消費者物価指数(CPI)、2011年4月度、わずかに上昇!
5/27、総務省統計局から、2011年4月度の消費者物価指数が公表された。結果は、「(1) 総合指数は平成17年を100として99.9となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は0.3%の上昇となった。(2)生鮮食品を除く総合指数は99.8となり,前月比は0.4%の上昇。前年同月比は0.6%の上昇となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.2となり,前月比は0.2%の上昇。前年同月比は0.1%の下落となった。」とのことで、(1)、(2)の総合指数は昨年対比でプラスに転じたが、(3)の相場等の変動の激しい食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は依然としてマイナスとなった。
ただ、(1)の文字通り、総合指数がプラスになったことで、デフレ脱却かとの見方もあるが、中身をよく見てみると、依然として、デフレ基調は変わらないといえ、今後、プラスに転じてゆくかどうかは、もうしばらく様子を見る必要があろう。総務省はこの消費者物価指数の公表と同時に、その中身を寄与度にもとづいて分析しているが、それを見ると、先の3月度と比べ大きな違いが見られる。
その最大の違いは、3月度までは、公立高校授業料、私立高校授業料がそれぞれ、-0.40、-0.11と、合計-0.51と、大きくマイナスであったが、これが1年を経過し、この4月度からは0.00となり、この分がそっくり、この4月度からなくなっている。したがって、その分が相対的にプラスに転じており、その違いによる数字上の変化によるものといえ、実質、中身が大きく変化しているとはいえず、消費者物価指数がプラス基調に転じているとはいえないからである。
また、同じく、寄与度を見てみると、プラスになっている項目は、ガソリン0.32、灯油0.17、電気代0.04、エネルギー関連が0.53上昇しており、プラスに貢献した最大の項目は、このエネルギー関連である。したがって、総合指数(2)の昨対の数字が、最も大きくなったのは、これが要因といえ、消費者物価指数全体が上昇に転じているとはいえない。ただ、気になる動きもある。生鮮食品の動きである。3月度は生鮮食品が0.17とプラスになっていたが、この4月度は一転、-0.25と大きくマイナスに転じたことである。エネルギー関連とは対照的な動きとなり、むしろ、消費者物価指数を押し下げたことである。
そこで、その生鮮食品を含め、食品について、細かく、その動きを見てみたい。まずは食料品全体であるが-0.1とマイナスとなった。続いて大分類を見てみると、穀類-2.6、魚介類-0.2、肉類0.7、乳卵類3.2、野菜・海藻-8.0、果物0.4、油脂・調味料 0.4、菓子類0.1、調理食品0.3、飲料-0.4、酒類-0.8という結果である。プラスマイナスまちまちであるが、何といっても野菜・海藻-8.0が全体を引き下げた要因といえよう。
では、野菜・海藻の何が特に大きく消費者物価を引き下げたかであるが、レタス-36.4、キャベツ-33.4、ピーマン-28.7 、ブロッコリー-27.6、きゅうり-27.1、ほうれんそう-23.8、なす-23.1、だいこん-21.5、トマト-20.3であり、これらが、-20.0以上消費者物価が下がった野菜である。野菜は、ここ数ケ月、むしろ相場高がつづいていたといえるが、この4月度は異常値といえる。ちなみに、3月度は野菜・海藻は1.9とプラスであったので、明らかに4月度に入って反転、3/11の東日本大震災の影響が青果物流通に影響を与え、需給バランスが崩れたといえよう。ちなみに、プラスになった野菜もあり、たまねぎ14.1、ごぼう16.4、ばれいしょ22.0、さといも22.9、かんしょ24.0、にんじん37.4等である。すべて土物といわれている野菜が多いのが特徴といえよう。
そして、もうひと部門、穀類も-2.6と大きく消費者物価が下がった部門であるが、その中身は米類-7.0、パン-0.1、めん類-0.6という結果であり、米類が下がったことが大きい。パン類はむしろ食パンが0.4となるなど、小麦の値上げ等にもからみ、上昇気味といえる。その米類であるが、うるち米-7.1、国産米A-7.0、国産米B-8.0、ブレンド米-5.4、もち米-4.0と、すべての項目が大きく消費者物価を下げているといえる。
一方、食品全体の動きとは逆に、消費者物価が上昇した食品もある。乳卵類3.2であり、その中身を見ると、何といっても鶏卵の15.6が大きく、これが乳卵類全体の消費者物価を大きく押し上げたといえる。乳製品は0.7、牛乳は-0.1であり、全体への影響はわずかであり、鶏卵の上昇によるものといえよう。
このように2011年4月度の消費者物価指数は、結果を見ると、一見、デフレ脱却かとも思えるが、その中身をよく見てみると、この3月まで、全体をマイナスに引き下げていた高校授業料の無償化の影響がなくなったことが大きいといえ、これを除くと、エネルギー関連のプラス要因が大きいといえる。したがって、依然としてデフレ基調であるといえよう。特に、3月度から一転、食料品、特に生鮮食品、その中でも野菜がプラスから大きくマイナスに転じたことが、今後、食料品全体へ波及することも懸念され、食品スーパーマーケット業界としては、消費者物価の動向には注意が必要といえる。次回、ゴールデンウィークの連休明け、5月度の消費者物価指数がどのように動くか、その結果に注目である。
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