バロー、2011年3月期決算、増収増益!
バローが5/10、2011年3月期決算を公表した。結果は、営業収益3,791.72億円(9.9%)、営業利益123.03億円(30.2%)、経常利益 127.65億円(28.7%)、当期純利益 42.23億円(7.1%)となり、増収増益、特に、利益が大きく伸びる好決算となった。今期は、3月期決算の企業には資産除去債務の会計基準が適用されるが、バローもその影響額が14.83億円となったが、この損失を上回る営業利益の伸びがあり、増益を確保した。実際、営業利益は30.2%の伸びであるが、当期純利益は7.1%の伸びにとどまっており、増益とはなったが、その影響は大きかったといえる。ちなみに、14.83億円は、営業収益の0.39%に当たるので、インパクトのある数字といえる。
そこで、まずは、バローの営業利益が30.2%と大きく増益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、76.05%(昨年76.42%)と0.37ポイント改善しており、原価が下がっている。バローも、「チラシ特売価格による販売促進を減らすなど、毎日安定したお買い得価格を維持するEDLP施策を拡大しております。また、総菜製造の中部フーズ(株)、パン生地製造の(株)北欧倶楽部に加え、(株)福井中央漬物で漬物の製造を開始するなど、製造小売業のビジネスモデルづくりも推進いたしました。」とのことで、製造小売への取り組みと、ハイロー価格政策の特売からEDLP政策を拡大したことが寄与したものと思われる。結果、売上総利益は23.95%(昨年23.58%)となった。
一方、経費の方であるが、24.40%(昨年24.62%)と、0.22ポイント改善した。特に、原価改善にもつながったと見られるEDLPにともなう広告宣伝費であるが、1.11%(昨年1.21%)と、0.10ポイント改善しており、その成果が見られる。また、「SMバローにおける既存店売上高は、通期で前年比プラス1.1%の伸びを達成することが出来ました。」とのことで、既存店がプラスに転じたことで、相対的に固定費が下がったものと思われる。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.45%(昨年-1.04%)と、依然としてマイナスではあるが、その幅は大きく縮まっており、数字が改善されている。原価、経費、ダブルでの改善効果が大きかったといえる。そして、これに、不動産収入、その他営業収入等のその他営業収入が3.82%(昨年3.88%)が加わり、営業利益は3.37%(昨年2.84%)と、大きく増益となった。こう見ると、その他営業収入は若干減少しており、営業利益が増加した要因は、原価、経費、双方の改善効果であるといえ、この改善効果が、最終利益である当期純利益における特別損失、資産除去債務の会計基準の適用による影響額を相殺しており、当期純利益をも押し上げる結果となった。まさに、食品スーパーマーケットにとっては、原価、経費、この2つの改善がいかに利益に直結するかを示しているといえよう。
また、今期のバローは利益が大幅に増加したことに加え、売上高も好調に推移している。その要因は先にもあげた既存店が1.1%と増収となったことに加え、「新規出店が当社グループでは積極出店による事業規模の拡大を図り、グループ全体で37店舗を出店いたしました。5店舗の閉店と合わせ、期末の店舗数は494店舗となりました。」とのことで、積極的な新規出店を行ったことが大きい。
そこで、今期の投資活動によるキャッシュフローを見てみると、-144.28億円(昨年-104.53億円)であり、今期は大きく増加している。その要因は新規出店にかかわる項目、有形固定資産の取得による支出が-122.24億円(-91.29億円)であり、大きく増加しており、積極的な新規出店が今期だけでなく、来期も継続することがうかがわれる。実際、バローは、「当年度より5か年でSM80店舗の出店を目標と掲げており、当年度は16店舗を出店いたしました。」とのことで、当面、積極的な新規出店を目指す方向である。
結果、来期の通期予想であるが営業収益4,195.00億円(10.6%)、営業利益141.00億円(14.6%)、経常利益142.00億円(11.2%)、当期純利益 64.00億円(51.5%)と、今期同様、増収増益の高い成長率を前提とした好決算である。したがって、当面、バローは成長性を重視した経営戦略を打ち出す方針であるといえる。やや気になるのは自己資本比率が32.1%(昨年31.7%)と、約70%弱を負債に依存する財務構造であり、有利子負債も697.46億円(昨年691.07億円)と、若干増加し、総資産1,901.05億円の 36.7%になっていることである。成長戦略を支えるためには、増収増益の好決算をいかし、財務改善も同時に進めたいところであろう。
このように、バローの2011年3月期の決算は大幅な増収増益となり、好決算となった。特に、営業利益が原価、経費がEDLPの浸透の成果も見られ、ダブルで改善したことが大きく、結果、3月決算から適用された資産除去債務の会計基準の影響も相殺し、当期純利益も増益となった。来期以降も、バローは、成長戦略重視の積極的な経営戦略を目指す方針であり、当面、高成長を前提とした収益の確保をはかってゆくとのことである。それにしても、原価、経費のダブルでの改善がいかに食品スーパーマーケットの利益を押し上げるかが改めて表れた結果であるといえ、バローが来期、さらに、その改善するか、その結果に注目である。
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