ライフコーポレーション、2012年2月期、第1四半期、好調!
ライフコーポレーションが7/12、2012年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、営業収益1,212.19億円(4.7%)、営業利益33.91億円(63.2%)、経常利益33.19億円(66.5%)、当期純利益12.66億円(16.2%)と、増収増益と好決算となった。特に、営業利益が大きく増加し、「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額や震災による被害額など特別損失として10億48百万円計上いたしましたが、・・」とのことで、特別損失を吸収し、当期純利益も増益となった。
そこで、ライフコーポレーションの営業利益が大幅増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.26%(昨年74.24%)となり、0.98ポイントと大幅に下がった。結果、売上総利益は26.74%(昨年25.76%)となった。それにしても、これだけ原価が下がるのは異常ともいえ、東日本大震災後の3月、4月の商品供給不足による特売等が抑制された影響が大きかったのではないかと思われる。また、この第1四半期は比較的原価の低い生活関連用品が108.2%伸び、売上構成比が9.2%(昨年8.9%)となったことも大きかったといえよう。
一方、経費の方であるが、26.94%(昨年26.86%)となり、0.08ポイントとわずかであるが上昇した。ライフコーポレーション自身は、「震災に伴う節電等に積極的に取り組むとともに、前期より引き続き販売管理費等の経費削減に努めたことから、・・」とのことであるが、むしろ、経費は上昇している。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.20%(昨年-1.1%)と、依然としてマイナスではあるが、マイナス幅は大きく改善しており、今後、プラスに転じる可能性も高いといえよう。
そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.09%(昨年2.95%)加わり、結果、営業利益は2.89%(昨年1.85%)となり、大幅な増益となった。今期は原価の改善効果が絶大であり、それだけ、東日本大震災のプラスの影響が大きかったといえよう。ただ、この影響は今後大きく薄らぎ、ライフコーポレーションも「今秋以降においては、サプライチェーンの復旧による生産の回復や海外需要、更には復興需要による景気回復の期待はありますが、・・」とコメントしているように、商品供給が安定し、再び激しい価格競争に落ちることは必至であり、この高い利益水準が今後とも維持できるかどうかは、予断を許さない状況といえよう。したがって、ライフコーポレーションとしては、経費比率をいかに下げるかが当面の優先的な営業課題といえよう。
この空前の営業利益の大幅な改善を踏まえ、キャッシュフローの流れであるが、昨年は金融機関の決済日と決算が重なったこともあり、営業活動によるキャッシュフローが95.18億円(昨年-111.01億円)と、約200億円上昇している。これは仕入債務の増減額が39.32億円(-135.65億円)と異常値なっていることからもわかるように、これだけ、決済日が決算とずれるとキャッシュフローに誤差がでるといえる。
問題は、投資活動によるキャッシュフローであるが、-35.94億円(昨年-32.49億円)と、昨年同様の投資を実施している。特に、有形固定資産の取得による支出が-32.74億円(-30.13億円)と増加しており、積極的な新規出店への投資である。ライフコーポレーションの1店舗当たりの出店にかかわる資産は約4.5億円であるので、単純に割ると約7店舗であり、前期同様、今期も積極的な新規出店への意欲が旺盛である。実際、この第1半期も、「当第1四半期累計期間に新規店舗として、3月に久宝寺駅前店(大阪府)、4月に土佐堀店(大阪府)・奥戸街道店(東京都)、5月に大崎ニューシティ店(東京都)の4店舗を出店いたしました。 」とのことで、積極的に新規出店を果たしている。これが営業収益4.7%増をもたらした要因といえ、当面、この積極策は続くものといえよう。
そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-56.31億円(昨年93.71億円)と、一転、大きな支出となっており、その中身は有利子負債が-61.31億円(昨年98.72億円)となり、負債の圧縮を積極的に進めているといえる。ただ、それでも自己資本比率は28.4%(昨年28.3%)と依然として厳しい状況にあり、今後ともさらに、負債の圧縮が大きな経営課題となっている状況は変わらないといえよう。結果、トータルキャッシュフローは2.92億円(昨年-49.79億円)と、プラスとなった。
このように、この2012年度のライフコーポレーションの第1四半期決算は増収大幅増益となる好決算となった。東日本大震災の影響が原価の大幅改善につながったといえ、空前の営業利益増をもたらしたといえよう。そして、この増益によりもたらされた豊富なキャッシュを積極的な新規出店と、有利子負債の圧縮と、2つの相反する方向にバランスよく配分している。本来であれば、自己資本比率が28.4%であり、キャッシュを負債の圧縮により厚く配分したいところであろうが、各社が新規出店を抑制する中、敢えて積極策を決断したといえる。これを踏まえ、次の中間、そして通期に向けて、ライフコーポレーションが、今後とも、この2つの経営課題を同時に追求してゆくのかどうか、その経営決断に注目である。
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