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July 09, 2011

マックスバリュ東北、2012年2月、第1四半期、震災影響!

   マックスバリュ東北が6/27、2012年2月期、第1四半期決算を公表した。マックスバリュ東北は3/11の東日本大震災の被災地でも店舗展開しており、その結果が注目されていた。実際、「当社は今回の震災により店舗の建物と施設の一部損壊及び商品破損等の被害を受けましたが、現在では全て復旧し全店通常営業を行っております。」とのことで、店舗、商品等に損害が発生している。また、「震災直後には食糧品や飲料、毛布などの支援物資の提供による被災地支援を行うとともに、店頭募金や福島県産野菜の販売を中心とした「がんばろう福島フェア」、「がんばろう日本!黄色いレシートキャンペーン」などお客さまとともに行う支援活動を実施し、東北エリアの皆さまの暮らしを支えるという社会的使命を果たすべく活動を続けております。」とのことで、震災後も懸命に被災地の復旧に取り組んだとのことである。

   その結果であるが、営業収益216.12億円(-0.1%)、営業利益2.53億円(前期は赤字)、経常利益1.87億円(前期は赤字)、当期純利益-7.55億円(前期は赤字)となり、前期も厳しい状況であったが、今期も営業、経常段階では赤字から脱却したとはいえ、依然として厳しい経営状況が続いている。特に、当期純利益に関しては、今期から資産除去債務に関する会計基準の適用が5.13億円(売上対比2.43%)計上された上に、災害による損失3.86億円等を計上したことにより、大幅な赤字決算となった。原価、経費への影響以上に直接的な店舗等への災害損失が発生しており、厳しい決算となった。

    このように、マックスバリュ東北にとっては、東日本大震災の影響は甚大なものがあったといえ、経営基盤の強化が必須となり、震災後の4/5に、「第三者割当によるA種種類株式の発行に関するお知らせ」を公表し、5/19を払込期日として、親会社イオンからの資金調達を実施した。その理由について、マックスバリュ東北は、「厳しい経営環境の中で、当社の営業基盤エリアにおける競争激化に伴う収益力の低下を主たる要因として、業績不振店舗の固定資産等についての減損損失などにより、2005 年度から2010年度までの累計で4,498 百万円の当期純損失を計上したことで、自己資本比率が低下している状況にあります。」とのことで、ここ数年、厳しい経営環境にあったとのことである。

   そして、「また、直近の予期せぬ東日本大震災の発生による影響で消費環境の先行きの不透明感が一層高まっております。今後当社は、安定した財務基盤を確立・強化するとともに、ますます競争が激化する北東北エリアにおいて競争に打ち勝ち、2013 年度には北東北売上高No.1の座を奪還し、再度成長軌道へ回帰するために、抜本的な経営方針の変更が不可欠と判断し、・・」とのことで、財務基盤の強化を前提とした構造改革に着手したとのことである。

   結果、自己資本比率は、純資産が19.68億円から57.34億円へと増加したため21.0%(昨年7.2%)と大きく改善した。実際、今期の財務活動によるキャッシュフローを見てみると、株式の発行による収入が44.52億円あり、このキャッシュを短期借入金の返済へ31.90億円、長期借入金の返済へ4.56億円、合計36.46億円と大半を回している。ただ、それでも、約80%は負債に依存する財務状況であるといえ、今後、さらに、増資するか、キャッシュを生み出す質の改善、及び量の拡大をはかって行く必要があろう。

   そこで、今期のマックスバリュ東北のキャッシュを生み出す質を原価、経費面から見てみると、原価は76.48億円(昨年77.15%)と0.67ポイント改善している。結果、売上総利益は23.52%(昨年22.85%)となり、粗利が向上した。一方、経費の方であるが、24.91%(昨年25.64%)と、0.73ポイント下がっている。したがって、原価、経費双方が下がっており、結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.39%(昨年-2.79%)と、依然として、マイナスではあるが、その幅は大きく縮まっており、東日本大震災の影響が結果として、マーチャンダイジング力のプラスに寄与したといえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等が2.60%(昨年2.64%)加わり、営業利益は1.21%(昨年-0.15%)と、昨年の赤字から、黒字転換となった。したがって、キャッシュを生み出す質は、今回の東日本大震災の影響もプラスに寄与したといえ、大きく上昇しているといえる。

   このように、マックスバリュ東北の2012年2月期、第1四半期決算は、東日本大震災の影響を強く受け、当期純利益が大幅なマイナスとなった。また、ここ数年厳しい経営状況が続いていた中での予期せぬ大震災であり、経営基盤の強化が必須となり、親会社のイオンから出資を受けざるをえなくなり、資本増強に着手した。ただ、それでも、依然として約80%を負債に依存する状況であり、今後、さらに、資本の増強を行うか、抜本的な経営の構造改革により、キャッシュを生み出す質、すなわち、マーチャンダイジング力の改善をはかる一方、キャッシュを生み出す量、新規出店も課題といえる。マックスバリュ東北が今後どのような経営戦略を打ち出すか、注目である。

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