あやかりの原理!
ID-POS分析の最大の特徴はIDを基点に商品の分析をしてゆくことであるが、その分析を進める上で、ID-POS分析特有の独特な分析手法が開発されつつある。そのひとつが前回のブログで取り上げた「だるまの原理」であるが、もうひとつが今回取り上げる「あやかりの原理」である。実は歴史的にはこの「あやかりの原理」の方が古く、しかも、ID-POS分析の一歩手前のレシート分析では、特にアメリカを中心に盛んにマーチャンダイジングに活用されていた原理である。しかも、その指標もすでに開発済みであり、アメリカではリフト値として、ID-POS分析特有の分析手法として実績がある。ただ、ID-POS分析というよりも、レシート分析(バスケット分析)が基本であるため、本来このリフト値もID-POS分析に基づいて分析すべき手法である。ここでは、敢えてID-POS分析にもとづくリフト値を活用したものを「あやかりの原理」とした。
ちなみに、ID-POS分析はほとんど未開拓の分野、特に、日本ではそういっても過言ではなく、この分野は誰でも、現時点では、様々な新たな原理を開発することができる。基本方程式も決定版が確立されている訳ではなく、この数式についても、新たに開発してゆくことが可能である。本ブログでも今後、様々な原理、そして、新たに開発した数式を公開してゆきたいと思う。また、それらは名前がないので、とりあえず、勝手に命名し、実戦投入してゆく予定である。とりあえず、現時点で、ID-POS分析で確立されたものは、基本方程式、すなわち、新マーチャンダイジング方程式(新MD方程式)と「だるまの原理」、それに、この「あやかりの原理」である。
さて、「あやかりの原理」であるが、これはある商品の売上げをあげるために、どの商品といっしょに売れば良いか、すなわち、どの商品にあやかれば良いかを見極める原理である。従来は、リフト値として、指標化し、レシート分析(バスケット分析)で盛んに活用され、実戦ではクロスマーチャンダイジングに応用されていた原理であるが、ここでは、これをID-POS分析から新たに導き、売上げの根拠をより明確にした。
従来のクロスマーチャンダイジングと、どこが違うかであるが、根本的な違いは売上げがあがる根拠が違う。従来のリフト値は基本がレシート分析に依拠してリフト値を算出していた。すなわち、売上高=レシート枚数×金額PI値であり、このレシートに着目することになる。したがって、対象商品Aのレシート枚数を算出し、次に、クロスマーチャンダイジング対象の商品Bの中での商品Aのレシート枚数を算出する。そして、まずは、商品Aのレシート枚数を全体のレシート枚数で割った指数、商品Aの客数PI値を算出する。次に、商品Bの中の商品Aのレシート枚数の割合、商品Bの中の商品Aの客数PI値を算出する。この時、商品Aの客数PI値よりも、商品Bの中の商品Aの客数PI値の方が高い場合は、商品Aを商品Bがリフトする可能性が高いと判断する。これがリフト値である。
ここから、商品Aは普通に販売するよりも、商品Bとクロスマーチャンダイジングを掛けた方が客数PI値があがり、結果、商品Aのレシート枚数が増え、売上高=レシート枚数×金額PI値であるので、金額PI値が下がらない限り、レシート枚数が増え、売上高があがるというからくりである。これが従来のリフト値を活用したクロスマーチャンダイジングである。
そこで、「あやかりの原理」であるが、どこが違うか、その根本的な違いは、レシートではなく、顧客IDを基点にしたことである。したがって、売上げのとらえ方も、売上高=ID×ID金額PI値となる。しかも、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値と分解できるので、特に、ID客数PI値にも踏み込む点である。リフト値の算出の仕方は、レシートがIDに置き換わり、先の事例では商品Aのレシートではなく、商品Aの顧客IDとなり、同様に商品Bも商品Bのレシートの中の商品Aのレシートではなく、商品Bの顧客IDの中の、商品Aの顧客IDとなる。したがって、仮に、商品Aのレシートが2枚あり、2枚とも同じ顧客であった場合には、レシートでは2枚であるが、顧客IDでは1人となる。
したがって、リフト値も分母はすべてレシートではなく、顧客IDとなり、クロスマーチャンダイジングはまさに、商品Bの顧客にあやかり、顧客を増やし売上げをあげてゆくためのひとつの方法となる。また、さらに、ID客数PI値にまで踏み込むため、単にIDの数だけを見るのではなく、ID客数PI値も加味し、顧客が高頻度で購入されているかどうかも重要な指標として取り入れ、本当に、商品Aは商品Bにあやかれるかどうかを判断することになる。
これが「あやかりの原理」であり、すべての基点を顧客IDをもとに考え、顧客IDを増やすことを第1義の目的とし、従来のレシートの客数PI値もID客数PI値を活用することによって組み込んでしまうことになる。さらに、金額PI値は同じ概念であるので、そのままである。したがって、本当に、対象商品の売上げを上げるために、どの商品にあやかれば良いかがわかり、しかも、結果、顧客IDが増加し、その顧客の頻度もあがり、さらに1回当たりの売上げ(金額PI値)をも引き上げる可能性の高い商品を見つけ出せるのが、この「あやかりの原理」の実践的活用方法となる。
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