日経で2月期決算、食品スーパーマーケット、PBRの記事!
4/23の日経新聞で食品スーパーマーケットのPBRの記事が掲載された。見出しは、「好業績で割安な2月期決算企業」、「中堅スーパーが上位に、アパレルも目立つ」であり、記事の中ではPBRランキングベスト30も掲載されており、PBRを真正面から取り上げた記事である。特に、3/11の東日本大震災以降の各社の株価が反映されたPBRであるので、投資家がどう企業価値を評価しているかを盛り込んだ結果であり、興味深い内容である。
PBRとはPrice Book-value Ratio(株価純資産倍率)の略であり、数式は株価を一株当たり純資産(株主資本)で割って算出するが、別の数式では時価総額を純資産で割って算出することもできる指標である。実際、計算してみると、株価/(純資産/株数)=株価×株数(時価総額)/純資産となるからである。この指標が注目されるのは、時価総額と純資産との関係を表し、PBRが1.0を下回った場合、純資産の方が時価総額よりも高くなるため、株式を所有しているよりも、会社そのものを解散し、純資産を株主に分配した方が有利になることがわかる指標であるからである。したがって、PBRが1.0を下回る場合は、経営者は何とか、会社が解散されては困るので、1.0以上を目指し、時価総額を引き上げようと必死になり、結果、株価が上昇するのではないかと期待がもたれるため、PBR 1.0を下回り、業績の良い会社が投資家に注目されることになる。
ただ、一方で、PBRはPER(株価収益率)、ROE(株主資本利益率)とも関係が深い指標であり、 PBR=ROE×PERで関係づけることができる。ROEが純利益/純資産、PERが時価総額/純利益であるので、純利益が約分され、時価総額/純資産となり、すなわち、PBRとなるためである。したがって、PBRを高めるためには、ROEを高めるか、PERを高めるか、あるいは、双方を高めることも必要であり、そのバランンスで決まる指標でもある。
さて、日経の記事にもどると、PBRの低い企業、年商500億円以上のベスト30が一覧表で掲載されているが、単純なPBRの順ではなく、これに今期の経常増益率を加え、経常利益が上昇している企業をランクづけし、ベスト30を掲載している。したがって、先の数式、PBR=ROE×PERでいえば、PBRが低くて、ROEが高い企業ということになろう。また、さらに、参考に、今期の経常利益額の見通しも掲載しており、経常利益の伸び率だけでなく、今期、どのくらいのキャッシュが見込めるかも参考数字として算出している。いわば、お買い得の株価であり、なおかつ、配当も望めそうな株価の企業ベスト30というところといえよう。
その結果、No.1となったのは、エコスPBR 0.80(経常利益率194.8%、経常利益見通し9億円)である。そして、No.2ポプラPBR 0.53(42.0%、5億円)、No.3オリンピックPBR 0.47(35.9%、12億円)、No.4タキヒヨーPBR 0.65(34.8%、15億円)、No.5PBR 0.29(32.6%、34億円)である。以上がベスト5であるが、5社中4社がコンビニ、食品スーパーマーケットであり、記事の通り、食品スーパーマーケットが上位を占めているといえる。
さらに、ベスト10まで見てみると、No.6東武ストアPBR 0.75(31.2%、14億円)、No.7米久PBR 0.47(25.1%、25億円)、No.8キリン堂PBR 0.46(20.4%、18億円)、No.9西松屋チェーンPBR 0.95(15.2%、96億円)、そして、No.10プレナスPBR 0.98(14.3%、69億円)である。ここでは食品スーパーマーケットは東武ストアの1社のみであるが、ドラックストアのキリン堂、西松屋チェーンと、小売業では合計3社が入っている。
そして、No.11以下で食品スーパーマーケット及び関連企業のみを見てみると、No.12CFS個オーポレーションPBR 0.62(9.6%、25億円)、No.15天満屋ストアPBR 0.56(6.7%、16億円)、No.16オークワPBR 0.48(6.5%、72億円)、No.18タイヨーPBR 0.40(4.3%、24億円)、No.19アークランドサカモトPBR 0.66(4.0%、68億円)、No.20イオン北海道PBR 0.62(3.9%、44億円)、No.21平和堂PBR 0.54(3.9%、113億円)、No.22マルエツPBR 0.63(3.8%、60億円)、No.23マックスバリュ西日本PBR 0.79(3.6%、80億円)、No.24アークスPBR0.77(3.4%、104億円)、No.25マックスバリュ東海PBR 0.47(1.5%、43億円)、No.26サンエーPBR 0.82(1.4%、100億円)、No.27ベルクPBR 0.65(1.3%、53億円)、そして、No.30イオンPBR 0.87(0.5%、1,830億円)である。
合計14社であり、ベスト10の4社と合わせ、18社、ちょうど60%となる。食品スーパーマーケットがいかに、3/11以降、PBRが下がる一方、経常利益がそれなりに増益率が高いかが鮮明になったといえよう。記事の中でも「消費者心理が悪化しており、投資家は個人消費関連銘柄を買い控えている」とのことであるが、心理的な要因も大きいといえよう。
このように、3/11の東日本大震災以降、食品スーパーマーケットの株価は厳しい状況が続いているといえる。今後、3月決算企業の決算発表が行われるが、その数字がどのような結果となるか、そして、2月期決算企業の次の第1四半期決算の結果がどのような結果となるか、この数字が確定するまでは、心理的な影響が色濃く反映される株価が続くといえ、結果、時価総額が株価の低迷により下がり、結果、PBRが低くなる傾向となろう。その意味で、食品スーパーマーケット業界の3月期決算の結果、そして、2月期決算の第1四半期決算の結果に注目である。
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