ソフトバンク、2011年3月期決算公表、ARPU逆転!
ソフトバンクが2011年3月期の本決算を公表した。注目のARPUであるが、「当期のARPU は、前期から140 円増加の4,210 円となりました。そのうち、基本使用料+音声ARPU は、通話機能のない端末の増加や、事業者間接続料金の改定などにより、前期から160 円減少の1,890 円となりました。一方でデータARPU は、前期から290 円増加の2,310 円となりました。」とのことで、データARPUだけでなく、総合ARPUも増加、決算内容も初の3兆円超えの増収増益となる好決算となった。
携帯電話3社の中で、総合ARPUが上昇したのはソフトバンクだけであり、それだけ、ソフトバンクのデータARPUの上昇率が高かったといえる。特に、ソフトバンクは他社に先駆けて、iPhoneを戦略商品にすえ、データARPUの向上にいち早く取り組んできたといえ、その成果が経営数字に表れた結果といえよう。今後、さらに、データARPUの上昇は続くものといえ、携帯電話会社はデータARPUの新時代に突入したといえよう。
ここで、さらに、ソフトバンクの総合ARPUがデータARPUの上昇により、増加に転じた軌跡を追ってみたい。まず、この3月期決算の結果は先に見たように、総合ARPU 4,210円(昨年4,070円)、データARPU 2,310円(昨年2,020円)、音声ARPU 1,890円(昨年2,050円)である。ちなみに、ドコモの数字であるが、総合ARPUは5,070円(昨年5,350円)、パケット(データ)ARPUは2,540円(昨年2,450円)、音声ARPUは2,530円(昨年2,900円)であり、ソフトバンクと比べると、総合ARPUで860円、データARPUで230円、音声ARPUで640円高い数字である。したがって、ソフトバンクのARPU、特に、データARPUはまだまだ上昇する可能性が高いといえよう。
さて、ソフトバンクのARPUの推移であるが、今期、第1四半期からの総合ARPUは第1四半期4,290円(昨年4,030円)、第2四半期 4,300円(昨年4,150円)、第3四半期 4,310 円(4,200円)、第4四半期3,940円(昨年3,890円)であり、第1四半期段階から昨対を超えて推移していた。ドコモ、auは総合ARPUでは昨対をクリアーできていないので、この点ではソフトバンクが携帯電話会社の中ではいち早く抜け出たといえる。
その原動力となったのが、データARPUの上昇であり、その推移を見てみると、第1四半期2,250円(昨年1,880円)と、この時点ですでに、昨対を大きく上回っている。そして、第2四半期 2,290円(昨年1,990円)、第3四半期 2,330円(昨年2,060円)、第4四半期 2,370円(昨年2,140円)である。その差であるが、第1四半期370円、第2四半期300円、第3四半期270円、第4四半期230円であり、大きく昨年を上回る状況で推移しており、いかに、データARPUの上昇がソフトバンク全体の経営を牽引しているかがわかる。
そして、音声ARPUの推移であるが、第1四半期2,030円(昨年2,150円)、第2四半期 2,020円(昨年2,160円)、第3四半期 1,980円(昨年2,150円)、第4四半期 1,570円(昨年1,750円)となり、データARPUとは対照的な動きである。その差であるが、第1四半期-120円、第2四半期-140円、第3四半期-170円、第4四半期-180円であり、マイナス幅が広がっている。
それにしても、これだけ、数字が劇的に動くのも珍しいケースであるといえる。これをグラフにすると、総合ARPUが右上がりに上昇し、その中身であるデータARPUと音声ARPUがxにクロスし、右上がりのデータARPUと右下がりの音声ARPUの中身が180度入れ替わるわけである。ソフトバンクのデータARPUへの取り組みが、音声ARPUの減少を上回らなければ、総合ARPUは上昇しないわけであり、絶妙なバランスが、そこに働いたといえる。
しかも、ARPUは顧客当たりの携帯使用料金であり、ARPUだけが向上しても、売上高の向上につながるとは限らない。売上高=ID×ARPUであるので、ID、すなわち、顧客数も同時に増やさないと売上高は増加しないといえる。そこで、今期の決算数字であるが、ソフトバンクの売上高は3兆46.40億円(8.7%)であり、創業以来はじめて3兆円を超え、売上高も伸びている。その要因は、ARPUだけでなく、IDも伸びていることによる。実際、今期の携帯電話の販売台数は1,024.2台(12.1%)であり、しかも、純増契約者数は353.2万人(283.9%)であり、純増が伸びたことが極めて大きい要因といえる。
したがって、今期のソフトバンクの好決算は、データARPUの伸びが音声ARPUの減少を補い、総合ARPUを押し上げただけでなく、ID、特に、新規顧客を力強く吸引し、大きく伸ばしたことも、さらに大きな要因であるといえる。すなわち、データARPUの向上につながる新規顧客獲得の成果であるといえる。そして、これを支えたのが、まさに、iPhoneであるといえ、そこに経営資源を集中し、一点突破をはかる戦略的な取り組みを図ったことが好決算を生んだ最大の要因といえよう。
このようにソフトバンクの2011年3月期の決算はデータARPUが音声ARPUを上回っただけでなく、ドコモもauも達成してない総合ARPUの反転をも果たしており、携帯電話3社の中で、いち早く、データARPUの時代に大きく歩を進めたといえよう。しかも、ARPUだけでなく、顧客数も同時に力強く増やしており、売上高=ID×ARPUのID、ARPUともに増加するという理想的な流れを作ったといえよう。気になる来期であるが、iPhoneではソフトバンクの1人勝ちといえるが、今後、激しい勢いでAndroid携帯の時代に突入することは必至であり、この市場でどこまでソフトバンクがシェアを獲得できるかが課題となろう。その意味で、ARPUは新たなスタート、まさに、新時代に入ったといえ、携帯電話各社の来期のARPU向上の経営戦略に注目である。
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