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July 16, 2011

セブン&アイH、2012年2月期、第1四半期、震災の影響?

   セブン&アイHが7/7、2012年2月期、第1四半期決算を公表した。結果は営業収益1兆1,223.50億円(-9.9%)、営業利益682.28億円(30.1%)、経常利益682.13億円(29.5%)、当期純利益131.05億円(-46.1%)となり、減収、営業、経常利益は増益となったが、当期純利益は減益となった。当期純利益が減益となった要因は、「特別損失におきまして東日本大震災の発生に伴う災害による損失181 億円と資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額225 億円を計上したことなどにより、・・」とのことである。

   そこで、まずは、営業収益が-9.9%と減収となった要因であるが、セブン&アイHの中核事業であるコンビニエンスストア事業による会計処理方法が変わったことが大きい。「米国連結子会社の7-Eleven, Inc.は、従来、フランチャイジーによる売上高、売上原価、販管費を同社の財務諸表に含めて認識しておりましたが、コンビニエンスストア事業における会計処理の整合性を考慮し、当第1四半期連結会計期間より、フランチャイジーからのチャージ収入を営業収入として認識する会計処理に変更しております。」とのことである。結果、「営業収益は118,407 百万円減少しておりますが、営業利益、経常利益および税金等調整前四半期純利益への影響はありません。」とのことで、営業利益、経常利益、当期純利益には影響はないが、営業収入が約1,000億円強減少したことが、全体の営業収入を押し下げた要因といえよう。

   次に、当期純利益が-46.1%となった要因のひとつ、東日本大震災の影響であるが、セブン&アイH全体への影響としては、営業収入-1,440億円、営業利益-380億円の影響と試算している。この内、営業利益を事業部ごとに見ると、コンビニエンスストア事業-40億円、スーパーストア事業-213億円、百貨店事業-93億円、フードサービス事業-5億円、金融関連事業-30億円であり、スーパーストア事業への影響が特に大きかったといえる。さらに、これを主要事業会社別に見ると、セブン-イレブンジャパン-40億円、イトーヨーカ堂-90億円、ヨークベニマル-85億円、そごう・西武-88億円、その他-78億円であり、コンビニエンスストアへの影響が比較的少なかったといえるが、他の主要会社はいずれも、80億円前後とかなり、大きな影響であったといえる。そして、当期純利益が減益となったもうひとつの要因、資産除去債務に関する会計基準の適用であるが、225.00億円となり、売上高の2.00%である。したがって、年間では0.5%前後の影響度と予想される。

   一方、セブン&アイHの営業利益が30.1%と大幅な増益となった要因を原価、経費、そして、GMS特有のその他営業収入の面から見てみたい。まずは原価であるが、76.11%(昨年74.60%)と、原価は1.51ポイントと、大きく上昇している。結果、売上総利益は23.89%(昨年25.40%)と、大きく下がった。主力業態のコンビニエンスストア事業の会計処理の変更の影響もあるかと思われるが、原価の上昇は気になるところである。これに対して、経費の方であるが、35.61%(昨年33.32%)と、経費も2.29ポイントと、大きく上昇した。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-11.72%(昨年-7.92%)と、かつてないマイナス幅となり、大きく下がった。原価、経費ともに大幅に上昇したことが大きいといえよう。

   そして、これにGMS特有の不動産収入、物流収入等のその他営業収入が18.96%(昨年12.66%)加わり、営業利益は、7.23%(昨年4.74%)となった。それにしても、その他営業収入の昨年と差6.30ポイントは異常値であるといえ、この第1四半期決算は、経費、原価双方の大幅上昇があったにも関わらず、これをその他営業収入が大きくカバーする形で、営業収入を大きく押し上げたといえる。

   そこで、この営業利益を各事業部別に見てみると、コンビニエンスストア事業42.84億円増(110.6%)、スーパーストア事業99.45億円増(318.8%)、百貨店事業10.92億円増(880.9%)、フードサービス事業部56億円増(昨年も、今年も赤字)、金融関連事業1.63億円減(97.8%)、その他の事業8.76億円増(昨年は赤字)という結果である。したがって、スーパーストア事業の回復が大きいといえ、その中身は、GMSのイトーヨーカ42.88億円増、食品スーパーマーケットのヨークベニマル36.97億円増の急激な利益回復が大きく貢献したことである。

   このように、セブン&アイHの2012年2月期の第1四半期決算は、3月度から5月度の期間であり、3/11の東日本大震災の影響が懸念された。実際に、セブン&アイH自身、営業収入で-1,440億円、営業利益で-380億円の影響と試算しているが、これを加味した決算結果は減収とはなったが、営業、経常段階では大幅な増益となった。その要因は原価、経費はともに大幅な上昇がみられたが、その他営業収入が異常値となり、利益を押し上げたことによる。特に、GMSのイトーヨーカ堂、食品スーパーマーケットのヨークベニマルの貢献が大きかったといえる。したがって、東日本大震災の影響は結果として、売上にはマイナス、営業利益にはプラスの効果があったといえよう。ただ、消費環境は依然として厳しさを増しており、引き続き、東日本大震災の影響は続くものといえ、次の中間、そして、通期決算がどう変化するか、その動向に注目である。

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