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May 08, 2011

東武ストア、2011年2月期、減収減益!

   東武ストアが4/12、2011年2月期決算を公表した。結果は売上高811.63億円(-0.4%)、営業利益8.34億円(-40.1%)、経常利益10.67億円(-34.0%)、当期純利益7.67億円(-66.4%)と、減収減益、厳しい決算となった。ただ、自己資本比率は69.3%(昨年68.8%)と改善、その比率も70%に迫り、食品スーパーマーケット業界の中でも屈指の高い数字である。東武ストアとしては、この安定した財務状況をもとに、いかに、経営改革をはかるかが、当面の課題といえよう。

   そこで、東武ストアがこの決算結果と同時に公表した決算説明会資料をもとに、どのような改革に取り組みはじめているのかを見てみたい。来期、東武ストアが最も重視している政策は「個店ごとの戦い」の実践である。具体的には、これまで営業計画を策定するのは本部であったが、これを店舗主導による予算策定に切り替えることである。東武ストアによれば、「店舗ごとに競合店を明確にし、戦い方を立案。本部と議論を重ねて予算を策定。」とのことであり、本部はサポート機能を強化するとのことで、いわゆる個店主義の実践といえる。

   一見、チェーンストア理論の否定にも見えるが、チェーンストア理論の根幹は仕入れと販売を分離し、本部主導の仕入れを徹底することにあるので、この部分には踏み込んでおらず、依然として組織形態は本部主導の仕入れを前提とするチェーンストア理論を維持しているといえる。販売を店舗主導に切り替え、個店の競争力を引き上げるために、競合店を考慮し、営業方針を決めてゆくというものである。したがって、もう一歩、進め、個店仕入れにまで踏み込む体制までゆくのかどうかが、今後の課題といえよう。ただ、固定仕入れをするには、店舗に優秀な人材を配置し、自主的な判断ができる人材教育も必須であり、自然、正社員比率が上がるため、そこまでゆくには、根本的な経営戦略の見直しが必須といえる。今回の改革は、その方向性を残しながら、一歩、個店主義に近付いた政策といえよう。ちなみに、ほぼ、この個店主義に近いイメージの食品スーパーマーケットがオオゼキであるといえる。

   そして、もうひとつ、来期の方針で示されているのが、売場づくりの監督指導である。これは、大きく3つに分かれている。①販売計画の事前立案と実行レベルの向上、②お客様目線で、わかりやすく、買い易い売場づくりの実施、③価格志向からの脱却(売価政策の見直し)である。特に、①が個店主義を具現化した項目であるといえ、「自店の立地特性に合わせて週単位の売場展開を実施、チラシ効果を最大限に発揮できる売場構築の実現、新商品の導入時には、商品本部と連携して、週毎のチェックを実施」からなり、本部の支援のもとに各店が独自に売場づくりを実施するという内容である。また、そのために、店舗独自のPOPが②の実践として、「お客様が商品の食べ方や特性を理解し易いよう、「コトPOP」の活用する」と、なされてゆく。さらに、③では、「品質、グレード、鮮度を重視した品揃えの確立・1ランク上の商品の導入と売り込みに果敢に挑戦」と、競合店との価格競争をするのではなく、むしろ品質競争を行う方針を打ち出し、原価の下落を防ぐ政策も導入される。

   以上が、来期の東武ストアの営業改革の骨子といえるが、では、この営業改革の導入に踏み込むきっかけとなった今期の営業利益が-40.1%と大きく減益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、72.12%(昨年73.63%)と、原価は1.51ポイントと大きく下がっており、この厳しい経営環境の中、改善している。結果、売上総利益は27.88%(昨年26.37%)となった。一方、経費の方であるが、26.84%(昨年24.65%)と、2.19ポイントと、原価とは一転、大きく上昇している。それにしても、この経費率の上昇はかなり大きなインパクトがあるといえ、今後、いかに経費比率を引き下げる営業体制をつくるかが課題といえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.04%(昨年1.72%)となり、東武ストアはその他営業収入が計上されておらず、イコール、これが営業利益となる。これが今期、東武ストアが減益となった要因であり、原価は改善したが、経費が大きく上昇したことによる。こう見ると、東武ストアの来期の営業方針は今期の結果を見る限り、経費削減の仕組みづくりが大きな課題といえよう。東武ストアも経費削減策の監督指導として、店舗人件費の見直し、手数料の削減、光熱水道費(電気量)の削減を掲げているが、恐らくこれだけでは厳しく、さらに踏み込んだ構造的な対応が課題といえよう。

   このように2011年2月期の東武ストアの決算は減収に加え、経費比率が大きく上昇したため、原価の改善を補うことができず、減益となった。これを受けて、来期は、個店主義を強く打ち出す方針であるが、経費削減よりも、競争力を向上させ、増収をはかる点に力点が置かれているといえる。今後、東武ストアがさらに個店主義を徹底し、チェーンストアの核心、仕入れの改善にまで踏み込んでゆくか、その行くへに注目である。

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