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June 28, 2011

オーケー、2011年3月期本決算、増収増益、その2!

   前回のブログに続き、2011年3月期のオーケーの本決算を取り上げる。前回はP/L(損益計算書)を中心に原価、経費、そして、新規出店戦略について取り上げたので、今回はCF(キャッシュフロー計算書)、B/S(貸借対照表)を中心に、オーケーの経営面について見てみたい。一般に財務3表はキャッシュの流れを集約したものであり、P/Lがキャッシュを生み出す質を表し、B/Sがキャッシュを生み出す量を表している。そして、CFがキャッシュの流れを誘導していると見ることができる。特に、食品スーパーマーケットではキャッシュの質を決めるのが原価、経費であり、キャッシュの量を決めるが新規出店であり、キャッシュの流れを決めるが投資活動によるキャッシュフローと、財務活動によるキャッシュフローである。そこで、ここでは、このような観点からオーケーのCFとB/Sを見てみたい。

   まずは、CF、営業活動によるキャッシュフローであるが、113.11億円(昨年110.99
億円)と、昨年を上回り、100億円を超えた。営業活動によるキャッシュフローが100億円を超える食品スーパーマーケットは決算公開企業約50社では10社前後であり、豊富なキャッシュを獲得している。そこで、そのキャッシュの配分であるが、まずは投資活動によるキャッシュフローであるが、-56.44億円(昨年-75.48億円)と、昨年と比べ約20億円減少している。その中身であるが、有形固定資産の取得による支出が15.14億円(昨年57.35億円)と1/3以下となり、大きく減少しており、新規出店を控えたことがわかる。今期、新店が4店舗に留まったのは、このキャッシュフローからも明らかであり、この数字を見る限り、来期も新規出店を抑制してゆく方針といえよう。

   したがって、差し引き、フリーキャッシュフローは56.67億円(昨年35.51億円)と、約20億円増加している。新規出店への投資を控えた分が、ほぼそのまま加わったといえる。そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、10.39億円(昨年9.87億円)となり、ほぼ、昨年と同様な数字である。その中身であるが、借入関連が差し引き0.59億円、自己資本関連が差し引き-0.35億円であり、結果、実質、配当の-10.64億円(昨年9.93億円)のみといえ、残り約10億円はすべて配当に回されており、有利子負債の削減等へのキャッシュの配分はなかったといえる。

   結果、トータルキャッシュフローは46.26億円(昨年45.38億円)と、ほぼ昨年同様のキャッシュの増加である。したがって、今期のキャッシュの配分は約110億円の内、50億円弱を内部留保し、残り60億円の内、50億円強を投資に回し、残り約10億円を配当に回したといえる。問題は投資の約50億円の中身であるが、成長性を重視するのであれば、全額、新規出店へ回しても良かったと思われるが、今期はわずか約15億円である。オーケーの1店舗当たりに必要な資産は6億円強であるので、約15億円は3店舗弱であり、かなり控えめの数字である。したがって、今期は、成長性よりも内部留保を重視したキャッシュの配分を行ったといえる。

   実際、今期の資産の現預金の項目を見ると、293.93億円(昨年247.67億円)と大きく増加しており、しかも、約300億円という豊富なキャッシュといえる。これは総資産が851.25億円であるので、34.53%に当たり、食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の中でも最大規模の現預金である。したがって、今期、オーケーは現預金を最も重視したキャッシュの配分をしたといえる。恐らく、東日本大震災の影響もあり、手持ちキャッシュを増加したのではないかと思われる。

   一方、オーケーの純資産であるが、376.33億円(昨年322.30億円)となり、総資産が851.25億円であるので、純資産比率は44.20%となり、この5年間で最大となった。この5年間の推移をみると、28.8%(2007年)、31.4%(2008年)、35.8%(2009年)、40.9%(2010年)、そして、44.2%(2011年)であり、急激に財務内容が安定しているといえる。これに対し、負債の主要項目である有利子負債であるが、146.37億円(昨年145.79億円)と、ほぼ昨年並みの水準であり、総資産対比17.2%、現預金が34.53%であることから、実質無借金であるといえ、財務への負担は極めて小さいといえる。

   そこで、資産の新規出店関連、土地、建物、敷金及び差入保証金の合計であるが411.97億円(昨年420.46億円)であり、総資産対比48.39%である。したがって、純資産比率から差し引いた出店余力は-4.19%であり、ほぼイコールであり、現預金を加味すれば出店余力は高いといえる。ちなみに、決算公開企業約50社の平均は-20%弱であるので、オーケーの出店余力は十分といえる。結果、この財務状況を見る限り、オーケーは、今期、出店を抑制し、内部留保を重視したキャッシュの配分を行ったといえる。

   このように、オーケーのキャッシュを生み出す流れを見ると、前回のブログで取り上げたようにキャッシュを生み出す質は原価、経費ともに低く、極めて高いといえる。そして、キャッシュを生み出す量であるが、先に見たように、出店余力は十分であるにも関わらず、今期は新規出店を抑制しており、少なかったといえよう。特に、経営方針、その意思が最も強く表れるキャッシュフローでは内部留保を重視した配分が鮮明であり、特に、今期はキャッシュ、現預金を重視したといえる。恐らく、東日本大震災の影響を考慮した結果と思われるが、結果、財務内容は改善され、より強個となった。今後、この強個になった財務内容をもとに、オーケーがさらに財務を強個にしてゆくのか、それとも、経営目標の年率130%の成長を目指し、再び積極策に転じるのか、その動向に注目である。

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