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June 27, 2011

オーケー、2011年3月期本決算、増収増益、その1!

   オーケーが6/20、2011年3月期の決算を公表した。これで、2011年4月度までの食品スーパーマーケット業界における決算公開企業約50社の公表は終了したといえ、2011年度決算が出揃った。その結果であるが、売上高2,307.52億円(6.9%)、営業利益128.41億円(15.5%)、経常利益130.17億円(14.8%)、当期純利66.49億円(0.6%)となり、増収増益の好決算となった。これに対し、オーケー自身は、「経営目標の年率30%成長に対し売上の伸びが大幅に低下しておりまして深く反省しております。」とのことで、厳しいコメントである。また、これに続けて、「新店開発の遅れも一因ですが、競争の激化により当社の優位性が薄らいだことが主な要因です。熱烈なオーケーファンが増え続けない限り、私たちオーケーの発展はありません。」とコメントしており、優位性が薄れたことが、伸び悩みの原因であるとの認識である。

   そこで、改めて、オーケーの原価、経費の現状を見てみたい。まずは原価であるが、79.2%(昨年79.9%)と、0.7ポイント下がっている。結果、売上総利益は20.8%(昨年20.1%)と改善した。問題は、この改善が売価が上昇したか、原価が下がったかであるが、オーケーのコメントにもあるように「競争の激化により当社の優位性が薄らいだ」とのことであるので、価格面でのオーケーの優位性が薄らいだと思われ、売価が相対的に上昇気味であったともとれるコメントである。特に、オーケーの決算が3月期でもあり、3月度は、東日本大震災の影響もあり、商品供給が十分になされなかったことにより、売価がやや高めにならざるをえなかった面もあったと思われる。ただ、原価が下がり、売上総利益が上昇したとはいえ、20.8%は、今期、2011年度の決算公開企業約50社の中では極めて低く、この数字を見る限り、十分な競争力を維持しているといえる。

   一方、経費の方であるが、15.2%(昨年15.0%)と、0.2ポイント上昇した。それにしても、15%強という経費比率は食品スーパーマーケットでは極限の数字であるといえ、2011年度の決算公開企業約50社の中では、昨年同様、圧倒的なNo.1であり、これがオーケーの最大の強みといえる。ちなみに、No.2は16.5%のトライルカンパニー、No.3は16.9%のアオキスーパーである。オーケーの経営方針である「高品質・Everyday Low Price」は、この経費比率15.2%に支えられているといえ、コメントでは「競争の激化により当社の優位性が薄らいだ」とのことであるが、数字を見る限り、原価の上昇がやや気になるところではあるが、依然として、経費比率は低く、昨年と変わらぬ高い競争力を維持しているといえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.6%(昨年5.2%)と、改善し、収益性の高い結果となった。オーケーはその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、今期、営業利益は15.5%増と、大幅な増益となった。この結果を見る限り、経費の若干の上昇は見られるが、原価が大きく下がったことにより、マーチャンダイジング力は大きく改善しており、収益性は増しているといえ、これが好決算をもたらした要因である。

   したがって、収益性は、この結果を見る限り、むしろ増しており、気になるのは成長性の方であり、今期、売上高が6.9%の伸びにとどまったことである。オーケーの目標は先のコメントにもあるように、「経営目標の年率30%成長、・・」であり、年率30%が目標数字であり、この6.9%は大きく目標を下回っている。

   そこで、その要因を新店と既存店で見てみると、「当連結会計年度中の新店は足立小台店・川越店・仲池上店・町田小川店の4店で、新店を除く既存店の売上前年比は0.3%増(前期は2.5%増)でございました。」とのことであり、既存店が伸び悩んでいることに加え、新店も4店舗に留まったことが、その要因といえる。オーケーは現在64店舗であるので、新店のみで130%の成長を目指すとすると、20店舗近い新規出店が必要となる。仮に、既存店が10%の成長が可能であれば、新店で20%増となるが、それでも10店舗強の新規出店が必要となる。したがって、今期、4店舗は、目標に対してはかなり低い結果といえ、今後、新店戦略については、130%の成長を目指すのであれば、大きく見直す必要があるといえよう。

   このように、2011年3月期のオーケーの本決算が公表されたが、結果は増収増益となり、好決算となった。ただ、オーケー自身が掲げている経営目標が「借入無しで年率30%成長の達成」であり、極めて高い目標であるため、売上高2,307.52億円(6.9%)が、結果としては乖離が生じてしまったといえる。一方、利益の方は、営業利益128.41億円(15.5%)と2桁の増益であり、原価が大きく下がり、高収益を上げており、経費についても、15.2%と、依然として食品スーパーマーケット業界ではNo.1の低さであり、収益力は極めて高いといえる。成長性か収益性か、経営はその両立は難しく、いかにバランスをとるかであるが、特に、東日本大震災以降、食品スーパーマーケット業界全体が収益性にシフトしており、オーケー自身も転換点に来ているのではないかと、この決算結果を見る限り思われる。

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