消費者物価指数(CPI)、2011年3月度、0.0%!
注目の2011年3月度の消費者物価指数(CPI)が4/28、総務省統計局から公表された。消費者物価指数には3つの総合指数があるが、結果は、「(1) 総合指数は平成17年を100として99.6となり、前月比は0.3%の上昇。前年同月と同水準となった。(2)生鮮食品を除く総合指数は99.4となり、前月比は0.5%の上昇。前年同月比は0.1%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.0となり、前月比は0.2%の上昇。前年同月比は0.7%の下落となった。」となり、(1)の文字通り、総合指数は前年同月比0.0%となった。ただ、(2)は0.1%の下落、(3)は0.7%の下落であり、3/11の東日本大震災の影響は消費者物価全体へは大きな影響は出ていないようである。
実際、(1)の総合指数の過去4年間の消費者物価指数の推移を見ると、平成17年を100とした場合の動向は3年前の平成20年8月、9月、10月をピークに、その後、右下がりに消費者物価指数が下降しており、平成22年度に入ると、マイナスとなり、その後、横ばいで推移している。そして、平成23年度に入ってもマイナスの横ばいが続いている。特に、(3)の食料、エネルギーを除く総合指数は、この4年間一度もプラスに転じたことがなく、先に上げた(1)の平成20年8月、9月、10月以降、平成23年に入っても下降傾向が鮮明であり、この3月度も大きな動きは感じられない。
また、消費者物価指数を昨年同月比で見ると、平成20年度まではプラスの上昇傾向が鮮明であるが、その平成21年に入り、マイナスに転じ、平成23年に入ってもマイナスが一貫して続いている。しかも、(1)、(2)、(3)すべてがほぼ同じ傾向で推移しており、プラスに転じる兆候が見られない。この3月度も1月度、2月度とほぼ同じ傾向であるといえ、東日本大震災の影響は、ほとんどないように見える。
そこで、もう少し、この3月度の結果を掘り下げてみたい。まずは、プラスに貢献した項目であるが、寄与度で見てみると、ガソリン0.32、たばこ0.27、生鮮食品0.17、灯油0.15の4つ項目である。いずれも、食品、エネルギー関連であり、消費者物価指数に、いかに、この2大部門が大きな影響を与えるかがわかる。それゆえ、(1)、(2)、(3)と総合指数が3つあることも頷ける。この4つの項目以外はいずれも寄与度は低く、3月度特有の項目は特には見あたらないといえる。
一方、マイナスの寄与度となった項目であるが、何といっても、高校授業料の無償化の影響が大きく、公立高校授業料-0.40、私立高校授業料-0.11であり、この2つが最大のマイナス要因である。まさに、政策が消費者物価指数を押し下げたといえる結果となった。この2大項目以外では、生鮮食品を除く食料であり、-0.15であり、生鮮食品の0.17とは対照的な動きである。食品はその意味で、消費者物価指数を上昇させている生鮮食品と、下降させている非生鮮食品との両極端が混在している部門であるといえ、複雑な要因を抱えているといえよう。これ以外では、その他が-0.25となる。
以上が、この3月度の消費者物価指数にプラス、マイナスへ影響を与えた項目であるが、これを2月度と比べてみると、ほぼ同様な傾向であるといえ、この状況を見ても、3月度の消費者物価に大きな変動はなかったといえ、全体としては、3/11の東日本大震災の影響はなかったといえよう。
ついで、この3月度、消費者物価指数にプラス、マイナスの両方の影響を与えた食品について、もう少し、詳しく見てみたい。まず、プラスに影響を与えた生鮮食品の状況であるが、魚介類-0.2、肉類0.0であるので、生鮮食品の中でも、青果に絞られるといえる。そこで、その青果であるが、野菜・海藻1.9、果物10.2であり、特に、果物が異常値であったこといえる。その中身であるが、いよかん45.6、みかん41.0と柑橘類が異常値である。ついで、キウイフルーツ15.5、り ん ごB10.7、オレンジ7.2、レモン4.7等、軒並み、果物の物価上昇が続いたことがわかる。
一方、消費者物価指数を下げた非生鮮食品であるが、穀類-3.6、油脂・調味料-1.5、菓子類-0.3、飲料-1.6、酒類-1.0という状況である。特に、穀類が大きく下げているので、その中身を見てみると、米類-7.3と大きく下げている。その中でも、国産米B-8.6、国産米A-7.6、うるち米-7.5、ブレンド米-4.8、もち米-3.7と、すべての米の項目が下がっている。また、飲料のミネラルウォーターも-4.8と大きく下がっていることから、これらは東日本大震災の影響が表れたものといえよう。
このように、2011年3月度の消費者物価指数は全体としては、2月度とほぼ同じ傾向であったといえ、この4年間の推移と比べても、全体の流れの中で動いているといえ、3/11の東日本大震災の影響が全体へはなかったといえる。ただ、個々の項目を見ると、米、水等が明らかに消費者物価指数が下がっており、これは大震災の影響であったといえよう。今後、まだまだ、予断を許さない状況は続くと思われ、次の4月度についても、どのような結果となるか、その動向が気になるところである。
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