ヤオコー、2011年3月期決算、増収増益!
ヤオコーが5/9、2011年3月期の決算を公表した。結果は営業収益2,210.61億円(7.1%)、営業利益96.03億円(11.7%)、経常利益94.18億円(11.3%)、当期純利益 51.48億円(6.6%)となり、増収増益の好決算となった。当期純利益は、減損損失2.68億円、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額4.42億円が計上されたため、増益幅がやや下がったが、そのマイナスを吸収し、プラスとなっており、ヤオコーの収益性の高さが光る決算となった。
そこで、まずは、ヤオコーが増収となった要因であるが、今期は、「店舗につきましては、4月に桐生境野店(群馬県桐生市)、7月に草加原町店(埼玉県草加市)、9月に鴻巣吹上店(埼玉県鴻巣市)、10月に佐倉染井野店(千葉県佐倉市)、相模原下九沢店(神奈川県相模原市)、11月に八王子並木町店(東京都八王子市)、2月に大宮大成店(埼玉県さいたま市)の7店舗を開設いたしました。」とのことで7店舗の新店が大きく貢献したといえる。ヤオコーは、「埼玉県69店舗、千葉県13店舗、群馬県12店舗、茨城県8店舗、栃木県5店舗、東京都3店舗、神奈川県1店舗の計111店舗と、・・」と、現在111店舗であるので、7店舗は6.3%に当たり、また、既存店も100.3%で推移したことも大きかったといえよう。
ここでヤオコーの投資活動によるキャッシュフロー、特に新店にかかわる有形固定資産の取得による支出であるが-109.53億円(昨年-96.05億円)であり、昨年同様の約100億円を投資しており、新店開発が順調に推移しており、安定的、継続的な成長戦略が図られているといえる。したがって、来期も、9月までに5店舗の新規出店が計画されており、来期も堅調な成長がはかられるといえよう。実際、通期予想は、営業収益2,300.00億円(4.0%)、営業利益99.50億円(3.6%)、経常利益 96.50億円(2.5%)、当期純利益53.70億円(4.3%)であり、増収増益の計画である。
一方、営業利益が11.7%増となった増益の要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、71.06%(昨年71.16%)と、0.10ポイント改善している。結果、売上総利益は28.94%(昨年28.84%)となった。特に、この3月度は、「スーパーマーケット業界におきましては、デフレが続くなか低価格志向は変わらず、安売り競争が続いておりましたが、3月の震災後は福島第一原子力発電所問題も重なって、先行き不安などから一転して仮需要が発生し、商品の品薄状態が続きました。」とのことで、需要が供給を上回っており、これらの寄与も少なからずあったものと思われる。また、「『ヤオコーらしい独自商品の開発』につきましては、生鮮部門において近隣漁港からの高鮮度商品の産地直送や産直野菜の拡大など引き続き産地・地方市場開拓に積極的に取組みました。グロッサリー部門においても、パン、デザート、乳製品など日配食品分野を中心に、メーカーとのタイアップや生産者の協力を得て、味や品質にこだわったヤオコー独自仕様によるプライベートブランド商品の開発・リニューアルを政策的に進め、お客さまのご支持をいただいております。」とのことで、商品開発に力を入れたことも大きかったといえよう。
ただ、一方で、「低価格競争時代に対応し価格政策も大きく見直しを行ないました。具体的には価格コンシャスを徹底するという観点から、競合他社の価格調査も踏まえ、従来よりは価格帯を広げ、頻度品の下限価格を引き下げるとともに中心価格帯より少し上のセミアップグレード商品の品揃えも強化し、より広いお客さまのニーズに対応できるようにいたしました。」とのことで、ヤオコーとしても、価格政策を強化してもいる。
そこで、経費の方であるが、28.85%(昨年28.95%)と、0.10ポイント削減している。これについて、ヤオコーは、「経費削減につきましては、経費主管部の集約化など体制強化を図り、販売・事務消耗品から店舗施設関係経費まで全般に亘って発注方法、仕様の見直しなど徹底したコスト削減に努め、成果を上げております。」とのことで、経費削減に関しても徹底して取り組んだとのことである。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、0.09%(昨年-0.11%)と、マイナスからプラスに転じた。原価、経費、ダブルでの改善が大きかったといえよう。ただ、経費比率28.85%は食品スーパーマーケット業界ではまだまだ高めの比率であり、今後、ヤオコーがどこまで踏み込めるかが課題といえよう。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が4.45%(昨年4.46%)加わり、営業利益は4.54%(昨年4.35%)と増益となった。
このように、今期のヤオコーの決算は、3月度決算ということで、3/11の東日本大震災の影響に加え、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が懸念されたが、結果、当期純利益を含め、増収増益の好決算となった。ヤオコーの収益性が光る決算結果となったといえよう。特に、今期は各社が新規出店を抑制する傾向がある中、安定的、継続的な新規出店がなされ、来期も同様な計画が組まれており、これが増収へ寄与したものといえる。来期、ヤオコーが今期の決算を踏まえ、どこまで収益を改善するか、特に課題ともいえる経費比率の改善に注目である。
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