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May 01, 2011

マックスバリュ西日本、2011年2月期決算、増収増益!

   マックスバリュ西日本が4/5、2011年2月期、本決算を公表した。結果は、営業収益2,444.36億円(9.4%)、営業利益 75.45億円(9.7%)、経常利益77.22億円(6.8%)、当期純利益35.36億円(-16.5%)となり、営業、経常段階では増収増益の好決算となった。なお、当期純利益については、「既存店の業態転換等による減損損失を含む特別損失を計上したことにより、・・」とのことで、減益となった。

   そこで、今期マックスバリュ西日本の当期純利益が減益となった業態転換の状況を見てみた。マックスバリュ西日本は現在、4つの業態を展開している。その内訳であるが、中核業態はSSM(スーパースーパーマーケット)であり、90店舗(構成比55.4%)である。ついで、ザ・ビック(ディスカウントストア)28店舗(構成比29.1%)、SM(スーパーマーケット)39店舗(構成比14.7%)、CSM(コンビニエンス・ スーパーマーケット)4店舗(構成比0.8%)である。これを昨年の前期と比べると、SSM(100.0%)、ザ・ビック(147.7%)、SM(97.5%)、CSM(60.0%)であり、ザ・ビックへの急激なシフトが鮮明であり、ディスカウント戦略を強く推進していることがわかる。

   実際、「店舗開発については、期首より15店舗(MV西今宿店、B多度津店、B奥田南店、MV東加古川店、EX広島駅北口店、MV三木北店、B鴨方店、B笠岡店、MV町坪店、MV菅生店、B神辺店、B連島店、B国分寺店、B松神子店、B倉敷店)を開店いたしました。」とのことで、Bがザ・ビックであるので、15店舗の内、9店舗と大半の新規出店がザ・ビックであることがわかる。しかも、「県別には兵庫県に5店舗、岡山県に5店舗、広島県に2店舗、香川県に2店舗、愛媛県に1店舗を開店いたしましたが、中でも岡山県では、業績が低迷していた既存のマックスバリュ4店舗をビッグ店舗に業態を転換することにより、競争力の強化を図りました。」とのことで、各地区でザ・ビックを展開しており、いまや、ザ・ビックがマックスバリュ西日本の戦略業態といえる。

   では、ザ・ビックへの戦略転換が営業利益の増益にどのような影響を与えたのかを原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.84%(昨年75.23%)と、残念ながら、原価は0.61ポイント上昇している。結果、売上総利益は24.16%(昨年24.77%)となった。これについて、マックスバリュ西日本は、「営業及び商品面では、厳しい経済状況の中において、お客さまにお求めやすい価格を提供することを目的にEDLP(エブリデー・ロー・プライス)の実現に取り組みました。EDLP(エブリデー・ロー・プライス)商品については、商品開発から店舗での販売に至るまでのバリューチェーンを構築することによるコストダウンを図り、更なる価格優位性の実現に取り組んでおります。」とのことで、EDLPへの取り組みが売価を引き下げ、原価に影響したものといえよう。

   特に、原価改善のための戦略商品であるPB、トップバリュについては、「荒利面では、デフレ基調が定着する中において、グループ共同調達の活用やプライベートブランドであるトップバリュ商品の訴求強化による向上を図りました。」とのことであるが、マックスバリュ西日本全体への売上構成比は8.9%(昨年9.0%)と昨年よりも下げている。しかも、ザ・ビックは6.0%(昨年6.0%)、SSMは9.8%(昨年9.8%)と、ザ・ビックの方が構成比は低く、NB比率が高いといえる。したがって、EDLP戦略をPB戦略で補うことが厳しい状況であったものといえよう。

   これに対して、経費の方であるが、23.31%(昨年23.84%)と0.53ポイント改善している。これについて、マックスバリュ西日本は、「現場力強化及び収益構造の改革の取り組みでは、生産性向上に向けた働き方改革を継続するとともに、営業組織下に店舗のサポートを行うスーパーバイザーを配置する組織変更を実施することにより、現場における販売力の強化と生産性の向上に取り組みました。」とのことで、生産性の向上が経費削減に寄与したといえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.85%(昨年0.93%)と、プラスにはなったが、昨年よりも下がっており、原価の上昇が経費の改善を上回っており、厳しい結果となった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.31%(昨年2.23%)加わり、結果、営業利益は3.16%(昨年3.16%)となった。したがって、売上高の増加分がほぼそのまま営業利益の増加につながったといえ、原価、経費、その他営業収入は、差し引き相殺されており、ザ・ビックの貢献度は売上高への増収効果が顕著に表れたといえよう。

   このように、2011年2月期のマックスバリュ西日本の決算は営業、経常段階では増収増益の好決算となったが、その中身は、ザ・ビックを戦略業態として、積極的に展開したことが大きかったといえる。特に、ザ・ビックの貢献度は営業構造の中ではディスカウント性が高まり、売上増をもたらす一方、原価を下げる結果とはなったが、同時に経費の削減、不動産収入等の増加ももたらしており、営業利益率では昨年並みの数字を確保することができた。したがって、売上高の増収分がそのまま営業利益高に跳ね返り、増益をもたらしたとえいる。今後、マックスバリュ西日本としては、ザ・ビック戦略を通じて、営業構造をさらに改善できるかどうか、そして、どこまでザ・ビック戦略を推し進めてゆくのか、注目である。

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