棚割を考えてみる!
食品スーパーマーケットにおいて、古くて新しいテーマはいくつもあるが、その中のひとつに棚割がある。棚割は食品スーパーマーケットにおいて売上げを上げるための重要な手法であるが、どのような棚割を組めば良いかについては、食品スーパーマーケットの創業期から議論が続く、永遠の課題ともいえる。特に、約30年ぐらい前から、POSシステムが普及し、単品管理ができるようになってからは、経験と勘による棚割から、POSデータを駆使した棚割へと変化し、様々な棚割手法が開発された。ここ最近では、POSデータをもとに、棚割システムが開発されるなど、棚割は飛躍的な進化を遂げたといえる。また、ウォルマートがデータウェアハウスを駆使し、自動発注、自動棚割の仕組みを開発したことにより、棚割も自動化の方向に進みつつある。
では、その棚割の基本原理はどこにあるかであるが、通常のPOSシステムから得られる指標は3つしかない。売上金額、売上数量、レシート枚数である。したがって、棚割もこの3つの指標を駆使し、作成されることになる。この中で、現在の棚割上、最も重視されているのが、売上数量である。なぜなら、棚割において、まず決めなければならないものはフェイスにあるからである。フェイスとは顧客から見た場合、文字通り商品の顔、顧客に商品の顔1つを見せるのか、顔2つを見せるのか、顔3つを見せるのか、あるいは、それ以上の顔を見せるのかである。このフェイスを決める根拠が売上数量にある。
この根拠が見出せない場合は、すべてのフェイスが1になってしまうか、経験と勘により、売上数量と整合性のないフェイスの棚割ができあがることになる。では、そのフェイスの根拠とはどこにあるかであるが、その答えは在庫数量にある。フェイスとは顧客から見れば、文字通り顔であるが、棚割から見れば、在庫数量にあるといえる。1フェイスで、什器にもよるが、奥行き、10個ぐらいの在庫を置くことができる。したがって、2フェイスで20個、3フェイスで30個の在庫となる。ここから、売上数量が多いものは、在庫数量を増やし、フェイスが必要となり、売上数量が少ないものは、フェイスを減らし、在庫数量を減らすことになる。したがって、フェイスを決めるには、売上数量を正確に把握することが必要となり、ここにPOSデータが活用される根拠がある。
また、必然的に、売上数量が確定するので、発注とも連動することになり、一見、関係なさそうな要素が、POSデータの売上数量を基点にして、フェイスの決定、棚割、発注という一連のサイクルを決定することになる。そして、この一連の流れを全自動にしようとする試みが、ウォルマートがすでに実戦投入している自動発注、自動棚割の仕組みであるといえ、今後、日本においてもその研究が進み、実戦投入が進むことであろう。
ちなみに、1フェイス10個の在庫であるが、実際の食品スーパーマーケットの売場を見ると、ほとんどの棚割の中の商品のフェイスは1フェイスか、せいぜい2フェイスであり、3フェイス、4フェイス、5フェイスの商品はめったにないのが実態である。なぜか、それは、実際のPOSデータを分析してみれば明らかであるが、1日に10個以上売れる商品は世の中に数百品ぐらいしか存在しないからである。食品スーパーマーケットの平均的な店舗では、1日約20,000個の商品が売れるが、この内、20個以上売れる商品はせいぜい200品ぐらいであり、10個でも500品ぐらいといえる。規模の小さい食品スーパーマーケットでは、10個以上で200品ぐらいである。したがって、売場には約1万品の商品が存在するが、2フェイス、すなわち、在庫を十分に投入すべき商品はせいぜい数百品であり、それ以外はすべて1フェイスでも在庫上は問題ないといえる。
棚割は、在庫管理から本格的な研究が進んだといえ、そのために、POSデータにより単品管理を行い、売上数量を基点にフェイスへの落とし込み、そして、発注へと拡大していったといえる。そして、ここ最近では、さらに、ID-POS分析の研究が進み、商品関連の分析が可能となり、在庫管理だけでなく、どの商品とどの商品を関連づけて陳列すれば、さらに、売上がアップするかが明らかになりつつあり、この関連度合いを考慮した棚割への活用が始まっている。この場合の基本指標はIDであり、IDを基点に棚割への落とし込みがなされる。
このように、食品スーパーマーケットにとって、古くて新しいテーマ、棚割は、これまでは、POS分析による単品管理が基点となり、売上数量をもとにフェイスへ落とすという流れが確立され、在庫管理に活用されてきたといえる。そして、ここ最近では、ID-POS分析の発展により、IDを基点に商品関連が重視され、在庫管理に加え、商品同士の相性が新たに付け加わりつつあるといえる。棚割も、その意味で、第2ステップに入りつつあるといえ、在庫管理+商品関連、双方を加味した仕組みづくりの段階に入ったといえる。今後、棚割がどのように進化してゆくのか、興味深いところである。
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