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July 21, 2011

マルミヤストア、2011年5月期本決算、増収増益!

   大分県の食品スーパーマーケット、マルミヤストアが7/7、2011年5月期の本決算を公表した。結果は、売上高328.94億円(8.5%)、営業利益5.73億円(74.6%)、経常利益6.59億円(57.1%)、当期純利益 3.60億円(92.8%)となり、増収増益の好決算となった。2011年度決算も、この5月度の決算公表をもってほぼ終了、残すは9月度決算企業のみであるが、その公表は年末となるため、これで、2011年度決算は実質終了といえる。

   マルミヤストアは九州、大分県が地盤であるため、3/11の東日本大震災の影響は直接受けることはなかったといえるが、「平成23年3月11日に発生した東日本大震災の国内経済に及ぼす影響は甚大であり、今後の企業を取り巻く経営環境は一層不透明な状況となりました。」とのことで、不透明な経営環境が続くとの見通しである。また、昨年3月度決算以降に適用された資産除去債務に関する会計基準の影響であるが、0.08億円であり、売上対比0.02%であり、その影響はわずかである。したがって、この3月度決算以降の食品スーパーマーケットの中では、この2つの影響が比較的小さかったといえ、これも好決算となった要因のひとつといえよう。

   それにしても、資産除去債務に関する会計基準の適用額が0.08億円とは極めて小さい数字である。その理由であるが、マルミヤストアの出店に関する資産、土地、建物の合計は51.08億円であり、これは、総資産102.77億円の49.70%に当たる。また、現在の店舗数が53店舗であるので、1店舗当たりの出店に係る資産は0.96億円である。今期、食品スーパーマーケットの2011年度の決算公開企業約50社の平均が約6億円であるので、極めて低い数字であり、最も低い数字である。したがって、資産除去債務に関する会計基準の適用額も売上高のわずか0.02%という低い数字となったものといえよう。

   マルミヤストアは、この数字が示しているように、極めて少ない資産で新規出店が可能なのが特徴といえ、これが今期の売上高8.5%増という増収をもたらした要因である。実際、今期も「既存店の活性化として、スーパーマーケット事業においては1店舗を移転拡大、1店舗を増床改装し、競争力の強化を図りました。店舗開発面では、ディスカウントストア事業において2店舗を新規出店し、・・」と、既存店の改装、新規出店を積極的に進めている。

   そこで、出店余力であるが、自己資本比率が50.7%(昨年49.0%)であり、出店にかかわる資産が先に見たように総資産の49.70%であるので、差し引き1.00%であり、食品スーパーマーケットの2011年度の決算公開企業約50社の平均が-21.9%であるので、出店余力が高いといえる。ちなみに、負債における有利子負債の割合は15.84億円であるので、総資産102.77億円の14.51%であり、財務的な負担は比較的小さく、新規出店へキャッシュを回す余裕があるといえよう。

   また、今後の出店意欲であるが、投資活動によるキャッシュフローの有形固定資産の取得による支出を見ると、-4.88億円(昨年-3.74億円)であり、昨年よりも増加している。これに、敷金・保証金-0.87億円を加え、先の1店舗当たりの出店にかかわる資産0.96億円で割ると5.98店舗となる。そして、これを総店舗数53店舗で割ると、出店意欲は11.28%であり、高いといえる。実際、来期の新規出店は、「安定的な成長のため、スーパーマーケット事業において、2店舗の新規出店、ディスカウントストア事業において、2店舗の新規出店を予定しております。」とのことで、4店舗の出店予定であり、コメントにもあるように、安定的な成長戦略であり、出店意欲を裏付けているといえよう。

   一方、マルミヤストアの増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、80.28%(昨年80.56%)となり、0.28ポイント下がっている。結果、売上総利益は19.72%(昨年19.44%)となった。それにしても、20%を下回る粗利であり、ディスカント性が強いといえよう。これに対して、経費であるが、18.37%(昨年18.79%)と、0.42ポイント下がった。経費比率も極めて低い水準であり、食品スーパーマーケットの2011年度の決算公開企業約50社の平均が25.2%であるので、いかに低いかがわかる。結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は1.35%(昨年0.65%)と、大きく改善した。原価、経費双方が改善したことが大きいといえよう。そして、これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が0.40%(昨年0.44%)加わり、営業利益は1.75%(昨年1.09%)と増益となった。

   このように、マルミヤストアの2011年5月期の決算は増収増益の好決算となった。3/11の東日本大震災の影響、資産除去債務に関する会計基準の適用による影響もわずかであったことに加え、マーチャンダイジング力が原価、経費ともに改善し、営業利益を押し上げたことが大きかったといえよう。マルミヤストアは、食品スーパーマーケット業界の中でも、資産をかけずに新規出店、しかも、ディスカウント戦略での新規出店が特徴であり、出店余力も高く、出店意欲も十分といえ、今期、各社が出店を抑制している中、安定的な成長を果たして行くものといえ、マルミヤストアの今後の成長戦略に注目である。

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