変わる販促、ID-POS分析が販促新サービス開発へ!
7/14の日経新聞でマクドナナルドの新たな販促手法が取り上げられた。見出しは、「マクドナルド、一人ひとりに異なる値引き」、「新型クーポン、1000万人に配信、購買履歴を分析」、さらに、関連記事の見出しは、「一律の大量販促に限界、リピート客獲得、個人に的」というものである。外食産業最大手のマクドナルドが、いわゆるID-POS分析にもとづいた新たな販促に取り組むとのことで、外食産業のみならず、顧客データを蓄積している小売業全体への販促手法に大きな影響を与えるものといえ、まさに、販促新時代への突入といえよう。
記事によれば、今回のマクドナドの新型クーポンは携帯電話が基点となった新販促である。現在、マクドナルドでは約1000万人が「おサオフケータイ」の機能がついた携帯電話をもっているとのことで、この1000万人が、今回の新型クーポンの対象者であるという。ちなみに、食品スーパーマーケット業界では会員1000万人を有している企業はなく、小売業ではイオンのWAONが1000万人を超えているが、外食ではせいぜい数百万人であるので、圧倒的な会員数であるといえる。
その1000万人の携帯会員に対して、購買履歴に応じた一人ひとり内容の違うクーポンを発行するとのことであり、これまでの一律大量クーポンからの決別であり、まさに、販促における新サービスであるといえよう。記事の中では実際の新型クーポンの事例が掲載されているので、そのいくつかを見てみたい。たとえば、土、日曜日に昼にコーヒーを頻繁に購入する顧客に対いては、週末の朝にコーヒーが無料になるクーポンを発行するという。一定期間、来店していない客には、従来良く購入していたハンバーガーなどを割引いたクーポンを発行するという。さらには、来店頻度は高いが、新発売のハンバーガーを購入していない客には、新発売のハンバーガーを大幅に値引いたクーポンを発行するという。
このようなクーポンを携帯サイドで発行し、店舗に来店した時に、そのクーポンをレジ前のクーポン読み取り機にかざせば、クーポンが使用できるようになるという。したがって、通常小売業が購入時にレジで発行しているレジクーポン、店頭のキオスク端末で来店時に発行するクーポン等とは違い、自宅のパソコンで来店前に発行されるクーポンであり、クーポンの発行タイミングにおいても一歩速いといえる。一般に、クーポンを発行するタイミングは3つあり、商品の購入時、店舗への来店時、自宅等、未来店時とあるが、この順番に商品購入時点から時間が遠ざかることになる。今回のマクドナルドの新型クーポンはまさに、もっとも時間が遠ざかる時点でのクーポンの発行であり、来店動機にダイレクトに結びつき、客数アップ、特に、来店頻度を引き上げる効果が高いといえよう。
そして、もうひとつの特徴としては、新型クーポンは、購買履歴を分析した上でのクーポンであり、従来の一律大量クーポンとは全く違う仕組みである点である。いわゆる、ID-POS分析を通じてのクーポンであり、極論すれば、1000万通りのクーポンの発行となり、これが、購買履歴が進むに応じて進化してゆくことである。
それにしても、よく1000万人の購買履歴を分析する決断をしたものである。ざっと計算してみても、1000万人が年間に平均10回購入すれば、述べ1億回の購入履歴が発生する。さらに、商品数が100種類であれば、1億回×100種類、すなわち、100億件のマトリクスが発生することになる。これを自由自在に行列分析し、ここから顧客に応じた来店動機を高めるクーポンを見つけ出すわけである。さらに、これが数年続けば、倍々でデータ量は増えてゆくことになる。記事の中でも、2004年以降、約300億円かけてこれらが可能なITシステムを構築したとのことであるが、誰でもが簡単にできることではない。それだけ、1000万件の購入履歴の分析とは大量のデータとの格闘、それなりの投資がかかるといえ、結果は顧客へのたった1枚のクーポンであるが、それだけ価値の高いクーポンであるといえる。ただ、やや気になるのは、ID-POS分析の醍醐味は購入履歴を分析し、それに応じた販促としては、今回のようなリピート分析もさることながら、リフト値を活用したクロスマーチャンダイジング分析での販促もあるといえ、この点が記事の中では触れられていなかった点である。
このように、ID-POS分析は日進月歩であり、今回のマクドナルドの新型クーポンのように、1000万人に1000万通りの、いわゆるOne to Oneクーポンを発行することが可能であり、しかも、1000万人という規模で可能となったことは大きな前進であるといえよう。今後、これを機会に、外食はもちろん、小売業界で新型クーポンの開発合戦に発展していくことになるといえよう。特に、急激に普及が進むスマートフォンの動向とも連動し、従来の仕組みでは不可能であった新型クーポンも可能になるといえる。是非、食品スーパーマーケットでもID-POS分析を駆使し、新型クーポンはもちろん、様々な販促開発に取り組んで欲しいところだ。
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