ヤマザワ、2011年3月期決算、営業増益!
食品スーパーマーケット、3月期決算の上場企業、最後となるヤマザワの決算が5/27公表された。これで、食品スーパーマーケット業界の大半の2011年度決算の公表が終了した。残りは4月期、5月期、そして、9月期の決算となるが、約10社となる。今期、食品スーパーマーケットの決算は2月期決算企業とそれ以降では決算の内容が大きく分かれる。2月期決算までは、当期純利益に大きな影響を与える、「資産除去債務に関する会計基準の適用」がなく、3月期決算企業から、この適用があるからである。また、3/11の東日本大震災の影響も一部加わるため、その影響が出るためである。特に、ヤマザワは宮城県にも19店舗出店しており、その影響が懸念される決算となった。
そのヤマザワの決算結果であるが、売上高909.72億円(1.5%)、営業利益25.89億円(13.9%)、経常利益26.36億円(14.3%)、当期純利益7.73億円(-36.0%)となり、営業、経常段階では増収増益となったが、当期純利益に関しては、「「資産除去債務に関する会計基準」の適用により4億51百万円を、東日本大震災による店舗の建物及び構築物、工具、器具及び備品や商品の被害により9億15百万円を災害による損失として、それぞれ特別損失に計上したことにより、7億73百万円(同36.0%減)となりました。」とのことで、減益となった。結果を見ると、東日本大震災の影響の方が大きかったといえる。
実際、この大震災の中、ヤマザワは、「東日本大震災発生後、地域のお客様へ食料品を中心とする生活必需品を提供し続けるという小売業としての使命を果たすため、一日も早い復旧に向け最大限の取り組みを行なってまいりました。特に生活必需品の安定供給に向けて、商品の確保、店舗の営業継続、やむなく営業停止した店舗の速やかな営業再開を推し進めると共に地域企業の一員として被災者救援のため、支援物資の提供や義援金等の支援活動を実施してまいりました。」とのことで、営業継続、営業再開に全力で取り組んできたとのことである。
ヤマザワの実際の被災状況であるが、「このたびの東日本大震災において、当社グループにおきましても宮城県において店舗の損壊や、津波により商品等が流出する被害を受けました。その結果、宮城県内スーパー5店舗及び併設するドラッグ3店舗の休業を余儀なくされました。売上面における影響は期末までの営業日数が少なかったことや他店舗での販売活動等により軽微なものとなりました。」とのことで、被害はあったものの、本決算に与える影響は軽微であったとのことである。
なお、ヤマザワの今期の自己資本比率は62.8%(昨年65.2%)と、特別損失の影響等で若干下がっているが、それでも60%を超える高い数字である。前期食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の平均が41.3%であり、ベスト5には入る安定した数字である。したがって、今回の震災の財務に与える影響は現時点では軽微であるといえよう。ちなみに、約40%弱の負債の中身であるが、特に、経営に影響を与える有利子負債は24.68億円であり、総資産419.78億円の5.87%であり、経営への影響はわずかであるといえる。
そこで、今期、ヤマザワが営業、経常段階で増収増益となった要因を、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.75%(昨年71.67%)となり、0.08ポイントであるが、わずかに上昇した。結果、売上総利益は28.25%(昨年28.33%)となった。一方、経費の方であるが、25.39%(昨年25.78%)と、0.39ポイント削減している。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は2.86%(昨年2.55%)と、増益となった。ヤマザワは、その他営業収入を計上していないため、マーチャンダイジング力=営業利益であり、今期は、経費削減が寄与し、営業増益となった。
これを踏まえて、来期であるが、「売上高1,000億円(前年同期比9.9%増)、営業利益27億50百万円(同6.2%増)、経常利益28億円(同6.2%増)、当期純利益は15億円(同93.9%増)を見込んでおります。」とのことで、いよいよ、年商1,000億円を目指し、増収増益の好決算となる予想である。特に、投資活動によるキャッシュフローの新規出店にかかわる項目、有形固定資産の取得による支出は、-9,19億円(昨年-22.41億円)と、昨年と合わせ、30億円以上を投資しており、安定した財務基盤をもとに、新規出店も積極的に実施してゆく方針といえよう。
このように、2011年3月期のヤマザワの決算は、資産除去債務に関する会計基準の適用と、東日本大震災の影響を受け、特別損失が合計13.66億円発生したため、営業、経常段階では増収増益となったものの、当期純利益は減益となった。ただ、財務基盤は、自己資本比率が60%を超え、安定しており、この大震災の影響も比較的軽微となったため、経営への影響はわずかなものにとどまったといえる。したがって、来期は、今期以上に積極的な経営を目指すものといえ、年商もいよいよ、1,000億円を視野に入れたといえる。新規出店も計画通りに進むものといえ、来期、ヤマザワがどこまで今期の経営数値を改善するか、その結果に注目である。
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