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May 09, 2011

ARPU新時代、ドコモ2011年3月期決算!

   携帯電話3社の2011年3月期の本決算が公表されつつある。注目はARPU、パケットARPUが音声ARPUを逆転したかどうかである。ここではドコモが4/28に公表した決算をもとに見てみると、結果は逆転、パケットAPRUが世界の携帯電話会社に先駆けて、音声ARPUを上回るという結果となり、ARPU新時代の到来といえる。したがって、今後、パケットARPUが携帯電話会社の盛衰を決める戦いになるといえ、その戦略商品であるスマートフォンの開発競争がますます激化するものといえよう。

   そこで、ドコモの決算で公開された実際の数字を見てみたい。今期の総合ARPUは5,070円(昨年5,350円)となり、残念ながら、総合ARPUは若干のマイナスとなった。したがって、総合ARPUは依然として厳しい状況にあり、今後、いかに、プラスにもってゆけるかが課題としては残された結果である。そして、問題の中身であるが、パケットARPUが2,540円(昨年2,450円)、音声ARPUが2,530円(昨年2,900円)となり、わずか10円であるが、パケットARPUが音声ARPUを上回るという逆転を果たす結果となった。

   ちなみに、ARPUは食品スーパーマーケットのID金額PI値に当たる指標であり、1ケ月間の顧客1人当たりの携帯利用料金のことである。携帯電話の場合は携帯利用料金を音声通話使用料とパケット利用料とに分けて集計しており、ここ数年、スマートフォンの登場以来、その数字の推移に注目が集まっていた。食品スーパーマーケットでは金額PI値(客単価)が一般的なマーチャンダイジングの評価指標であるが、携帯電話会社には金額PI値という概念はなく、もっぱらID金額PI値、すなわち、ARPUを使用している。

   その違いは、金額PI値はIDという顧客を意識することなく、売上金額を回数で割って算出する指標であるのに対し、ID金額PI値はIDを意識し、IDを基本単位として、売上高をIDで割って算出する指標であり、ここが決定的に違う指標である。したがって、たとえば、月間の数字を算出した場合、金額PI値では、ある顧客が1回の買い物金額が2,000円であれば、月間、何回買い物をしても、金額PI値は2,000円であるが、ID金額PI値の場合は、ある顧客が月間2回買い物をすれば4,000円、3回で6,000円、4回で8,000円と回数が増えるたびに、数字が増加してゆくのが特徴である。

   これがID金額PI値、すなわち、ARPUであり、数式では、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値という関係になり、金額PI値の上位概念といえる。したがって、ID金額PI値、すなわちARPUは、金額PI値をも包み込んだ指標であり、マーチャンダイジングだけでなく、マーケティング、すなわち、顧客戦略へも応用が可能となり、経営管理においては今後の決め手となる指標であるといえる。

   さて、パケットARPUの音声ARPUを逆転したことに対して、ドコモは、決算説明書の中で、「音声ARPUとパケットARPUの逆転」という項目を設け、その中で、「2010年度通期の音声ARPUとパケットARPUの逆転を達成」、「2011年度はパケットARPUの成長を加速させることで、総合ARPUを下げ止め、2012年度以降上昇に転換させる」としており、パケットARPUの一層の成長を目指すと宣言している。そして、そのために、スマートフォンの推進として、2011年度の販売台数を600万台と、目標設定している。さらに、2012年度は総販売数の50%超を目指すとのことである。また、パケット利用の促進として、パケット定額サービス契約率を70%にもってゆくとのことである。

   これは、パケットARPUがいかにドコモの経営戦略の根幹であるかを示すものといえる。パケットARPUの上昇を通じて、音声ARPUの減少をカバーし、結果、総合ARPUを押し上げるとのことで、パケットARPUの向上が今後のドコモの成長戦略の根幹となるとの認識である。また、そのための具体策として、スマートフォンの推進、すなわち、商品戦略とパケット利用の促進、すなわち、価格戦略を上げており、この2つの戦略が両輪となって、パケットARPUを押し上げてゆくとのことである。

   したがって、今後、携帯電話会社各社は、市場シェアNo.1のドコモの戦略が明らかになったことにより、スマートフォンの激しい市場シェア争いが繰り広げられることになるといえ、ソフトバンク、auを含め、3つ巴の戦いが本格化するといえよう。

   このように、ドコモの2011年3月期の決算が公表されたが、わずか10円であるがパケットARPUが音声ARPUを上回るという結果となった。今後、その差は大きく拡大し、数年後には60%から70%近くまで急激にパケットARPUが拡大することが予想される。したがって、携帯電話市場は、今後、日本において、世界でも最も激しいパケットARPU獲得の市場シェア争いが繰り広げられることになるといえる。そして、その評価指標がARPUであり、ARPUが向上しているかどうかが、正しい方向に進んでいるかどかを示す指標として、これまで以上に重視されるものといえよう。スマートフォンがどこまでパケットARPUを押し上げるか、今後のドコモの動きに注目である。

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