セブン&アイH、2011年2月期、増収増益!
セブン&アイHが2011年2月期の本決算を、4/7、公表した。結果は、営業収益5兆1,197.39億円(0.2%)、営業利益2,433.46億円(7.4%)、経常利益2,429.07億円(7.0%)、当期純利益1,119.61億円(149.5%)となり、増収はわずかであったが、増収増益となる堅調な決算となった。結果、EPS(1株当たり当期純利益)は126.21円(昨年49.67円)と大幅に増加し、株主への貢献を示す株価の価値が大きく増加した。
そこで、まずは、セブン&アイHの増収増益となった要因を事業部門別に見てみたい。まず、営業収益が伸びた事業であるが、約40%の構成比のコンビニエンスストア事業であり、3.4%増であり、これ以外の事業では、構成比0.7%のその他の事業が5.8%増のみであり、残りの事業はすべて昨対を割り、厳しい結果となった。そのコンビニエンスストア事業であるが、国内チェーン全店売上高は2兆9,476.06億円(昨対105.8%)であり、北米も売上高は1兆4,455.71億円(昨対103.6%)と堅調な数字となり、セブン&アイH全体を大きく牽引したといえる。ただ、国内の営業収益への貢献は売上高ではなく、加盟店収入であるので、コンビニエンスストア事業の約20%強となり、4,411.86億円(昨対108.18%)であった。
一方、営業利益の方であるが、コンビニエンスストア事業がセブン&アイHの80.02%を締めるが、その結果は1,954.77億円(昨対106.3%)となり、全体の営業利益を押し上げたといえる。ただ、今期決算については、営業利益は7.4%増であるので、他の事業も全体を押し上げたといえる。そこで、その他の事業の営業収益と営業利益を見てみると、スーパーストア事業(営業収益-1.7%、営業利益10.8%)、百貨店事業(営業収益-0.8%、営業利益311.4%)、フードサービス事業(営業収益-7.2%、営業利益赤字)、金融関連事業(営業収益-3.2%、営業利益-6.0%)、その他の事業(営業収益5.8%、営業利益赤字)という結果である。したがって、スーパーストア事業、百貨店事業の営業利益への貢献度が今期は大きかったといえよう。
では、昨年と比べ、収益性が回復されたことにより、経営の意思が強く反映されるキャッシュフローがどのようになったのかを見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、3,105.27億円(昨年3,222.02億円)と、ほぼ昨年と同じ数字となった。一方、投資活動によるキャッシュフローであるが、-3,120.81億円(昨年-1,151.58億円)と、投資を大きく増加させている。これは、「店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出や、セブン&アイ・アセットマネジメントにおける西武池袋本店の土地建物等の取得に伴う支出があったことなどにより3,120 億8 千1 百万円の支出となりました。」とのことで、昨年以上の有形固定資産への投資が増したためである。
したがって、財務活動によるキャッシュフローで賄うか、キャッシュを取り崩すことになるが、財務活動によるキャッシュフローは、-562.58億円(昨年-1,567.08億円)と減少してはいるが、マイナスであり、キャッシュを取り崩しての投資活動によるキャッシュフローへの配分となった。結果、現金及び現金同等物の増減額(△は減少)は -605.73億円(昨年543.97億円)となり、現金及び現金同等物の期末残高は6,567.47億円(昨年7,173.20億円)となった。ちなみに、セブン&アイHの有利子負債は7,209.92億円であり、ほぼ同等なキャッシュであるといえ、いかに、手厚いキャッシュを確保しているかがわかる。
そして、営業利益が増加した要因を事業構造外の別の角度、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、74.25%(昨年73.75%)となり、0.50ポイント上昇しており、原価は厳しい状況であった。結果、売上総利益は25.75%(昨年26.25%)と減少した。一方、経費の方であるが、33.37%(昨年33.60%)と、-0.23ポイント減少しており、経費の改善は進んだといえる。ただ、原価の上昇をカバーするまでにはいたっておらず、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-7.62%(昨年-7.35%)とマイナス幅が広がっており、厳しい結果であったといえる。
これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が13.00%(昨年12.33%)加わり、営業利益は5.38%(昨年4.98%)となり、増益となった。こう見ると、今期の増益はその他営業収入によるところが大きいといえ、先に見たように、スーパーストア、すなわち、GMS、そして、百貨店特有のその他営業収入が増加したことが、利益を押し上げた大きな要因といえよう。
このように、2011年2月期のセブン&アイHの本決算は増収増益となったが、増収幅はわずかであり、セブンイレブンに依存した売上増の構造であり、今後、いかに、その他の事業をバランスよく成長させてゆくかが課題といえよう。また、利益は堅調な増益となったが、その要因は営業利益の約80%の構成比を占めるセブンイレブンが堅調であったことに加え、スーパーストア、百貨店のその他営業収入に負うところが大きかったといえ、課題を残す結果といえよう。そして、来期であるが、すでに、セブン&アイHは減益予想を公表しているが、3/11の東日本大震災の影響は避けられず、厳しい結果が予想される。震災後、営業状況は日々好転しているが、どこまで減益予想を縮められるか、今後のセブン&アイHの経営戦略に注目である。
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