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May 20, 2011

スーパー大栄、2011年3月期決算、減収減益!

   食品スーパーマーケット業界、2011年3月期決算の上場企業の公表も残り数社となった。その1社、スーパー大栄の決算が5/18、公表された。結果は、売上高272.70億円(-5.2%)、営業利益-0.46億円、経常利益-0.84億円、当期純利益-1.47億円と、減収減益、特に、利益はいずれの段階でも赤字となる厳しい決算となった。自己資本比率も31.6%(昨年32.2%)と、さらに下がり、財務状況も厳しい結果といえる。

   この結果に関して、スーパー大栄は大きく2つの経営環境の激変の影響があったとコメントしている。ひとつは、競合店のあいつぐ出店による影響である。これについて、「SM事業部の店舗地域では、競合スーパーだけでなく、ドラックストア等の出店ラッシュで、低価格戦略の影響を受け、採算面で再生が厳しいと思われる店舗が発生しました。」とのことである。さらに、「特に、吉塚店とバーニュ半道橋店につきましては、競合店の出店で集客力も激減し、将来的に再生が厳しいと判断し、吉塚店を平成22年9月、バーニュ半道店を平成23年3月に閉鎖いたしました。また、高江店につきましても店舗の老朽化が激しく、再投資しても投資効果と回収可能性の両面から検証して採算はとれないと判断し、平成22年12月に閉鎖いたしました。」とのことで、店舗の閉鎖があいついだとのことである。

   そして、2つ目は、「昨年の夏、記録的な猛暑の影響で農作物が大幅な不作となり入荷量が激減した事や鮮魚部門においては海水温の温暖化で海の生態系が変わり漁獲量が大幅に減るなど、青果・鮮魚とも異常な品不足と価格高騰の影響で、生鮮比率の高い鮮ど市場は大打撃を受けました。」とのことである。また、この鮮ど市場に関しても、「鮮ど市場店舗の集積する商圏内に競合スーパーが集中して新規出店し、異常なまでの低価格で誘致作戦を展開いたしました。その結果、集客力が大幅にダウンし、売上高は予想を下回りました。」とのことで、ひとつめの影響も同時に受けたとのことである。

   スーパー大栄は、平成14年以降、鮮ど市場が戦力業態であり、鮮ど市場永犬丸店(平成14年8月)、吉野家永犬丸店(平成14年9月)、鮮ど市場行橋店(平成15年10月)、鮮ど市場福間店(平成16年4月)、鮮ど市場浅川店(平成17年10月)、鮮ど市場直方店(平成18年5月)、鮮ど市場岡垣店(平成18年11月)、鮮ど市場本城(平成19年8月)、鮮ど市場上津店(平成20年8月)、鮮ど市場花瀬店(平成21年10月)、サンディ行橋店(平成22年9月)、鮮ど市場稲築店(平成22年10月)、サンディ筥松店(平成22年11月)と、鮮ど市場がスーパー大栄の成長を支えてきたといえる。その主力業態が今期、先にあげた2つの影響を受けたことが、全体の業績に大きな影響を与えたといえよう。

   このような経営環境の激変により、営業利益は赤字に転落したが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、79.07%(昨年78.68%)となり、0.39ポイントと大きく上昇している。まさに、競合店の価格訴求の影響が響いたといえよう。結果、売上総利益は20.93%(昨年21.32%)となった。一方、経費の方であるが、22.42%(昨年22.07%)と、0.35ポイントと、こちらも大きく上昇している。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.49%(昨年-0.75%)となり、マイナス幅が大きく拡大する結果となった。原価、経費、双方がダブルで大きく上昇したことが大きかったといえる。

   そして、これに、不動産賃貸収入、物流収入等のその他営業収入が1.33%(昨年1.30%)加わり、結果、営業利益は-0.16%(昨年0.55%)となり、赤字となった。今期は原価、経費、その他営業収入と、トリプルで昨年よりも、売上対比が下がっており、厳しい利益構造となったことが、その要因といえよう。それにしても、まさに、経営環境の激変が起こったといえ、競合店のインパクトがいかに大きかったかがわかる。

   これを受けて、来期予想であるが、売上高273.00億円(0.1%)、営業利益1.40億円、経常利益1.00億円、当期純利益1.00億円と、わずかではあるが、増収増益である。これについて、スーパー大栄は、「次期の見通しにつきましては、積極的に店舗展開する方針であり、サンディ事業部で3店舗、フレッシュ8事業部で1店舗の新規出店を計画しております。」とのことで、積極策に転じるとのことである。

   このように、スーパー大栄の2011年3月期の決算は、減収減益、しかも、赤字という極めて厳しい決算となった。競合店の新規出店、ディスカウント政策に加え、生鮮の仕入れ環境の激変もあり、経営環境が大きく変化したことが大きかったといえる。したがって、原価、経費、その他営業収入等のいずれもダウン、トリプルで利益構造への大きな影響があり、営業利益が赤字となった。この今期の厳しい経営環境は来期も継続し、厳しさを増すものといえるが、スーパー大栄はあえて、来期は、新規出店を行い、積極策に転じ、収益の改善をはかるという。通期予想では増収増益を目ざしているが、どのような結果となるか、まずは、次の第1四半期決算の結果に注目である。

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