上高が好調に推移し、原価上昇による営業利益率の減少を、利益高でカバーし、好決算となった。また、この第3四半期では有利子負債が削減され、財務基盤が一層強化され、同時に新規出店関連への投資も積極的に行い、出店意欲は旺盛、今後の成長が期待されるキャッシュの配分である。次の第4四半期はもちろん、来期、さらに成長が期待されるが、大黒天物産の今後の新規出店戦略に注目である。

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