マックスバリュ北海道、2012年1月、第1四半期決算!
マックスバリュ北海道が6/10、2012年1月期の第1四半期決算を公表した。結果は営業収益194.70億円(6.6%)、営業利益0.71億円(昨年は赤字)、経常利益0.67億円(昨年は赤字)、当期純利益-3.50億円(昨年は赤字)となり、厳しい決算となった。特に、今期は、3/11の東日本大震災の影響に加え、資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う影響額を3.01億円計上したため、その分がそっくり当期純利益のマイナス分となった。食品スーパーマーケットにとっては、今後の決算は、この2つの影響により、2012年度決算は厳しい結果が予想されよう。
ただ、営業、経常段階では、昨年の赤字決算を脱却し、黒字転換しており、利益が改善し、回復の兆しも見える。そこで、営業利益が黒字転換した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、77.15%(昨年77.17%)となり、0.02ポイントとわずかに改善している。マックスバリュ北海道自身は、「北海道地域の経済は、一部に持ち直しの動きがみられましたが、東日本大震災の影響により先行き不透明な状況にあります。当社の属するスーパーマーケット業界では、お客さまの節約志向は引き続き強く、業種・業態を越えた競争が進行しております。」とのことで、依然として競争が厳しいとのことである。結果、売上総利益は22.85%(昨年22.83%)となった。
一方、経費の方であるが、24.24%(昨年26.67%)となり、2.43ポイントと、大幅な削減となった。それにしてもこれだけ、経費比率が下がるのは異常ともいえる。マックバリュ北海道も、「昨年4月に当社のモデル店として立ち上げた「マックスバリュ新花園店」や「ザ・ビッグ」店舗の成功事例を既存店舗の運営に取り入れることにより店舗の活性化を進めてまいりました。」とのことで、特に、ザ・ビックは経費比率も低い業態であり、これらのノウハウが反映されたものといえよう。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.39%(昨年-3.84%)と、依然としてマイナスではあるが、その数字は大きく下がっており、経費削減効果が大きかったといえよう。
そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.76%(昨年1.93%)のり、結果、営業利益は0.37%(昨年-1.91%)となり、黒字転換となった。昨年と比べ、経費比率が下がったことが黒字転換の要因であるといえる。ただ、経費比率が売上総利益を上回り、マーチャンダイジング力がマイナスであり、今後、原価の改善もさることながら、経費比率をさらに削減してゆくことも課題といえよう。
さて、資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う影響額3.01億円であるが、この金額は、マックスバリュ北海道の通期営業収益の予想が今期は800.00億円であるので、0.37%にあたる。したがって、営業利益が0.37%以上にならないと、当期純純利益は赤字決算とならざるをえない。今期の営業収益に対する営業利益率は0.36%であり、このままの比率で推移すると、通期の当期純利益の赤字は避けられない状況といえ、今後、原価、経費比率の一層の改善が課題といえよう。
マックスバリュ北海道のこの第1四半期決算でもうひとつ気になるのは自己資本比率である。結果は23.1%(昨年25.8%)となり、80%弱が負債に依存するという厳しい結果となった。その要因であるが、有利子負債が72.92億円となり、総資産264.69億円の27.54%となり、純資産を上回り、資産の現預金も33.47億円であるので、経営に重くのしかかっているといえる。したがって、キャッシュフローにおいては、財務活動によるキャッシュフローを見ると、長期借入金の返済による支出-5.57億円(昨年-7.25億円)という状況であり、最優先で有利子負債の返済をせざるをえない状況にあり、本来、食品スーパーマーケットが成長してゆくための投資にキャッシュを配分できない状況にあるといえる。
実際、投資活動によるキャッシュフローを見ると、新規出店関連の投資、有形固定資産の取得による支出は、-0.91億円(昨年-0.34億円)であり、厳しい状況である。マックバリュ北海道自身も、「「札幌フードセンター元町店」を「マックスバリュ元町店」へ店舗改装いたしました。また、「ジョイ モエレ店」を「ザ・ビッグ エクスプレスモエレ店」へ価格競争力のある業態へと転換をいたしました。」と、新規出店よりも、店舗改装、業態転換での成長を目指さざるを得ない状況といえる。
このように、食品スーパーマーケット業界注目の2012年度の第1四半期決算が公表されはじめ、 1月期決算の結果が明らかになりつつある。マックスバリュ北海道は、経費比率が大きく改善され、営業、経常段階では、昨年の赤字決算から黒字へと転換したが、資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う影響額が響き、当期純利益では赤字となった。今後、少なくとも、これをカバーする利益率が必要といえるが、この第1四半期の決算結果を見る限り、厳しい状況といえる。マックスバリュ北海道としては、一層の経費の削減が課題といえ、現在進めつつある経費比率の低いザ・ビックのノウハウをどこまで全店へ導入できるかが当面の課題といえよう。次の中間決算、マックスバリュ北海道の経費比率の結果に注目である。
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