ハローズ、2012年2月、第1四半期、増収営業増益!
ハローズが6/29、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、売上高185.90億円(7.8%)、営業利益5.52億円(8.3%)、経常利益5.25億円(9.9%)、当期純利益2.04億円(-22.9%)となり、営業段階では増収増益、当期純利益は今期から資産除去債務に関する会計基準が1.41億円(売上対比0.75%)適用されたため、減益となった。この第1四半期は、東日本大震災の影響が売上高、営業利益にどの程度あるのか、また、今期から適用された資産除去債務に関する会計基準の適用が当期純利益にどのような影響を与えるかが注目の決算であったが、後者は1.41億円、結果、当期純利益は減益となった。
そこで、前者、東日本大震災の影響であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは、ハローズのコメントであるが、「当第1四半期会計期間におけるわが国経済は、東日本大震災による甚大な被害とその後の原子力発電所事故の影響が続き、被災地の生産や物流機能の低下のみならず、その影響の範囲や程度が不透明で、先行きが懸念される厳しい状況となりました。」とのことで、不透明さを強調している。
では、実際の影響であるが、原価は76.08%(昨年77.24%)となり、-1.16ポイントと大幅に下がった。結果、売上総利益は23.92%(昨年22.76%)となり、粗利が上昇している。これについて、ハローズは、「商品面におきましては、「生活防衛企画」である「低価格最善選」を継続して実施し、季節や生活催事に合わせての商品の入れ替えにより、常にお客様に最適な内容になるように努めました。」とのことで、低価格戦略を継続したとのことである。ただ、一方で、「当社プライベート・ブランド商品の「ハローズセレクション」の開発にも注力し、売上高構成比は前事業年度末の8.0%から8.4%に増加いたしました。」とのことで、原価の低いPBを積極的に販売している。さらに、「当事業年度から全面稼働いたしました「早島物流センター」の効果的運用により、商品調達コストの低減に取り組みました。」と、「早島物流センター」の稼働も大きかったといえよう。当然、これらの施策に、東日本大震災により、特売が思うように打てないという売価面での下げ止まりが加わり、予想以上の原価の削減につながったのではないかと思われる。
一方、経費の方であるが、23.78%(昨年22.79%)と、0.99ポイント上昇しており、原価とは対照的な動きとなった。ハローズ自身は、「経費面では、オペレーション面及び管理面の両面から効果的なコストの管理を目指し、生産性向上やコスト削減などに各種の委員会を設けて取り組みました。」とのことで、幅広く、経費削減に取り組んだとのことであるが、結果は厳しい数字となった。ただ、この23.78%は前期決算の決算公開企業約50社の中では10番前後に入る低さであり、上昇したとはいえ、かなり低い数字である。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、0.14%(昨年-0.03%)となり、プラス転じた。原価の削減がいかに大きかったかがわかる。ここ最近公開された2012年度2月期の食品スーパーマーケットの第1四半期決算の状況を見ると、原価が大きく下がるケースが多く、ここからも、東日本大震災の影響は、結果として、食品スーパーマーケットの原価改善に寄与しているといえそうである。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.83%(昨年2.99%)加わり、営業利益は2.97%(昨年2.96%)と、わずかではあるが、増益となった。この第1四半期は売上高が7.8%増と好調であったことも、営業利益を押し上げた要因といえよう。
これに対して、財務面であるが、自己資本比率が31.3%(昨年31.0%)と、依然として約70%を負債に依存する状況であり、厳しい結果である。ハローズとしては、今期の好調な営業状況をどう財務改善に結びつけ、食品スーパーマーケットの本質であるキャッシュを生み出す量の拡大、すなわち、新規出店に結び付けたいところであるといえよう。その新規出店に関しては、「店舗開発面では、当第1四半期会計期間中の新規出店はなく、店舗数は広島県19店舗、岡山県22店舗、香川県7店舗の合計48店舗で、前事業年度末から変動はありません。」とのことで、新規出店はなかった。実際、投資活動によるキャッシュフローを見ると、新規出店関連への投資は7.38億円(昨年12.72億円)と大きく削減している。一方、財務活動によるキャッシュフローにおける有利子負債については-8.88億円(昨年7.86億円)と、昨年と一転、削減しており、この第1四半期決算時では投資を絞り、財務改善にキャッシュを配分したといえる。
このように、ハローズの2012年2月期の第1四半期決算は、当期純利益は資産除去債務に関する会計基準の適用により、減益となったが、営業、経常段階では増収増益の好決算となった。特に、東日本大震災の影響が原価の改善につながったようであり、大幅に粗利が改善し、営業利益を押し上げたといえる。一方で、新規出店は控え、キャッシュを財務改善に充てており、内部体制の充実を図ったといえよう。先行き不透明であるがゆえの経営判断といえよう。ハローズがこの結果を踏まえ、次の中間、そして、通期、内部体制の充実を一層強めるのか、それとも一転、積極策に転じ、新規出店の開発に入るのか、今後の経営決断に注目である。
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