オークワ、2012年2月期、第1四半期決算公表!
オークワが6/24、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益712.71億円(4.4%)、営業利益12.96億円(56.1%)、経常利益14.26億円(54.1%)、当期純利益-1.15億円となり、営業、経常段階では、増収増益、特に利益が大幅な増益となった。ただ、当期純利益は減損損失、さらに、今期から適用された資産除去債務に関する会計基準の適用により、赤字決算となった。
食品スーパーマーケット業界にとって、特に2月期決算企業については、3月から5月までの決算期間であるため、3/11の東日本大震災の影響、そして、先にも触れたが、資産除去債務に関する会計基準の適用がなされ、2つの影響が生じ、例年の決算とは異質な結果が予想された。実際、オークワのこの結果を見ても、営業段階の大幅な増益、それにも関らず、当期純利益の赤字と、明らかに異質な決算となった。
そこで、営業利益が大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、74.87%(昨年75.26%)となり、0.39ポイント下がり、結果、売上総利益は25.13%(昨年24.74%)となった。オークワ自身は、東日本大震災の影響について、「小売業界におきましては、大震災直後は震災関連商品が動いたものの、自粛ムードの拡大や消費者の生活防衛意識の高まりなど、非常に厳しい経営環境が続きました。」とのことで、経営環境は厳しいとの認識である。ただ、原価は下がり、粗利は改善しており、この数字を見る限り、東日本大震災の影響は原価を下げる方向に動いたといえよう。
一般に原価が下がる要因は仕入れ原価が下がるか、売価が上がるかであるが、東日本大震災がもたらした自粛ムードは、特に、この時期十分に商品を確保できなかったことも加わり、特売が減少し、結果、売価が相対的に上昇したことが大きいと思われる。また、仕入れ面では商品在庫を確保するため様々な商品供給ルートの確保が必要となり、新たに原価の低い供給ルートの開拓も寄与しているものと思われる。これらが相まって、東日本大震災の原価への影響は、オークワの結果を見ても、原価を下げる方向に動いたといえよう。
一方、経費の方であるが、26.77%(昨年27.18%)となり、0.41ポイント改善している。これについて、オークワは、「当社は『独自性と地域性を活かした商品構成と販売手法を確立し、業務改革推進による効率改善を迅速に行い、業界のリーディングカンパニーを目指そう』を本年度スローガンに掲げ、業務を進めてまいりました。業務改革については、昨年設置した『業務改革室』を中心に、モデル店舗で改善活動を行い、そこでの成功事例を各店へ水平展開しております。」とのことで、業務改革への取り組みが、大きかったといえよう。特に、この動きが、東日本大震災後、水道光熱費等のあらゆる経費節減へと結びついていったものと思われる。
結果、原価、経費双方がバランスよく下がり、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.64%(昨年-2.44%)となり、依然としてマイナスではあるが、その幅は大きく下がっており、マーチャンダイジング力が改善している。そして、これに、不動産賃貸収入に加え、物流収入等のその他の営業収入が3.53%(昨年3.70%)加わり、結果、営業利益は1.89%(昨年1.26%)となり、大幅な増益となった。残念ながら、その他営業収入は若干マイナスとなったが、原価、経費双方が下がったため、そのマイナスをカバーし、営業利益は改善しており、この第1四半期は、この結果をから見る限り、東日本大震災の影響は、こと営業利益面から見る限り、プラスに働いたといえよう。
では、この好調な営業利益にも関わらず、当期純利益が-1.15億円の赤字となった要因であるが、大きく2点である。ひとつは減損損失が10.43億円(昨年0.62億円)と、減損損失が大幅に上昇したことである。これは売上対比1.51%にも及び、かなりのインパクトである。そして、もうひとつが、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額2.68億円の特別損失である。これは昨年度はなかった数字であり、今期から適用されたものである。したがって、この2つで、合計 13.11億円となり、営業利益12.96億円(56.1%)がそっくり、相殺されてしまう数字であり、これが赤字決算となった要因である。ただ、まだ、第1四半期であり、今後、この第1四半期並みに好調な増益が見込まれれば、次の中間、そして、通期にまで赤字は及ばないといえる。
このようにオークワの2012年2月期の第1四半期が公開されたが、結果は営業、経常段階では増収増益、特に、利益面は大幅な増益となった。その要因は原価、経費、双方がバランスよく改善したことが大きいといえ、懸念されていた東日本大震災の影響がプラス要因になったものと思われる。その意味で、この大震災は食品スーパーマーケットにとっては、業務改革を断行するチャンスでもあるといえ、オークワが新たに設置した業務改革室はその流れに沿うものであるといえる。ただ、一方で、減損損失、そして、今期から適用された資産除去債務に関する会計基準の適用の影響は大きく、当期純利益は、好調な営業利益を相殺し、赤字という厳しい結果となった。オークワとしては、今期、この決算結果を踏まえ、どこまで、この当期純利益の改善がはかれるか、次の、中間、そして、通期決算の結果に注目である。
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