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May 31, 2011

ユニバース、2011年4月期決算、増収増益!

   ユニバースが、5/25、2011年4月期の決算を公表した。食品スーパーマーケット業界の決算の公表は、2月期、3月期決算の公表はすべて終了し、今後、2011年度は、4月期、5月期の決算の公表に移ることになる。その4月期決算、ユニバースの決算結果であるが、今期は、特に、ユニバースの出店地域が3/11の東日本大震災の被災地である青森県、岩手県ということもあり、その影響が懸念された。結果は、営業収益1,025.82億円(4.5%)、営業利益40.57億円(18.7%)、経常利益41.70億円(18.1%)、当期純利益19.86億円(3.0%)となり、増収増益、しかも、今期は新規出店がなかったにも関わらず、創業以来、年商1,000億円を超えるという好決算となった。

   ちなみに、東日本大震災がユニバースの決算に与えた影響、及び、今期から適用された資産除去債務に関する会計基準の影響であるが、「なお、当期より新たに適用された資産除去債務に関する会計基準に基づく特別損失2億26百万円や東日本大震災等による災害損失1億96百万円および固定資産の減損損失80百万円等の合計5億45百万円の特別損失が発生したものの、経常利益の大幅増益で特別損失をカバーすることができ、当期純利益についても当初計画を上回り、増益を達成いたしました。」とのことである。いかに、今期の営業増益が経営全体を底上げしたかがわかる。

   そこで、まずは、ユニバースの東日本大震災の影響について見てみたい。実際の被害状況であるが、「震災直後の東北電力管内の広範囲に及ぶ停電で当社全店舗が停電状態に陥り、また、岩手県沿岸部の2店舗は津波による浸水に見舞われました。停電は震災当日から2~3日間続きました、・・」とのことで、店舗としては、2店舗、ただ、それ以上に停電の影響の方が大きかったようである。そして、「各店長の臨機応変な対応と緊急対策本部からの支援により、震災翌日には全47店舗中43店舗で店舗出入口付近での臨時営業を実施しました。その後、電気が順次復旧し、震災後3日目までには全47店舗中の45店舗で、閉店時間の繰上げはあったものの通常営業を再開しました。」とのことで、3日後には、直接被災した2店舗以外はいち早く営業再開したとのことである。その後、その被災した2店舗であるが、「津波の浸水があった2店舗のうち1店舗(岩手県久慈市)は5日後に、もう1店舗(岩手県宮古市)は3月末に営業を再開しました。」とのことで、営業再開したとのことである。

   したがって、ユニバースは被災地ではあったが、比較的、今回の大震災の経営に与えた影響は大きくはなかったといえ、これが今回の決算が好決算となった要因のひとつといえよう。また、結果、この震災後、様々な緊急対策がとられ、原価、経費に関して、むしろプラスに働いた面もある。

   実際、原価面を見ると、「震災後の商品調達につきましては、業界各社は、既存の取引先の協力を仰ぐとともに、これまでとは異なる新たな商品調達ルートの確保にも努め、大手チェーン・中小チェーン・独立店入り乱れての商品調達競争の様相を呈しました。」とのことで、商品調達ルートが大きく変化している。そして、「このような状況の中、当社は、地震対策マニュアルの「緊急時に必要な商品リスト」に従って、顧客がその時々で必要としている商品の在庫状況を逐一確認して、通常のオペレーションが困難な状況の中、競争他社に負けない商品調達に努めてまいりました。」とのことである。さらに、ここからが重要なポイントであるが、「震災後は一定期間チラシ配布等を中止せざるを得ず、価格強化することができなかったため、その代替として顧客にポイント付与で還元するような販促企画を実施しました。」とのことで、原価、経費両面からの改善が進んだとのことである。

   総括すると、「当社主力のスーパーマーケット事業におきましても、大震災を境に大きな変化がありました。震災前は、消費者の節約志向・低価格志向を背景に業種・業態を越えた企業間の価格競争が激しさを増していました。」と、ここまでが震災以前の状況であり、それが、「震災後は、食品・包材メーカーの工場被災や計画停電による操業度の低下、漁港・水産加工基地の被災、福島第1原子力発電所の放射能漏れによる青果物への影響等により、商品調達が極めて不安定となり、一時的に品切れや商品価格の上昇を引き起こしました。」とのことで、大きな変化を引き起こしているといえる。

   このように、ユニバースの2011年4月期の決算は、3/11の東日本大震災の影響が、被災地に店舗展開をしているがゆえに懸念されたが、結果は、その影響を吸収し、増収増益となる好決算となった。しかも、今期は新店がないにも関わらず、既存店のみでの増収増益決算であり、それだけ、震災を契機にユニバースの経営を取り巻く環境が激変しただけでなく、ユニバースの経営構造も大きく変化したといえよう。次期、2012年度、ユニバースの経営構造がさらに、どう変化してゆくか、その動向に注目である。

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