関西スーパーマーケット、2011年3月期決算、増収増益!
関西スーパーマーケットが4/28、2011年3月期の決算を公表した。ここ最近、食品スーパーマーケットを含め、上場企業の3月期決算が次々に公表されており、ここ数週間がピークとなる。そこで、関西スーパーマーケットの決算結果であるが、営業収益1,167.40億円(5.2%)、営業利益17.85億円(29.9%)、経常利益 20.01億円(25.6%)、当期純利益 8.93億円(115.8%)となり、増収増益、特に、昨年の利益が大幅な減益であったため、その反動もあり、好調な決算となった。
なお、3月期の決算企業は、食品スーパーマーケットを含め、資産除去債務会計基準が適用され、特別損失が計上されるが、関西スーパーマーケットも例外ではなく、今期、0.36億円計上しており、さらに、店舗の建物、土地等の減損損失も3.10億円計上しているが、当期純利益が115.8%と倍増している。これは、昨年、店舗閉鎖損失4.52億円、店舗閉鎖損失引当金繰入額2.72億円が計上されており、この項目の計上が今期は0であったため、利益が相殺されたためである。ただ、結果、当期純利益は倍増したとはいえ、売上高対比で見ると、0.77%であり、これは、昨年の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの平均が1.1%であり、トップクラスは3.0%前後であるので、もう一段と増益を目指したいところであろう。
さて、関西スーパーマーケットの今期の決算であるが、まずは、営業収益が5.2%増となった要因であるが、「店舗の新設については、平成22年4月に瓢箪山店(大阪府東大阪市)、江坂店(大阪府吹田市)、萬崎菱木店(堺市西区)、5月に善源寺店(大阪市都島区)を開店いたしました。」とのことで、4店舗の新店が寄与したといえる。関西スーパーマーケットは現在59店舗であるので、4店舗は6.7%となる。今期は既存店が0.7%増であるので、新店が増収にはいかいに大きかったかがわかる。ちにみに、今期の投資活動によるキャッシュフローであるが、-5.81億円(昨年-25.00億円)と、約1/4となっている。これは、新店にかかわる投資である有形固定資産の取得による支出が-10.44億円(昨年-36.29億円)と大きく減っているからである。したがって、来期は新店が抑制されることになるといえ、通期予想も営業収益は1.8%増であり、微増である。
ここで、関西スーパーマーケットの売上構造を見てみたい。まず、客数は3,221人/日(昨年3,196人)、客単価は1,630円(昨年1,652円)であり、今期は客単価減、客数増という結果である。こう見ると、関西スーパーマーケットは客単価よりも、客数の方が売上高への貢献度が高いといえる。また、客単価の中身であるが、PI値は996%(昨年996%)、平均単価は163.7円(昨年164.3円)であり、PI値は高めであるが、平均単価が比較的低いといえよう。したがって、関西スーパーマーケットは客数とPI値が売上増のポイントとなっている営業構造といえる。
次に、営業利益が29.9%となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.68%(昨年76.14%)と0.54ポイント上昇している。これについて、関西スーパーマーケットは、「当小売業界においては、業態間競争の激化による商品単価の下落やお客様の生活防衛意識の高まりによる節約志向に変化はなく、経営環境は依然厳しい状態が続きました。」とのことで、商品単価の下落が大きかったといえよう。結果、売上総利益は23.32%(昨年23.86%)となった。
一方、経費の方であるが、23.61%(昨年24.60%)と、0.99ポイントと大きく減少している。それにしても、これだけ削減するのは尋常ではなく、関西スーパーマーケットも、「ローコスト体制づくりとして、グロサリー商品の営業時間外集中補充作業の推進や日配商品の自動発注システムの実験と検証を繰り返すなど、店内作業削減と作業効率の向上に取り組みました。」とのことである。また、さらに、「管理面では、コスト削減のため、省電力照明の採用や節電による消費電力の削減、プラスチック類や紙類等の資源ゴミのリサイクル推進による可燃ゴミの減量化などを図りました。」とのことで、こられが相まって、経費を大幅に削減したといえよう。
結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-0.29%(昨年-0.74%)と、依然としてマイナスではあるが、その幅は大きく縮まっており、改善している。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.85%(昨年2.02%)加わり、営業利益は1.56%(昨年1.28%)と増益となった。
このように、関西スーパーマーケットの2011年3月期決算は昨年の厳しい決算結果を受け、今期は反転、増収増益の好決算となった。特に、今期から適用された資産除去債務会計基準の適用があり、特別損失が発生したにもかかわらずの増益である。これは、昨年も店舗閉鎖損失等の特別損失があったこともあるが、それ以上に、経費の削減が大きかったといえよう。今後、関西スーパーマーケットとしては、さらに経費を削減するか、原価の改善に踏み切るか、今後の方針が難しいところであろう。来季、関西スーパーマーケットがどのような方針をとるか、その動向に注目である。
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