アークランドサカモト、2012年、第1四半期、増収増益!
アークランドサカモトが6/20、2012年2月期、第1四半期決算を公表した。結果は売上高245.21億円(10.1%)、営業利益24.84億円(45.8%)、経常利益26.05億円(44.6%)、当期純利益10.98億円(11.8%)となり、いずれの数値も2桁の大幅な増収増益となった。アークランドサカモト自身も、「当社グループの第1四半期業績は、売上高、営業利益、経常利益とも大幅に計画を上回りました。これは、主に東日本大震災の復旧需要によるものであります。」とコメントしており、東日本大震災の影響が大きくプラスに転じているとの認識である。そして、続けて、「こうした復旧・復興需要が当分の間継続するものと考えられる一方で、大震災の影響による電力不足など経済活動の低下や不透明な世界経済及び国内政治動向が懸念されます。」とのことで、先行きは見通しが不透明であるとのことでもある。
そこで、アークランドサカモトが好調な要因であるが、まずは、3月以降の東日本大震災後の月別の売上高の推移を見てみたい。3月度116.5%(既存店108.8%)、4月度116.0%(既存店110.0%)、5月度111.9%(既存店106.6%)であり、いずれも2桁の伸びであり、既存店の伸びも堅調である。さらに、既存店の好調な要因を客数、客単価で見てみると、3月度(客数101.6%、客単価107.4%)、4月度(客数108.5%、客単価101.4%)、5月度(客数104.9%、客単価101.6%)である。震災のあった3月度は、客数よりも客単価が大きく伸びており、まさに、復興需要といえよう。ただ、4月度に入ると、客数の伸びが顕著であり、客単価は落ち着き、その後、5月度もほぼ同様な傾向であり、ここへ来て、客数の伸びが売上高を押し上げているといえる。
アークランドサカモトは巨大ホームセンター、ムサシを主力業態に北陸、東北を中心に店舗展開をしており、現在FC6店舗を含め、40店舗となっている。また、これ以外でも外食かつやを中心に165店舗展開している。ホームセンタームサシでは食品も取り扱っている店舗もあり、いわゆるスーパーセンターも展開している。その主力業態ホームセンタームサシの立地であるが、宮城県2店舗、山形県6店舗、地元、新潟県13店舗、富山県4店舗、石川県2店舗、京都府1店舗、兵庫県1店舗であり、北陸、東北中心の店舗展開である。
3/11の東日本震災後、小売業の中ではコンビニが堅調な売上げであり、その要因は、コンビニの非食品部門が大きく伸びたことが要因であるが、非食品では、その専門ともいえるホームセンターは、このアークランドサカモトの結果を見る限りでは、さらに、好調といえ、当面、小売業界全体の数字を牽引してゆくことになろう。
そこで、さらに、アークランドサカモトのこの第1四半期決算が好調な要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、65.92%(昨年66.75%)となり、0.83ポイント下がっており、原価が改善している。結果、売上総利益は34.08%(昨年33.25%)となり、粗利が上昇している。この3ケ月間の売上高の推移を見ても、特に、震災のあった3月度は客数よりも、客単価が大きく上昇しており、需要>供給という構造となり、売価面が比較的安定し、原価の上昇を抑えたものといえよう。また、4月以降は客数アップに転じていることから、需要>供給の構造は変わっておらず、原価面では、当面、下降基調が続くものといえよう。
一方、経費の方であるが、23.94%(昨年25.59%)となり、1.65ポイントと、原価以上に下がっており、大幅な経費削減がなされている。特に経費については小売業界全体が電力不足に備え、節電、省電をはじめ、あらゆる経費削減を行っていることから、アークランドサカモトも様々な経費削減が功を奏したものといえよう。また、これに加え、アークランドサカモトは既存店の売上高が大きく改善されたことから、人件費等の固定費が相対的に下がり、これが経費削減効果をもたらしたといえよう。
結果、差しい引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は10.14%(昨年7.66%)となり、何と10%を超える営業利益率となった。昨年の7.66%でも小売業としては高い数字であるが、この第1四半期の10.14%は極めて高い数字であり、異常値といえる。それだけ震災がアークランドサカモトにもたらした復興需要は大きかったといえ、それが改めて、この経営数字で実証されたといえよう。アークランドサカモトはその他営業収入を計上していないため、結果、マーチャンダイジング力=営業利益となり、この第1四半期は、大幅な増益となった。
このように、ホームセンター業界注目のアークランドサカモトの3/11の東日本大震災の影響を加味した第1四半期決算が公表されたが、結果は2桁の増収増益となった。しかも、増収に関しては既存店の数字も好調であり、当初は客単価、ここ最近は客数が伸びており、バランスの良い増収である。一方、増益に関しても、原価、経費、双方が下がり、特に経費は大幅に下がっており、結果、営業利益が昨対45.8%増になっただけでなく、売上高対比でも10.14%と10%を超える数字なり、異常値といえよう。それだけ、東日本大震災がもたらしたアークラドサカモトへのプラスのインパクトは大きかったといえ、今後、この特需をどう次の展開につなげてゆくかが課題といえよう。次回、アークラドサカモトの中間決算の結果に注目である。
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