マックスバリュ西日本、2012年2月期、第1四半期決算!
6/27、マックスバリュ西日本が2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益604.20億円(7.7%)、営業利益10.56億円(51.1%)、経常利益11.65億円(44.6%)、当期純利益-2.88億円となり、営業、経常段階は増収増益となったが、当期純利益は、「資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う影響額として12億46百万円を特別損失として計上したことにより、・・」とのことで、赤字決算となった。
この資産除去債務に関する会計基準の適用は前期の3月度決算企業からはじまっており、マックスバリュ西日本は2月度決算であるため、前期には適用されなかった。この第1四半期決算ではじめて適用されたため、赤字となった。今後、食品スーパーマーケット業界の2月度決算企業の第1四半期決算の公表がはじまるが、第1四半期は、この資産除去債務に関する会計基準の適用が、かなり大きなインパクトとなろう。実際、マックスバリュ西日本は12.46億円であるが、これは、この第1四半期の売上対比で見ると、2.11%にも当たる。ただ通期で見ると、前期決算の売上高が2,389.02億円であるので、比率にすると0.52%となる。この3月度決算企業の前期の影響額が売上対比0.4%前後であるので、少し高めではあるが、年間ではカバーできるものと予想され、通期では黒字になると思われる。ただ、少なくとも売上高の約0.50%は減益を余儀なくされると予想されるので、それ以上の営業利益を確保する必要があるといえる。
そこで、この第1四半期決算の営業利益について見てみたい。結果は10.56億円(51.1%)と大幅な伸びとなったが、その要因を原価、経費面から見ると、まずは、原価であるが、76.74%(昨年76.31%)となり、0.43ポイント上昇している。結果、売上総利益は23.26%(昨年23.69)と、いわゆる粗利は下がった。マックスバリュ西日本は、現在、ディスカウント業態、ザ・ビックに戦略をシフトしており、今期も、「当第1四半期会計期間に4店舗(マックスバリュグランドロックシティ姫路店、マックスバリュ中島店、ザ・ビッグ丸亀城南店、ザ・ビッグ防府東店)を開店、・・」とのことで、4店舗の新店の内、2店舗がザ・ビックである。実際、マックスバリュ西日本自身も、「営業総利益率は、ザ・ビッグ業態の拡大等による影響のため対前年同四半期より0.3ポイント低下したものの、・・」とコメントしており、これが原価の上昇をもたらした要因といえよう。
さらに、今期は、「営業及び商品面におきましては、従前からの取り組みである家計応援商品、家計応援スペシャル商品、トッププライス)商品の販売に注力するとともに、・・」とのことで、価格訴求を強化したことも、売価面から原価を下げる要因となったものと思われる。これに加えて、3/11の東日本大震災の影響であるが、「当第1四半期会計期間を通じては、震災後も継続しているお客さまの低価格志向にお応えすべく、更なる成長と競争に打ち勝つ収益構造の構築を目指して取り組みました。」とのこで、依然として、消費者の低価格志向が続いているとのことである。
一方、経費の方であるが、23.92%(昨年24.73%)と、0.81ポイントと大幅に下がり、大きく改善した。これについて、マックスバリュ西日本は、「コスト構造改革につきましては、店内作業を「やめる」「減らす」「やり方を変える」という思考で見直し、仕組みを変えることで生産性の向上を図りました。具体的には、カートラック納品の拡大や直納伝票の電子化等を実現したことで、人時売上高及び人時生産性ともに前年同四半期より改善しております。」とのことで、コストカットを積極的に推し進めた成果といえよう。また、業態が経費比率の低いディスカウント業態、ザ・ビックにシフトしつつあることで、経費の削減が進んでいるものとの思われる。さらに、東日本大震災後は水道光熱費をはじめ、あらゆる経費削減を食品スーパーマーケット業界全体が全国的規模で推進しており、経費改善は進むものといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.66%(昨年-1.04%)となり、依然としてマイナスではあるが、その差は大きく縮まっており、強化されつつあるといえる。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.45%(昨年2.32%)加わり、結果、営業利益は1.79%(昨年1.28%)と、増益となった。原価は上昇したが、経費が大きく削減され、その他営業収入も増加したことが営業利益の大幅増をもたらしたといえよう。
このように、マックスバリュ西日本の2012年2月期の第1四半期決算が公表されたが、今期は3/11の東日本大震災の影響、そして、今期から適用される資産除去債務に関する会計基準の影響が懸念されていた。資産除去会計基準の適用に関しては予想通り、インパクトが大きく、当期純利益が赤字決算となったが、通期では黒字転換するものと思われる。また東日本大震災の影響であるが、経費の削減というプラス効果があったと思われるが、原価に関してはむしろ上昇しており、マックスバリュ西日本がディスカウント業態、ザ・ビックにシフトしていることもあり、企業全体が原価を下げる要因がはたらいているともいえる。今後、この結果を踏まえ、次の中間、そして、通期決算に向けて、原価、経費のさらなる改善に向け、マックスバリュ西日本がどのように踏み込んでゆくのか注目である。
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