スーパーバリュー、2011年2月期決算、増収減益!
スーパーバリューが4/14、2011年2月期の決算を公表した。結果は、売上高479.75億円(10.7%)、営業利益10.87億円(-4.3%)、経常利益9.70億円(0.0%)、当期純利益 4.88億円(-12.0%)となり、増収減益となるやや厳しい決算となった。ただ、各食品スーパーマーケットの売上高が伸び悩む中、10.7%の成長となり、順調に新店を展開しており、スーパーバリューの成長性の高さを示す決算となった。現在、スーパーバリューは16店舗を埼玉県を中心に展開しているが、今期は、「平成22年3月に志茂店(東京都北区)、12月に等々力店(東京都世田谷区)の2店舗を出店し、・・」と、2店舗を出店している。したがって、新店効果は単純計算で2/16=12.5%の成長が期待できることになり、2店舗の新店の貢献度が大きかったといえよう。
そこで、まずは、スーパーバリューのここ数年の新店戦略を見てみたい。2010年度は先に見たように、12月に等々力店(東京都世田谷区)、3月に志茂店(東京都北区)の2店舗、2009年度は11月に大宮天沼店(埼玉県さいたま市)、見沼南中野店(埼玉県さいたま市)、10月に荒川一丁目店(東京都荒川区)、7月に東所沢店(埼玉県所沢市)の4店舗、そして、2008年度は12月に入間春日町店(埼玉県入間市)、10月に川口前川店(埼玉県川口市)と2店舗をオープンしている。したがって、この3年間に8店舗をオープンしており、まさに、急成長を遂げているといえ、この勢いが、この2011年度も継続しているといえる。
では、この急激な新規出店を支えた財務状況はどのような状況にあるのかを見てみたい。まずは、自己資本比率であるが、18.6%(昨年15.6%)であり、昨年よりは上昇しているが、80%以上を負債に依存する構造であるといえ、財務構造としては、厳しい状況であるといえよう。そこで、負債の中身を見てみると、有利子負債が112.56億円(昨年110.28億円)と総資産200.29億円の56.19%と半分以上を占めており、財務に重くのしかかっている。ただ、この内、50.75億円は責任財産限定対象であるため、リスク分散が図られている。これは、資産とも連動しており、出店関連の資産である土地28.62億円、建物及び構築物28.30億円等も責任財産限定対象となっている。したがって、「上記匿名組合の借入金は匿名組合の責任財産限定対象資産のみを担保とするものであり、当社に返済義務はないものであります。」とのことである。
スーパーバリューがここ最近急成長を遂げた要因は、この独特な財務戦略にあるといえ、通常であれば、自己資本比率18.6%では、思いきった新規出店が難しいところであるが、この仕組みがここ数年の成長戦略を支えてきたといえる。ただ、さすがに、今期の投資活動によるキャッシュフローの中の新規出店にかかわる項目、有形固定資産の取得による支出は1.65億円(昨年5.59億円)と、大きく減少しているので、今後は、資産のかからない居抜き出店に切り替え、内部体制を固めてゆくものと思われる。
さて、スーパーバリューが急成長を遂げた要因は、この積極的な新規出店にあったといえるが、その一方で、新店をいち早く軌道に乗せる価格競争力もその要因といえる。そこで、今期の営業利益の構造を原価、経費から見てみると、原価は79.68%(昨年79.69%)と0.1ポイント改善しており、結果、売上総利益は20.32%(昨年20.31%)となった。この内、食品スーパーマーケット部門は19.9%、ホームセンター部門が21.5%であるので、食品スーパーマーケットは20%を下回る低さであり、強力なディスカウント政策が実施されていることがわかる。昨年の決算公開企業約50社の平均が25.0%であるので、いかに、低い数字であるかがわかる。
一方、経費の方であるが、18.67%(昨年18.38%)であり、昨年よりも0.29ポイント上昇しているが、18%台は極めて低い経費比率である。これも、昨年の決算公開企業約50社の平均が25.6%であるので、いかにローコスト構造であるかがわかる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.65%(昨年1.93%)となり、プラスとはなったが、昨年よりも減少した。これに、不動産収入等のその他営業収入が0.62%(昨年0.69%)加わり、結果、営業利益は2.27%(昨年2.62%)となり、減益となった。ただ、減益となったとはいえ、これだけ経費比率が低いと競合の食品スーパーマーケット等とも価格競争力が優位に展開できるため、売上高の増収を支える大きな要因となったといえよう。
このように、スーパーバリューの2011年2月期の決算は2桁の増収とはなったが、営業利益は昨対を割り、増収減益となった。スーパーバリューはこれまで新店を積極的に展開し、急成長を遂げ、さらに、業界屈指の低い経費比率を武器に、価格訴求を全面的に打ち出し、シェアを拡大してきたといえる。気になるのは、財務、自己資本比率であり、責任財産限定対象の仕組みを取り入れているものの、18.6%は、今後とも成長を目指す上においては、厳しい数字といえる。今後は財務改善も視野に入れたバランスをとった経営戦略が必須といえ、来期以降、スーパーバリューがどのような経営戦略を打ち出すか注目である。
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