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May 07, 2011

サンエー、2011年2月期決算、増収増益!

   サンエーが4/13、2011年2月期の決算を公表した。結果は、営業収益1,435.86億円(4.8%)、営業利益96.69億円(9.8%)、経常利益 99.10億円(10.6%)、当期純利益56.42 億円(13.0%)となり、増収増益の好決算となった。また、自己資本比率も70.8%(昨年64.3%)と、70%を超え、財務的にも食品スーパーマーケット業界屈指の極めて高い数字となった。昨年の決算公開企業約50社の中でも自己資本比率が70%を超えているのはヨークベニマル、マルキョウの2社のみであり、70.8%がいかに高い数字であるかがかる。

   サンエーは、この健全な財務状況による強さもさることながら、営業利益率の高さも食品スーパーマーケット業界屈指の数字である。そこで、今期の営業利益が増益となった要因を原価、経費面、その他営業収入面から見てみたい。まずは、原価であるが、69.91%(昨年69.81%)であり、0.10ポイントの上昇が見られる。サンエー自身も、「小売部門におきましては、個人消費が低迷する中、低価格販売による競争激化で商品単価の下落が続いておりましたが、一部に回復の兆しが見られました。」とのことで、回復の兆しが見られるとのことであるが価格競争の影響があったものと思われる。

   結果、売上総利益は30.09%(昨年30.19%)となった。それにしても、30%を超える売上総利益は、昨年の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの中では、最も高い数字であり、食品スーパーマーケット業界の限界に近い数字であるといえよう。その要因はサンエーが独特な多角化経営を行っており、食品(構成比約55%)だけでなく、衣料品、住居関連用品、外食、ホテル、CVSと幅広い事業展開をしており、特に、衣料、外食、ホテル等の原価が低い事業が大きく貢献しているためである。

   一方、経費の方であるが、28.20%(昨年27.14%)と、1.06ポイントと大きく上昇している。サンエーは、先に見たように、原価も低いが、経費も高いという特徴がある。一般に食品スーパーマーケットは経費小原価小が理想といえるが、このような企業はほとんどなく、通常は経費小原価大を目指して、EDLP、EDLCを目指す経営戦略といえる。これに対して、経費大原価大、経費大原価小もパターンとしてはあるが、経費大はいずれも利益が出しにくく、特に、経費大原価大の場合は他の利益に依存せざるをえなくなり、食品スーパーマーケットのビジネスモデルとはやや離れることになる。サンエーはこの内、経費大原価小にあたる珍しいパターンであるといえる。したがって、経費改善ができれば、利益は大きく増大する構図であるが、今期は残念ながら、経費の大幅な上昇が見られ、利益が出しにくい構造となった。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.89%(昨年3.05%)と、プラスとはなったが、昨年と比べ縮小した。ちなみに、経費比率が大きく増大した要因は、その他経費が139.39億円(昨年124.12億円)と15.27億円増加したためである。そして、これに、不動産賃貸収入、加盟店からの収入等のその他営業収入が5.19%(昨年3.59%)加わり、結果、営業利益は7.08%(昨年6.64%)と、大幅な増益となった。今期は特に、この、その他営業収入の増加が大きく上昇したことが、営業利益を押し上げた要因であるが、これは、昨年はなかった加盟店からの収入によるところが大きく、コンビニエンス事業の貢献が大きかったものと思われる。それにしても、営業利益率が7%を超えるのは昨年の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの中ではトップであり、7%が食品スーパーマーケットにとって、いかに高い営業利益率であるかがわかる。こう見ると、今期のサンエーの営業利益率の業界屈指の高さは、その他営業収入によるところが極めて大きく、これが、サンエーの沖縄商圏内での多角化の成果といえよう。

   これを受けて、サンエーの来期予想であるが、営業収益1,447.43億円(0.8%)、営業利益 98.62億円(2.0%)、経常利益100.49億円(1.4%)、当期純利益 59.86億円(6.1%)と、増収増益予想であるが、今期よりはその増加率はやや低く、特に、成長率が厳しい予想である。サンエーは「一部不安定な国際情勢による先物価格の高騰に加えて東日本大震災による影響も懸念され、より厳しい経営環境になることが予想されます。」とのことで、厳しい経営環境になるとの見通しである。

   このように、サンエーの2011年2月期決算は増収増益と好決算となった。また、自己資本比率も70%を超え、財務的にも安定した健全な結果となった。ただ、やや気になるのは、経費比率の大幅な上昇が見られ、マーチャンダイジング力が縮小したことである。本来、サンエーは経費大原価小であるので、経費削減が可能であれば、利益を向上させやすい営業構造であるが、今期は逆の方向に動き、苦戦したといえよう。それでも、その他営業収入が大きく上昇したため、結果、営業利益は増益となったといえ、今後、いかに、経費比率を改善できるかが、大きな課題となったといえる。来期、この経費比率がどこまで改善されるか、サンエーの動向に注目である。

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