家計調査データ、2011年3月度、震災後の消費は?
総務省統計局から、4/28、2011年3月度の家計調査データが公表された。3/11の東日本大震災後のはじめての家計調査データであり、その結果が注目されていたが、気になる食品の数字は1,918.48円(100.5%)と、昨対を超え、堅調な結果となった。ただ、食品を含めた全体の消費額は9,457.45円(91.6%)となり、この3月度は、食品以外の消費の落ち込みは大きかったといえ、消費全体は厳しい数字であったといえる。
そこで、まずは、この3月度、特に消費が下がった項目を見てみたい。大分類で見て、10%以上、消費が下がった項目であるが、外食363.58円(84.0%)、住居496.45円(83.2%)、被服及び履物375.00円(83.9%)、交通・通信1,326.45円(87.3%)、教育417.48円(79.7%)、教養娯楽943.71円(80.9%)の6項目である。この中で、最も大きかったのは、教育417.48円(79.7%)であるが、これは、国公立高校 8.87円(33.5%)、私立高校29.48円(69.6%)と、高校授業料の無償化の影響によるところが大きい。ただ、これ以外にも、私立小学校0.77円(28.6%)、私立中学校1.90円(35.3%)、私立大学93.61円(64.2%)と、私立学校関係の授業料が軒並み下がっており、これも教育全体を押し下げた要因である。
ついで、教養娯楽943.71円(80.9%)であるが、教養娯楽用耐久財146.58円(68.6%)と教養娯楽サービス451.42円(78.0%)の落ち込みが大きい。その要因であるが、教養娯楽用耐久財では、テレビ60.16円(54.4%)、携帯型音楽・映像用機器0.84円(68.4%)、パーソナルコンピュータ36.94円(75.7%)、ビデオカメラ1.16円(22.9%)、ビデオデッキ12.03円(88.8%)など、家電関連の落ち込みが大きかったといえる。また、教養娯楽サービスでは、パック旅行費102.65円(65.6%)、国内パック旅行費62.48円(56.0%)、外国パック旅行費40.16円(89.5%)など、旅行関連、そして、音楽月謝18.03円(86.3%)、他の教養的月謝12.55円(74.2%)、スポーツ月謝28.03円(80.5%)、映画・演劇等入場料12.10円(64.5%)、スポーツ観覧料1.61円(79.4%)、ゴルフプレー料金15.32円(86.7%)、スポーツクラブ使用料8.29円(88.9%)などが軒並み大きく下がっている。
ただ、この教養娯楽の中でも比較的堅調な消費もある。教養娯楽用品213.52円(94.0%)である。この中には、電池12.90円(285.7%)が異常値となっており、これ以外にも、他の教養娯楽用品21.84円(126.3%)、教養娯楽用品修理代0.48円(166.7%)、ペットフード19.13円(103.7%)、テレビゲーム機4.13円(119.6%)などは計画停電の影響もあってか、消費が伸びた項目である。
外食363.58円(84.0%)であるが、全体的に厳しい結果であったが、その中でも、飲酒代35.00円(64.4%)、中華食9.90円(71.2%)、日本そば・うどん11.10円(78.9%)、中華そば13.55円(83.5%)、ハンバーガー11.06円(82.1%)、和食48.87円(80.1%)等が厳しい消費額であった。住居496.45円(83.2%)では、給排水関係工事費15.23円(29.7%)、外壁・塀等工事費23.03円(35.0%)、植木・庭手入れ代2.10円(43.3%)等、工事関連が厳しい結果となった。被服及び履物375.00円(83.9%)では、男子用洋服59.06円(72.9%)、婦人用洋服89.58円(81.6%)の消費額が特に下がった項目である。そして、交通・通信1,326.45円(87.3%)であるが、何といっても、自動車等購入が200.97円(61.8%)と、大きく消費額が減少しているが、一方で、ガソリン193.94円(104.8%)、自動車等部品38.29円(112.5%)は、消費額を伸ばしている。また、郵便料6.06円(117.5%)、運送料18.94円(131.6%)など、通信関連の消費額は大きく伸びている。
以上が、食品以外の特に、この3月度、大震災の影響が大きかったと思われる項目であるが、ここで、食品について見てみたい。まずは、全体は食品1,918.48円(100.5%)と堅調な結果であったが、大分類で消費額が下がった項目を見てみると、魚介類210.61円(94.0%)、乳卵類104.29円(98.1%)、菓子類213.97円(92.3%)、酒類97.84円(96.2%)であり、消費額の大きな落ち込みは見られなかった。これ以外はすべて、昨対を超えており、特に、飲料123.32円(108.9%)、主食的調理食品114.06円(104.0%)、穀類232.48円(109.6%)は計画停電関連ということもあり、消費額を力づく良く底上げしたといえよう。
さらに、消費額が両極端に動いたものをピックして見ると、プラス項目は、米 82.06円(113.2%)、カップめん14.35円(140.8%)、即席めん6.61 円(129.7%)、小麦粉2.58円(117.6%)、もち3.45円(137.2%)、粉ミルク2.84円(139.7%)、乾燥スープ8.87円(131.6%)、ふりかけ4.97円(116.7%)、ミネラルウォーター12.84円(248.8%)、コーヒー15.61円(112.6%)等である。逆に、マイナス項目は、貝類 12.55円(80.7%)、まんじゅう3.68円(74.0%)、他の和生菓子27.97円(85.8%)、アイスクリーム・シャーベット10.65円(86.2%)、ビール25.87円(88.4%)、ウイスキー2.81円(85.3%)、ワイン5.23円(88.0%)等である。
このように、注目された2011年3月度の家計調査データであるが、食品は計画停電の影響もあり、買いだめ需要が発生したものと思われ、若干のプラスとなったが、全体の消費は1割弱下がるという厳しい結果となった。特に、外食、住居、被服及び履物、交通・通信、教育、教養娯楽の6項目への影響が顕著であったといえよう。今回の大震災は東日本、特に東北地方に限定されていたとはいえ、この家計調査データは日本全体の数字であり、いかに、全国的に大きな影響があったかがわかる。4月以降もこの大震災の様々な影響は続くと思われ、当面、消費動向を注意深く見てゆく必要があろう。
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