PLANT、2011年9月期、第2四半期、震災の影響?
PLANTが4/28、2011年9月期の第2四半期決算を公表した。この決算は9/21から3/20までの期間であり、3/11の東日本大震災の影響を受けての決算となる。その結果であるが、売上高409.78億円(0.5%)、営業利益14.76億円(49.8%)、経常利益14.47億円(56.4%)、当期純利益-7.16億円となり、営業、経常段階では増収増益となったが、当期純利益は、「震災による特別損失として、原発事故損失1,800百万円、震災損失13百万円を計上、・・」したことにより、赤字決算となった。
その震災の影響であるが、「平成23年3月11日に発生いたしました東北地方太平洋沖地震及び福島第一原発事故により、当社「PLANT-5大玉店」(福島県安達郡大玉村)および「PLANT-4大熊店」(福島県双葉郡大熊町)が被害を受けました。そのうち、「PLANT-5大玉店」は、地震による店舗施設への影響はさほど無かったものの、一部商品の毀損を余儀なくされました。なお同店は翌日には店舗外にて、14日からは店舗内での営業を再開しております。」とのことである。
問題は、PLANT-4大熊店であり、「一方福島第一原発の事故により避難指示を受けている地域(平成23年4月22日より警戒区域に変更)に出店している「PLANT-4大熊店」については、地震の影響による商品及び店舗設備等への重要な被害は発生しておりませんが、避難指示解除の時期及び営業再開の目処がたっておりません。」とのことで、営業再開ができない状況であり、今回の決算だけでなく、今後のPLNAT全体の営業状況に影響を与えることになろう。
PLANTにとっては、営業状況が好転し、特に、利益が回復基調にあっただけに、今回の東日本大震災の影響は大きかったといえ、今後、売上高にも影響が予想され、厳しい経営環境を余儀なくされた状況である。ただ、今期決算でも営業利益は大幅増であり、既存店の活性化は着実に進んでいるといえる。そこで、営業利益が49.8%と大きく改善した要因を原価、経費面から見てみたい。
まずは、原価であるが、79.44%(昨年80.03%)と、0.59ポイント改善しており、原価が大きく下がっている。結果、売上総利益は20.56%(昨年19.97%)と上昇した。これについて、PLANTは、「従来から取り組んでまいりました「在庫管理」「値入向上とロスの削減」「生鮮管理システム」の稼動により、利益率の改善が図れました。」とのことで、値入れ、ロス改善等が特に利幅の大きい生鮮食品で改善できたことが大きかったといえよう。
一方、経費の方であるが、16.94%(昨年17.54%)と、0.60ポイント改善しており、17.00%を下回る経費比率となった。食品スーパーマーケット業界で17.00%を下回る経費比率の企業はオーケー、トライアルカンパニーぐらいであり、極めて低い経費比率である。これについて、PLANTは「人時生産性を意識した人事管理が定着したことにより作業効率の向上が実現し、・・」とのことで、作業効率の改善が大きかったといえよう。したがって、原価、経費、ダブルでの大幅な利益改善が進み、商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力は3.62%(昨年2.43%)と、大きく改善した。PLANTはその他営業収入が計上されていないので、結果、マーチャンダイジング力=営業利益となり、今期は昨年と比べ、大幅な利益増となった。
さて、気になるPLANTの財務状況であるが、自己資本比率は19.3%(昨年21.2%)と下がっており、依然として、約80%を負債に依存する状況である。営業利益率は大幅に向上していることから、負債の圧縮を図りたいところであるが、東日本大震災の影響が大きく、結果、負債の圧縮がはかれなかったといえ、厳しい結果といえよう。
現在、PLANTの有利子負債は221.39億円(前期決算時234.29億円)と、総資産351.74億円の62.94%と、極めて重い負担となっており、いかに、この有利子負債を圧縮するかが最大の経営課題となっている。今回の中間決算では営業利益は大幅な増益となったが、当期純利益が赤字となったため、財務活動によるキャッシュフローに十分に回すキャッシュが確保できず、有利子負債の圧縮につながらなかったといえる。また、当然、投資活動によるキャッシュフローも、新規出店関連への投資、有形固定資産の取得による支出は0.24億円(昨年0.05億円)と、キャッシュを回すことはできず、極めて厳しい財務状況にあるといえる。
このように、PLANTの2011年9月期の中間決算は営業、経常段階では既存店の活性化が軌道にのり、増収増益となったが、残念ながら、3/11の東日本大震災の影響を受け、特別損失が発生し、当期純利益は赤字決算となった。現在、PLANTは自己資本比率が19.3%という厳しい財務状況にあり、負債の圧縮を最優先で進めざるをえない中での被災であり、今後の経営計画を大きく見直さざるをえない状況になったといえよう。特に、PLANT-4大熊店は原発の影響もあり、営業再開が厳しい状況にあり、今後、PLANT全体の利益はもちろん、売上高にも影響は必至であるといえる。PLANTが、今後、後半に向けて、どのような経営改革を打ち出すか、その動向に注目である。
菓子パン無料診断!(POS-RDS菓子パン無料診断受付中!)
New!食品スーパー2010、財務3表連環分析、vol.1、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ!、プレミアム版!、 資料集
« 東京電力の2011年3月期決算を見る! | Main | 農業者所得向上流通調査事業、終了! »
Comments