神戸物産、2011年10月期中間、増収増益!
業務スーパーを全国に展開する神戸物産が6/8、2011年10月期の中間決算を公表した。結果は、売上高752.64億円(10.8%)、営業利益20.19億円(54.5%)、経常利益21.38億円(55.9%)、当期純利益12.66億円(136.1%)となり、増収増益、特に、利益はいずれの段階でも大幅増益となる好調な決算となった。この中間決算は昨年11/1から今年4/30までの6ケ月間であり、3/11の東日本大震災の影響も加わっての結果であり、いかに、業務スーパーが震災後でも好調であったかがわかる。
神戸物産の直近の売上高、総店舗数は560店舗(直営2店舗)における2011年4月度、3/11後の数字を見ても、109.8%であり、既存店も104.7%と好調な数字である。神戸物産自身も、「当社は、引き続き、農畜産事業の強化、「安全・安心」を徹底するための商品管理、消費者ニーズを捉えた商品開発、当社グループのノウハウを落とし込んだオリジナル商品の製造に注力し、高品質で魅力のある商品をベストプライスでご提供する、食品業界で唯一の「製販一体企業」として日々邁進し、企業価値の向上に努めてまいります。」とのことで、製販一体がいかんなく発揮された結果といえよう。
特に、今期は、「農業プロジェクトを展開する(株)神戸物産エコグリーン北海道では、「安全・安心」な原材料を安定供給するために事業用地の取得を進め、当第2四半期末現在の総取得面積は811.1ヘクタールまで拡大し、これまで日本ではみられなかった大規模農法による作物の栽培を進めております。」とのことで、農業分野へも力を入れており、製販一体化が農産部門にまで及びはじめている。神戸物産は直営がわずか2店舗であり、いかにFCへ利益率の高い商品供給ができるかが経営の根幹であり、そこを最大限に強化するのが、まさに、製販一体化であるといえる。
そこで、今期、神戸物産の営業利益が54.5%と大幅に改善した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、93.56%(昨年94.30%)であり、0.74ポイントと大幅に下がっており、原価改善が大きく進んでいる。結果、売上総利益は6.44%(昨年5.70%)となった。一方、経費の方であるが、3.75%(昨年3.76%)と0.01ポイント下がっているが、ほぼ昨年同様の経費比率といえよう。結果、差し引き、営業利益は2.69%(昨年1.94%)となり、大幅な増益となった。今期は原価の大幅な改善が進んだことが大きかったといえよう。
ちなみに、第2四半期決算期のみ、すなわち、2/1から4/30のみの3/11の東日本大震災前後のみの結果を見ると、原価93.61%(昨年94.19%)と、0.58ポイント改善している。累計が0.74ポイントの改善であるので、若干下がっているが、震災後の結果であり、その影響度は比較的小さかったとえいよう。結果、売上総利益は6.39%(昨年5.81%)となった。一方、経費の方であるが、4.01%(昨年4.06%)であり、0.05ポイント改善している。これも累計の3.75%と比べると、やや経費上昇が見られるが、昨年よりは、改善されており、震災後の経費上昇は見られない。結果、営業利益は2.38%(昨年1.75%)と、増益、累計の2.69%よりは若干下がったが、震災後の四半期も増益の好決算となった。
したがって、神戸物産としては、震災後も若干、原価、経費の増加は見られるが、高収益を維持しており、その影響は軽微だったといえ、結果、好調な決算に結びついたといえよう。経費よりも、原価の改善が大きいといえ、神戸物産が一貫して追求している製販一体企業の成果が表れているといえよう。神戸物産自身も、「販売活動につきましては、当社の強みである輸入商品及びグループ工場のオリジナル商品を中心に構成した「生誕11周年記念セール」、「挑戦します!日本最安値」等の販売施策を実施してまいりました。」とコメントしており、「輸入商品に加え、グループ工場のオリジナル商品」が原価を引き下げる原動力になったものといえよう。
一方、やや気になるのは自己資本比率が28.9%(昨年30.5%)と、数字が下がったことに加え、依然として、約70%を負債に依存する経営構造である点である。その負債の中身であるが、有利子負債が120.88億円(昨年148.58億円)と昨年よりは、27.7億円削減しているが、総資産412.41億円に占める割合は29.3%と、ちょうど、自己資本比率分あり、やや重い構造となっている。ただ、現金及び預金が210.96億円(昨年236.60億円)と、総資産の51.15%と厚く、実質、有利子負債を相殺しており、経営構造自体は自己資本比率ほど不安定ではないといえる。
このように、神戸物産の2011年10月期の中間決算が6/8公表された。ちょうど3/11をまたぐ決算期間であり、その影響が懸念されたが、結果は増収増益の好決算となった。しかも、3/11を挟む2/1から4/30までの第2四半期のみで見た場合も、増収増益となり、東日本大震災の影響は軽微であったといえる。この結果を見る限り、むしろ、神戸物産の強みである「製販一体化」による原価改善が一層進み、業務スーパーの競争力が増す結果となったといえる。実際、震災後の4月度の売上速報を見ると、全体が109.8%であり、既存店も104.7%となるなど、特に既存店が好調な数字を維持している。業務スーパーの顧客は、業務筋だけでなく、一般消費者も多く、これら一般消費者のまとめ買い需要等を吸収した結果であると思われる。この好調な中間決算の結果を見る限り、今期、神戸物産の本決算も好調な結果が期待されよう。
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