大黒天物産、2011年5月期決算、増収増益!
大黒天物産が7/7、2011年5月度の決算を公開した。結果は、売上高893.64億円(11.4%)、営業利益46.12億円(10.6%)、経常利益45.93億円(10.3%)、当期純利益22.40億円(0.9%)と、増収増益の好決算となった。特に、5月度決算企業は3/11の東日本大震災の影響、昨年3月度以降の決算企業に適用された資産除去債務に関する会計基準の適用等があり、当期純利益へ大きな影響が生じるが、大黒天物産は当期純利益もわずかではあるが増益となり、好決算となった。ちなみに、大黒天物産の資産除去債務に関する会計基準の適用額は2.59億円(売上高対比0.28%)であった。
そこで、大黒天物産が増収増益と好決算となった要因をまずは売上面から見てみたい。大黒天物産の経営の特徴は積極的な新店開発にあるといえる。今期も、「岡山県に3店舗(うち1店舗は移転出店)、広島県に1店舗、鳥取県に1店舗、兵庫県に1店舗、福岡県に1店舗、さらに、新たな出店地域といたしまして山口県に2店舗、奈良県に1店舗の計10店舗を出店いたしました。」とのことで、地元岡山県を中心に西は九州、東は奈良県と広域での積極的な出店を繰り広げ、結果、現在67店舗となった。
各食品スーパーマーケットの2011年度決算を見ると、今期は新規出店が抑制気味であるが、大黒天物産は敢えて、積極的な新規出店を広域で行い、成長性重視の経営戦略である。これだけ、新規出店が可能な要因は大黒天物産特有の財務構造にあるといえる。大黒天物産の出店にかかわる資産、すなわち、土地、建物、敷金・保証金等の合計であるが、今期は114.07億円であり、総資産279.78億円の40.77%であり、1店舗当たりではわずか1.70億円である。これは、2011年度の決算公開企業約50社の平均が約6億円であるので、いかに少ないかがわかる。特に土地が少ないのが特徴といえる。
しかも、今期の大黒天物産の純資産比率は53.37%(昨年52.62%)であるので、ここから、出店にかかわる資産40.77%を引いた出店余力は12.60%である。これも2011年度の決算公開企業約50社の平均が-20%前後であるので、極めて高い出店余力であるといえる。したがって、大黒天物産は極めて少ない投資で新規出店が可能なだけでなく、財務的にも自己資本で十分に新規出店ができる余力があるといえ、これが大黒天物産の積極的な新規出店をささえる原動力になっているといえる。ちなみに、今期の投資活動によるキッシュフローの新規出店にかかわる投資であるが、27.48億円(昨年13.61億円)であり、これを1店舗当たりの出店にかかわる資産1.70億円で割ると16.16店舗となる。したがって、全店舗数67店舗で割ると、24.11%となり、出店意欲も旺盛であり、今後も積極的な新規出店を行ってゆく意思が強く表れているといえる。
一方、もうひとつの大黒天物産の強さ、収益力であるが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、77.46%(昨年77.64%)と、0.18ポイント下がった。これについて、大黒天物産は、「当社グループでは平成20年4月より実施しております購買頻度の高い商品約100品目以上を2割から5割値下げした「生活応援宣言セール」を引き続き実施するとともに、・・」等、背極的な価格訴求をかけており、しかも、その主力は原価の低いPBが主体であるため、価格訴求と原価の改善を同時に追求したマーチャンダイジング政策に取り組んでいるとことが大きいといえよう。結果、売上総利益は22.54%(昨年22.36%)となった。一方、経費の方であるが、17.37%(昨年17.15%)となり、0.22ポイント上昇した。ただ、上昇したとはいえ、17.37%は、2011年度の決算公開企業約50社の中ではベスト3に入る低さであり、これが、大黒天物産のもうひとつの強さの源泉といえる。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.17%(昨年5.21%)となった。大黒天物産はその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となる。したがって、今期の営業利益は、残念ながら、率で見ると、経費の上昇を原価の改善でカバーできず、若干下がったが、高で見ると、売上高が積極的な新規出店により、11.4%増となったため、それに伴い、10.6%の増益となった。このマーチャンダイジング力を見る限り、経費が極限に近い低さであるため、まだまだ価格訴求が可能な状況にあるといえ、大黒天物産の競争力には余力があるといえよう。
このように、大黒天物産の2011年5月度の決算が公表されたが、その結果は、増収増益の好決算となった。特に、デフレ環境の中、各社、新規出店が抑制気味であるにも関わらず、大黒天物産は今期10店舗と積極的な新規出店を行っており、しかも、新店への投資も旺盛であり、成長戦略を重視した強気の経営を推し進めたといえる。大黒天物産は出店にかかわる資産も極めて少なく、また、出店余力も十分であり、負債に頼らない新規出店が可能な財務状況にある。さらに、経費比率は極めて低く、価格競争力は強いといえ、今後もこの価格を武器に、積極的な新規出店がなされてゆくものといえよう。したがって、2012年度も大黒天物産の積極的な新規出店が続くといえ、年商1,000億円がいよいよ視野に入ったといえよう。
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