仙台4世帯の4月度の家計調査データの動向!
家計調査データは地域別データが公表されており、全国主要都市の消費動向を見ることができる。この4月度は残念ながら3/11の東日本大震災の影響があり、被災地、福島市のデータは集計されていないが、3月度集計できていなかった被災地、仙台市のデータが加わった。ただし、その数はわずか4世帯である。主要都市の集計平均世帯数が103世帯であるので、極端に少ない数字であるが、それでも、3月度は福島市同様0世帯であったので、この数字は被災地の消費動向を把握する上で貴重なデータであるといえる。当然、異常値が見込まれることも考えられるが、それを念頭においた上で、この仙台市の4世帯の消費動向を見てみたい。
まず、この仙台市の4世帯をどう分析するかであるが、全体の平均値を算出し、その平均をもとに仙台市4世帯の平均値との比率を算出する。次に、その比率を全体の比率と比べ、どのくらい高いか、低いかの比率を算出する。全体の比率とは、全体平均の中のトータルの消費支出である。実際に、これらの数字を算出してみると、まず、仙台市4世帯の平均のこの4月度の全消費額は136,699円であり、全国の平均が300,297円であるので、その比率は45.5%である。したがって、ここから、仙台市では、4世帯であるが、日本の平均的な消費額とくらべ、半分以下で、この4月度は生活していたことになる。
この数字を被災地全体に当てはめるわけには、もちろんいかないが、少なくとも、通常の生活の45.5%の生活費は必要であるといえ、その金額は1世帯136,699円であり、これが、この3月度、4月度ではじめて明らかになった、わずか4世帯であるが、被災後、1世帯が生活してゆく上において必要な生活費用であるといえよう。
そこで、この45.5%よりも比率の高い項目について、仙台市の4世帯の消費動向をもとに見てみたい。これにより、この4月度、仙台市の4世帯が、生活してゆく上において、136,699円を何に強く配分したかが見え、被災地においては何が生活する上で重要な項目であるかが、伺えるものと思われる。
まずは、100%を超える消費項目であるが、外食を除く食料131.2%(33,988円)、外食142.4%(7,517円)、住居214.4%(17,574円)、光熱・水道211.4%(23,364円)である。金額で見ると外食を除く食料が33,988円で最も高く、全体136,699円の24.8%である。比率では住居214.4%、光熱・水道211.4%と、この項目が突出している。意外なのは外食の142.4%であるが、その中身はハンバーガー713.5%(1,137円)、洋食569.9%、日本そば・うどん406.2%(3,438円)が極端に高い数字となっている。
そこで、ここでは、特に、外食を除く食料について、消費が集中した項目を見てみたい。大分類で見ると、穀類206.4%(5,814円、全国平均6,187円)、魚介類118.0%(3,283円、全国平均6,112円)、肉類107.4%(3,091円、全国平均6,321円)、乳卵類242.3%(3,565円、全国平均3,232円)、野菜・海藻128.7%(4,982円、全国平均8,505円)、油脂・調味料132.6%(1,906円、全国平均3,158円)、菓子類128.7%(3,676円、全国平均6,274円)、調理食品132.5%(4,744円、全国平均7,867円)である。
この中で、特に、穀類206.4%、乳卵類242.3%が突出しており、しかも、全国平均と比べても金額面でもほぼ同じ数字であり、この2項目が外食を除く食料では被災後、特に重要といえよう。その中身であるが、穀類では、何といっても、米498.2%(4,553円、全国平均2,008円)、カップめん467.6%(532円、全国平均250円)、もち502.6%(161円、全国平均70円)であり、異常値である。いずれも、全国平均の金額を大きく上回る数字であり、全体の消費が45.5%であるので、ここに集中的に消費金額が配分されたといえる。ついで、乳卵類であるが、牛乳349.6%(2,036円、全国平均1,279円)、卵315.7%(1,079円、全国平均751円)、ヨーグルト 112.2%(349円、全国平均683円)である。特に、牛乳、卵が異常値である。
これ以外の外食を除く食料で異常値となった項目であるが、さんま628.7%(90円、全国平均31円)、たい492.9%(281円、全国平均125円)、レタス437.8%(328円、全国平均165円)、みそ514.7%(477円、全国平均204円)、ケチャップ421.4% (103円、全国平均54円)、天ぷら・フライ439.6%(1,454円、全国平均727円)、ハンバーグ411.6%(147円、全国平均78円)、ココア・ココア飲料585.7%(69円、全国平均26円)、清酒613.8%(1,215円、全国平均435円)と、以上が400%を超える項目である。
ちなみに、外食を除く食料以外では、火災・地震保険料3844.9%(17,046円、全国平均974円)、灯油902.3%(7,249円、全国平均1,765円)、ティッシュペーパー778.0%(624円、全国平均176円)、婦人服919.5%(2,911円、全国平均695円)、婦人靴808.3%(2,232円、全国平均607円)、幼稚園905.1%(7,700円、全国平均1,869円)、現像焼付代3456.0%(4,528円、全国平均288円)、パーマネント代649.2%(1,384円、全国平均468円)、介護サービス449.2%(969円、全国平均474円)等が、厳しい消費状況の中、大きく配分が割かれた項目である。
このように、3/11の東日本大震災後、はじめて、被災地である仙台市の家計調査データの実態が、わずか4世帯ではあるが、公表された。依然として、福島市は集計できていない状況であるが、これを見ると、全体の消費額は45.5%と厳しい状況にあるが、その45.5%を本当に必要なものに大きく配分している実態が鮮明である。この数字を見る限り、まだまだ、被災地は極めて厳しい消費環境にあり、正常な生活には程遠い状況にあることがわかる。この厳しい被災地の生活が1日も早く改善することを願い、次回、5月以降も、その動向を追ってゆきたい。
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