消費者物価指数(CPI)、2011年5月度、100.3%、微増!
総務省統計局から、7/1、2011年5月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数は総合指数が3つあるが、その結果は、「(1)総合指数は平成17年を100として100.0となり,前月比は0.1%の上昇。前年同月比は0.3%の上昇となった。(2)生鮮食品を除く総合指数は99.9となり,前月比は0.1%の上昇。前年同月比は0.6%の上昇となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.4となり,前月比は0.2%の上昇。前年同月比は0.1%の上昇となった。」となり、いずれの総合指数も前年同月比が微増ではあるが、プラスとなった。
総合指数が前年同月比において、3つともプラスになるのは久しぶりであり、約2年半ぶりとなる。この約2年半、前年同月比のグラフを見ると、マイナスが続いており、いわゆるデフレが継続していたといえる。それが、前月、4月度から(1)の総合指数、(2)の生鮮食品を除く総合指数がプラスになり、この5月度は、プラスとなるのか、それとも、また、マイナスに転じるか注目の月であった。結果は、(1)、(2)に続き、(3)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数もプラスに転じ、すべての総合指数がプラスになったことから、今後、消費者物価指数はプラス基調が続く可能性が高まったといえよう。
そこで、この5月度、特に、プラスに貢献した項目について、寄与度をもとに見てみたい。まず、何といっても、4月も同様であるが、たばこが0.27ポイント(4月度0.27ポイント)と、全体を大きく牽引しているのが実態である。たばこは昨年後半の値上げ以降、消費者物価指数を大きく押し上げる方向に動いており、今後とも、たばこが消費者物価を押し上げてゆくことになろう。たばこについで、貢献度の大きかった項目は0.23ポイントのガソリン(4月度0.32ポイント)、0.14ポイントの灯油(4月度0.17ポイント)であり、資源・エネルギー関連である。特に、4月度はたばこよりも、貢献度が高く、No.1の項目であった。この3つの項目が際立った貢献度の高い項目であり、これを見る限り、デフレが脱却されつつあるわけではなく、一部、異常値となった項目が全体を押し上げているという状況といえる。
一方、この5月度、消費者物価指数を押し下げた項目を寄与度で見ると、何といっても、圧倒的にマイナスとなったのは生鮮食品であり、-0.31ポイント(4月度-0.25ポイント)であった。4月度はこれ以外にも-0.25ポイント、その他があったが、この5月度については、その他はわずか-0.07ポイントであり、生鮮食品のみが全体の物価を押し下げているといえる。したがって、これらの異常な項目を除くと、むしろ、物価は安定しているともいえ、デフレが脱却されつつあるわけでもなく、また、逆に、インフレに動いているわけでもなく、消費者物価は、むしろ全体としては、安定した状況にあるといえよう。
そこで、ここでは、この5月度、消費者物価全体を押し下げる要因となった生鮮食品の状況を、さらに、掘り下げてみたい。消費者物価指数は、調査項目としては、ほぼ家計調査データの分類に近いといえ、生鮮食品についても、かなり細かい項目も集計されているので、何が原因かがより鮮明である。まず、生鮮食品の大分類であるが、魚介類-1.2%、肉類0.7%、野菜・海藻-8.5%、果物-3.2%であり、明らかに青果、特に野菜であることが明らかである。ちなみに、これ以外の大分類であるが、穀類-2.8%、乳卵類2.3%、油脂・調味料-0.4%、菓子類0.0%、調理食品0.7%、飲料0.1%、酒類-0.9%という結果である。穀類がやや下げ幅が大きいが、それ以外は、ほぼ0.0%に近いといえ、いかに、野菜・海藻の-8.5%が異常値であるかがわかる。
その野菜・海藻であるが、レタス-37.7%、ピーマン-34.6%、キャベツ-31.8%、はくさい-31.3%と、この4つが-30%以上下がった項目である。ついで、だいこん-27.5%、
ほうれんそう-18.5%、ねぎ-17.9%、なす -17.4%、トマト -17.4%、えのきだけ-15.3%、れんこん-14.8%、さやいんげん-14.8%、しめじ-13.9%、ブロッコリー-13.1%、きゅうり-12.0%と、これらが-10.0%以上下がった項目である。一方、野菜の中でも上がった項目もあり、アスパラガス0.8%、かんしょ6.1%、ばれいしょ9.1%、にんじん13.1%、さといも13.6%、ごぼう17.8%であるが、数は少ないといえ、野菜全体が生鮮食品、ひいては、消費者物価指数全体を押し下げているといえよう。
このように、2011年5月度の消費者物価指数は約2年半ぶりに3つの総合指数すべてがプラスになったが、その要因を寄与度で見ると、たばこ、ガソリン、灯油の3つであるといえ、この3つが消費者物価指数全体を押し上げたといえる。一方、消費者物価指数を押し下げた項目もあり、野菜である。ただ、先の3つの項目は、これを上回る寄与度であり、野菜が全体を押し下げるまでにはならなかったといえる。したがって、当面、このプラス基調は続く可能性が高いといえるが、消費者物価全体が上昇しているわけではなく、むしろ、全体は上昇が見られないことから、物価全体は安定しているといえよう。東日本大震災の影響も一段落したといえ、復興需要が本格化するまでは、当面、物価は全体としては大きな変動がなく、安定した状況が続くのではないかと思われる。
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